元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
チャンスに勝つ
2017/7/5(水)
皆様、こんにちは!先日の選挙では自民党の大敗が話題になりましたね。そして、ある議員さんは「支持者の皆様に声が届かなくて……」と言っていました。しかし、このコメントを聞いて、正直に私は腹が立ちましたね。選挙の時に声を届けるのではなく、自分のできる政治を行っていないからの投票数なのに、あたかも自分は結果を出していると言うような口ぶり。そんな政治家が続く訳はありません。競馬も同じです。いくらいい馬に乗っても、過去に勝っていても、今勝てない騎手は次々と馬の質も変わるものです。だからこそ、小さなチャンスを逃さず、少しずつチャンスを広げ、常に勝ち続けなくてはいけない。そんな世界だと私は思っています。
そんなチャンスを逃さず、捕らえきった北村友一君とシャイニングレイが勝利したCBC賞の話をしましょう。レース直前に突然の大雨。土日ともに異常な長さに伸びていた芝と中京特有の緩い馬場を痛めつけました。そんな中、スタートすると先手を取ったのはアクティブミノルと酒井君でした。馬場は芝が長く、雨ということを考慮し前残りを考えたのか前半はものすごく早いハイペースとなりました。私の注目のメイソンジュニアは少し控えるような形となり、急がされたペースで4コーナーでは止まってしまいました。
逃げたアクティブミノルが逃げ粘る中、外から水口君とセカンドテーブルが抜き去り、初重賞か!?と期待した瞬間、外から、初スプリントも何のその、北村友一君とシャイニングレイが差しきり勝利しました。北村君にとってはサマースプリントシリーズ2連勝となりましたね。勝ったシャイニングレイは故障もあり、ここまで力を出し切れないのに加え、強すぎる個性のある性格で乗る方も大変な馬だったのですが、距離変更が功を奏し、北村君がしっかりと馬と向き合い理解し、そして掴んだ勝利だったと私は思います。
最近の北村君はチャンスを逃さない職人のような騎手になってきましたね。勿論、平場ではアレ?と思う騎乗もありますが、最近のここ一番の集中力は本当に恐ろしいものがあると思っています。そして、②着の水口君とセカンドテーブルは惜しかったですね。最後の最後で前半のペースからも馬が止まってしまいましたからね。しかし、本当に良い挑戦だったと思います。逆に残念だったのはメラグラーナと戸崎君ですね。終始、雨の影響からか走りにくそうな競馬となっていましたが、競馬自体も非常に雑でした。直線ではスペースもない所に強引に入れようとして接触したりとチグハグな競馬でしたからね。また、体を戻し良馬場の舞台でこの馬は見ていきたいと思います。
今週の競馬も夏競馬真っ盛り!中京ではプロキオンS、福島では七夕賞が行われます。まず、注目はプロキオンSに出走するカフジテイクでしょうね。ドバイでは展開が向かなかった上に、あの馬場ということもあり終わってしまいましたが、ここのメンバーでは負けられない一戦になると思います。しかし、ドバイ帰りという見えない疲労に、1番人気で展開次第ではということも考えると少し不安が残るのも事実です。そういったことから鞍上の福永君も勝つ競馬よりも、違ったレース展開を今後のために試してくるのではと思っています。勿論、スタートが決まればですけれどね。
そして、エイシンバッケンも注目したい一頭ですね。重賞でもやれる力はあるでしょうし、岩田君とも非常に手が合っている馬です。その他には、ベストマッチョやアキトクレッセント、キングズガードあたりが推奨されていきそうです。そして、私の個人的な注目はイーデンホールですね。今までは折り合いに問題を抱えていましたが、クラスが上がる度にペースが速くなることからも折り合い難が少なくなっている馬ですし、ここでも目処を立てたい一頭だと思っています。短冊に願いを込めて、今週も皆様が万馬券を獲りますように!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。