元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
夏の風物詩
2017/7/12(水)
皆様、こんにちは!一歩、家の外に出ると、そこは夏の風物詩セミの鳴き声が鳴り響いていますね。この声を聞くと、肌で感じないとしても暑い!と思ってしまうのは、やはり人間の潜在的な何かにすり込まれているからなのでしょうね。そして、競馬の夏の風物詩と言えば、ノーザンファームで行われたセレクトセールですね!今年は、去年よりも多く購買登録があったようで、ディープインパクト産駒以外でも1億円が続出というセリとなりました。これも、結果を出している日本馬と海外で結果を出してきた牝馬との掛け合わせと言うことも金額の高騰に繋がっているんだと思います。
海外からや日本でこれから申請しようとする海外馬主、新しい法人馬主DMM.comと言った今までと違う馬主様がよく見られましたね。これからの日本競馬界を支えるメンバーが増えることは嬉しく、自分がいた頃からどんどんと変わる競馬界をさみしくも思います。
さて、先週の重賞レースを振り返りましょう。七夕賞では1番人気のゼーヴィントが危なげなく勝利を収めました。レースはマルターズアポジーを標的にしたような逃げつぶしを同じシルクのフェイマスエンドが行いました。これにより、落ち着くのが遅くなったなか、勝ちに行ったマイネルフロストが仕掛けて、更に前は厳しい展開となりました。ここまで、全てがゼーヴィントの競馬を楽にさせました。そして勝利したゼーヴィントは見事、重賞2勝目を手にしました。
しかし、この勝利をお見事!と、なかなか個人的には思えはしません。やはり、同じ馬主でも力の競い合いを見たいと思っています。多頭数出しによる競馬も、先進国では当たり前のようになってはいますし、それも作戦の一つだと思いますが、個人的には競馬を面白く見ることができませんでした。勝利した戸崎君は6鞍に騎乗し5勝と大暴れとなりましたが、こちらもなぜか、すごい!と思う前に祭りあげられた展開だったように感じてしまいました。勿論、戸崎君の技術なくして、この結果がないことも確かですけどね。ノーステッキばかりで勝つ姿が続くと面白くないですからね。他の騎手もどうにか対抗し、熱い競馬を見せてくれることを願っています。
中京ではプロキオンSが行われ、キングズガードが見事なレースで勝利しました。寺島厩舎はこれが初重賞制覇となり、嬉しい勝利になりましたね。レースも藤岡佑君の好騎乗が光りましたね。ダービーで結果を出せなかったことで、ひとつ大きな成長を遂げたのではないでしょうか。勿論、最後の直線で少々強引に出すことになりましたが、あそこでも諦めずに突っ込んだのは、以前までだったら見なかったような強気な競馬だったと思います。
②着にはカフジテイクが入りました。ドバイ帰りの疲れも見せずに、かなり良い走りをしていましたが、最後は勝ち馬とのコース取りの差で敗れてしまいました。しかし、敗れたとはいえ、今回は内から差し脚を伸ばす競馬ができ、外一辺ではないことが分かったことは陣営に取っては収穫だったと思います。しかし、頂点を目指すこの馬にとっては残念な敗戦となりましたね。次戦ではどのようなレースをするのか、非常に楽しみになったことは確かです。
今週の重賞競走は北の大地、函館で函館記念が行われます。人気はサトノアレスに集まると思いますが、私の注目はヤマカツライデンになります。斤量もおいしい形になりましたし、マイネルミラノとの逃げ馬対決を制することができれば面白いんじゃないかと思います。勿論、ハイペースで潰れてしまわないことを願わなくてはいけないですが。その他には、ステイインシアトルやツクバアズマオー、ケイティープライドの軽量狙いも複勝を狙うには面白い一戦ではないでしょうか。残り2週で札幌に移ってしまう函館競馬を是非、夏の旅行と共に訪れてみてください!活イカ食べて、勝(ち)イコ函館!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。