元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
勝利への決め手は……
2017/10/18(水)
皆様、こんにちは!最近のニュースと言えば、あおり運転による事故や清水アキラさんの息子・清水良太郎容疑者の逮捕といい、良くないニュースが目立つようになっています。清水良太郎容疑者は少し前にはテレビで美川憲一さんに「違法賭博に関しても謝罪しなさい。真面目にやれば大丈夫。何かあれば聞いてあげる」と励ましとお叱りを受けていましたが、あの時の態度や目の動き方からしても、心では全く聞いていなかったのでしょうね。父の清水アキラさんは前回の違法賭博の際も、多方面に頭を下げて回ったと聞きました。その上で、今回のこのような内容を聞いたとき、本当に腹が立ちました。親の心子知らずとは、まさにこの事のように感じました。自らチャンスをつぶした彼は、もうテレビでも見たくないと感じてしまいました。
そんな残念なニュースが多い中、競馬界では牝馬クラシック最後の一冠秋華賞が行われました。降り続いた雨で馬場も悪く中、見事な騎乗で制したのはディアドラでした。デビュー戦ではトモが緩かった馬ですが、陣営の使い続けることで鍛えるというスパルタに耐え抜き、今回も使われてきたのにもかかわらずプラス体重で出られたことがトモを鍛え、一段も二段も強くなった体と共に出走してきたのが分かりました。これで鞍上のルメールは違う馬で牝馬二冠達成となる結果となりました。今回は少し人気を落としていたことで気軽に乗ることが出来たことで、あの内への好機上があったと思います。
②着にはリスグラシューが入りました。これでクラシックは全て掲示板と安定の結果を出しながらも勝ちきれなかった同馬。課題のゲートよりも今回は道中から4コーナーで大外までいかなくてはならなくなったことを天才豊ちゃんは悔やんでいるでしょうね。勿論、完璧な位置取りと思いますが、勝つためにはもうひとつシビアなレースをするべきだったと本人は思っているのではないでしょうか。そして、③着にはモズカッチャンが入りました。1コーナーで落鉄しているのをVTRで確認できました。そのような状態で、レースを走りきり、あわや勝つ!と思わせてくれたのは流石でした。
ミルコにしては少し早い仕掛けと思いましたが、落鉄と聞いて納得しました。落鉄した状態では、スパートのサインを出したところで滑り、スピードを上げることができません。そのため、早めにジリジリと伸ばしていくしかないという判断だったと思います。しかし、ギリギリまで粘って手前を替えた途端に止まってしまいましたからね。競馬にもしはありませんが、もし鉄を履いていれば勝っていたのは、この馬だったのではと思わされるレースでした。圏内に入った3頭は本当に100点満点の競馬をしたと思います。勝った馬と負けた2頭の違いといえば、それは運だけだったと思います。しかし、それでも勝ちきったことに価値があり、これが競馬!と思わされるレースだったと思います。
今週も先週に引き続き天候が心配されますが、牡馬クラシック最後の一冠菊花賞が京都競馬場で行われます。ダービーの①~③着馬が不在のレースになります。今回は今までの走りに加え、一番大事になるのがレースへの適応能力になってくると思います。人気としてはミッキースワロー、キセキ、アルアインとなるでしょうが、私が一番適性としてあると思っているのはサトノクロニクルです。前回は勝負所で少し窮屈になるところはありましが、競馬を教える意味では非常に良かったと思います。あとは勝負所でズブくなるこの馬を福永騎手がどう操るかにかかっていると思います。
そして、適性の面ではポポカテペトルも見逃せません。もともと距離があった方がいい馬ですし、和田君のシビアな追い方にもピッタリ合っていますから。その2頭に力が違うであろうキセキやミッキースワロー、アルアインと続いていくような気がしています。どの馬が勝っても初のG1の栄光をつかみ取るのはどの馬か!?勝利への決め手はどこにあるか!非常に楽しみです!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。