元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
G1男
2017/4/12(水)
皆様、こんにちは!街は満開の桜が咲き誇り、時に風のイタズラで舞う桜もまた美しい季節となりました。そんな始まりの季節に、新たな人生へと歩みだした一人が浅田真央ちゃんでしたね。今までのフィギュア人生に終止符を打つことを決断されました。良く考えれば真央ちゃんは10代から世界のトップクラスとして勝負していて、そして今や26歳。体にも限界が来ていたことでしょうし、何よりも精神も限界だったのではないでしょうか。これからの彼女の人生の新しい始まりを、心より応援させて頂きたいと思います。本当にお疲れ様でした。
さて、それでは競馬の話にまいりましょう!先週はクラシック2017年第一弾 第77回桜花賞が行われました。桜も満開という環境の中、前日から降り続いた雨の影響で馬場が荒れるなか、池添謙一君騎乗のレーヌミノルが見事な勝利を挙げました。よく考えれば、小倉でデビューした際に、この馬は桜花賞を取るなと思っていたにも関わらず、ライバルの出現で少し存在感が薄くなっていましたが、謙一君の見事までのエスコートで、一冠を手にすることができましたね。
レース前の天気から非常に難しいレースになるのではと予想されましたが、1番人気には、途中には1.1倍までいったソウルスターリングが選ばれました。まるで去年のメジャーエンブレムを彷彿とさせる内容に少し嫌な雰囲気がしましたが、その予想は当たってしまいました。直線では何度も手前を替え、走りづらそうなまま、不安視された内ラチを頼るレースとなり、③着に敗れてしまいました。しかし、今回は馬場というよりもスケジュールと馬の体調面に敗因があったのではと個人的には思っています。特に不安になったのが、返し馬での走り方です。いつも雄大に見えるフットワークも少し硬く映りましたからね。
そんな中、返し馬から抜群の集中力を保っていたのがレーヌミノルでしたね。返し馬の段階でも、これは良くなっているなと思わされましたが、スタート後にもスッとポジションを取りきることができました。これも、1400mのスピード勝負で訓練してきたおかげもありますが、その後も馬を信じ、絶好のポジションにつけた鞍上のファインプレーだったと思います。そして、直線ではじっくりと焦ることなく出したことが、勝利へとつながりました。本田先生は騎手・調教師での桜花賞制覇となり、さらに、これが初G1勝利となりましたね。G1男の謙一君と本田先生の持っているコンビの勝利には本当に鮮やかでした。
本当の意味で馬場に泣かされたのはアドマイヤミヤビだったでしょうね。スタート後に脚を滑らせる走りになり、そこからはまるでグリップの効かないタイヤで雪の上を走るような形になってしまいました。馬場に注文がつく馬というのは非常に難しくはありますが、今回のデキにあの返し馬を見る限り、次のレースで晴れていれば本命にしたいなと思わされました。
牝馬クラシックの始まりの後には牡馬クラシックが開幕します。今年は牝馬ファンディーナの参戦に、非常に注目度が高い皐月賞となっています。しかし、今年の牡馬は牝馬よりもメンバーが揃っていないため、非常に難しいレースとなるのではないでしょうか。まず、本命にはそのファンディーナが選ばれるでしょうね。前走までの圧倒的な走りを見せられたら、誰でも期待してしまいますからね。2番手にカデナ、レイデオロ、スワーヴリチャードと続くでしょうね。
カデナに関しては、やってきた相手のレベルに、少し疑問が残りますが、それでも力は本物でしょう。レイデオロに関しては、ぶっつけ本番となってしまったことが、どう影響するかが問題になっています。そう言った面では、全て順調にきているスワーヴリチャードが万全と読むのも正しいかも知れません。その他には、イタリアのG1男ミルコが2年連続の騎乗停止から、真逆の5度目の皐月賞制覇をペルシアンナイトと共に期待しています。漢字は違いますが皐月が皐月晴れ(五月晴れ)になりますよう、そして、一度しかないクラシックを是非、皆様は生観戦宜しくお願い致します!観戦に行ける方は、返し馬に注目して、レースを見てくださいね!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。