元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
Note 2017
2017/4/5(水)
皆様、こんにちは!あっと言う間に新年度が始まりましたね。競馬学校では新たに8人の新入生を迎え、これから過酷なトレーニングが始まります。そして、新社会人の皆様や転機が訪れた方々にとっては、新しい人生ノートを一度、白紙に戻しての始まりだけに、綺麗に書こうと精一杯になる時期でもあります。何度も訪れることはない何かの始まりに、無理をせず自分らしいノートが、皆様が書けるよう応援しています。泥臭くなっても、自分らしいものを描いてくださいね!
それでは、競馬界の新しい一ページ、大阪杯の話に参りましょう。今年よりG1に昇格し、なんとも豪華なメンバーが揃う形となりました。まずは、去年の年度代表馬キタサンブラック、そしてダービー馬マカヒキ、その他にもサトノクラウンやヤマカツエース、アンビシャスなどが出馬してきました。レースは、大方の予想通りマルターズアポジーが逃げる展開に。しかし、ここでロードヴァンドールやスズカデヴィアスとやり合うことがなく、マルターズアポジー以外は平均ペースで流れる展開となりました。
ここで好ポジションを取ったのがキタサンブラックでした。異例の坂路3本の調教を乗り越え、以前のような長距離専門から中距離対応の体に変化させたことが、ここでも楽にポジション取りつつも、最後まで止まらないという自信が1コーナーで見えました。それを察知するかのようにステファノスとサトノクラウンがキタサンブラックをマークするも、4コーナーでは手応えが違うぞとばかりに一頭で抜け出すと、そこはもう独壇場の舞台でした。②着にはマークしていたステファノス、③着にはヤマカツエースが入りましたね。道中のポジションを考えれば、ヤマカツエースはもう一列前で競馬が楽にできていればと思わされましたが、このレベルでやれていることが立派だと思います。
そして、期待外れだったのはサトノクラウンとアンビシャスですね。サトノクラウンはやはり少し忙しい展開になるのは合わないですね。今回はキタサンブラックをマークしながら勝ちに行く競馬をしていましたが、脚の溜まることのない展開に内回りでは、この馬の長くいい脚を使いにくい展開でした。アンビシャスはやはりハミを噛むことを恐れ、結果安全に乗りすぎたように見えました。G1だけに勝負ががった乗り方を期待していただけに肩すかしのような気分になってしまいましたね。それもまた作戦かも知れませんが、個人的には物足りない感じがして残念でした。
今年もとうとう待ちに待ったクラシックの開幕です。まず、その口火をきるのが、阪神競馬場で行われる桜花賞です。第77回で史上7頭目の無敗の女王となり、競馬の新しいノートに刻み込むのかと期待されるソウルスターリングが大本命でしょう。力としては、まさに圧巻の結果がすべてを物語っていますよね。距離もベストですし、まず間違いないと思います。その対抗としては、やはりアドマイヤミヤビでしょうか。しかし、こちらは距離の不安と共に、当日の馬場状態が合うのか気になります。近親にクロフネがいるだけに期待してみたいですが不安であることは確かです。
その他にはリスグランシューやミスエルテ、ミスパンテールにアエロリットなど、ソウルを抜いた馬達は混戦を極める戦いになると思います。桜は果たして間に合うのか?桜の女王の称号を手にするのは、どの馬なのか。その結果は、是非、阪神競馬場で確認してください!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。