![松田幸春](/img/column/judge/tit_judge.jpg?=v1)
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
強いメンタル!
2017/3/30(木)
皆様、こんにちは!大相撲に大興奮していた松田です。今回は本当に素晴らしかったですね。前回、優勝したことにより、とうとう日本人横綱となった稀勢の里関が、日馬富士関との対戦により負傷した体の中、見事に優勝を果たしました。普段ならば、ここで精神的に崩れることが多かった新横綱ですが、流石横綱!と思うほどの強いメンタルを見せつけてくれました。強い日本人横綱が見られたことも非常にうれしく思いますし、この様な強い意志を感じとれた勝負を見られたのは、本当に相撲を見ていてよかったと思わされました。
さて、強いメンタルと言えば、遠く離れたドバイでモレイラ騎手とヴィブロスがやってくれましたね!去年の王者リアルスティールが離脱する中、ドバイで世界を制したのは、大魔神の持ち馬でした。レースは、これぞモレイラと言うレースで、スタート直後から内へ内へと回り、メンバーと比較して、少し足りてないと感じた能力を見事、コース取りでカバーしたように思います。このレース、実は前回の中山記念(※過去コラム参照)の時から予想はしていたのですが、思った以上の強さに本当にビックリしました。
![ヴィブロス](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201703/170326_vivlos.jpg?1490458000)
そして、今回の勝利の後に見つけてしまいました。そうです、勝利の法則。馬主の佐々木さんは2月22日の2時22分生まれで、背番号も22番で大活躍された選手です。その佐々木さんの勝負服の袖には2本ずつのラインで22を形成されているのですが、今回のこのレース、なんと!第22回ドバイターフだったんですね。ここまで22に愛された人を知らないな!と後になって気づきました。
注目のドバイワールドカップでは、やはり相手が悪すぎましたね。怪物アロゲートのレースを見ると、本当に凄すぎて言葉が出ませんでした。その中でも、アウォーディーで挑戦した日本のレジェンド豊ちゃんの騎乗は見事の一言でした。あの様な騎乗を見せてもらえたので、負けても悔いなしと言った気分にさせられるのではないでしょうか。
![アロゲート](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201703/170326_arrogate.jpg?1490464244)
大盛り上がりで寝不足になりながらも、日本ではG1高松宮記念が行われました。レースを制したのは幸君騎乗のセイウンコウセイでしたね。前回からも能力の高さを見せていましたが、今回のこの様な馬場では、一段と走るといった印象でしたね。レースも4角を回るときに一頭だけ、手応えが違う様子で、あとは楽勝というレース展開でした。幸君の強気であり、馬の進路さえあれば勝てると信じた騎乗が今回の勝利を呼んだのだと思います。
![セイウンコウセイ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201703/170326_seiunkosei.jpg?1490515846)
②③着にはインから強襲したレッツゴードンキとレッドファルクスが入りましたね。本来、荒れた中京の馬場では外が常識になっている中、岩田君、そしてミルコらしい勝負掛かったレースには、思わずファンの皆様同様、これは!と思わされましたね。このレースはメンタルと勝利への飽くなき精神がなければできませんからね。しかし、今回は勝ち馬が強すぎたように思います。良馬場でもこの様なレースができるならば、次こそロードカナロアの後を継ぐ、新のスプリント王の誕生となるのではないでしょうか。大興奮のドバイと日本の競馬で先週は、本当に見応えだらけの週でした。
まだまだ熱い競馬は終わりません。今週には今年からG1へと格上げされた大阪杯が阪神競馬場で行われます。まず注目を集めるのはキタサンブラックになるのではないでしょうか。昨年の年度代表馬がここで負けるわけにはいかないでしょうしね。しかし、私個人としては、ここのレースは距離がほんの少し短い気がしています。その点を豊ちゃんがどのように調理してくるのか、非常に楽しみであります。
2番手にはダービー馬マカヒキが挙げられるでしょうね。前回の休み明けからひと叩きした分で、今回は万全といったところではないかと思います。鞍上もルメールに戻ることで、知り尽くしたコンビがどこまでやるのか、非常に楽しみです。この馬は個人的に距離が少し長いかなと思います。あとは逃げ馬がどのようなペースで逃げ、どの様な展開になるかだと思います。そして、一番気になる馬はサトノクラウンです。名門堀厩舎が万全の仕上げをしてくるでしょうし、鞍上ミルコも一発を狙っているでしょうしね。本当に良いメンバーが揃う大阪杯!最後に勝利をつかむのは、強い信念とメンタルにかかっています!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。