元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
台風22号 2と言えば黒
2017/11/1(水)
皆様、こんにちは!先週は台風21号に続き22号と、なぜこうも週末に台風がやってくるんだと重い空気になりましたね。我が家といえば、毎週末の決まりごとと言わんばかりに外で妻がはしごを持ちながら私が屋根に上り、雨漏りしないように掃除をするといった作業を終了しました。そして、台風が去った後には、いきなりの温度変化で扇風機を使っていたのに、次の日には加湿器とストーブを出す日々となりました。昔から考えると、まだまだ経験したことのない天候に踊らされている週となりました。
そんな台風22号の影響で、またもや大雨となる中、東京競馬場では天皇賞(秋)が行われ、王者キタサンブラックがG1・6勝目を挙げました。まさに無敵と言わんばかりのレースにファンの皆様同様「すごいな」と思わず呟いてしまいました。レースはスタート直後、1番人気のキタサンブラックが出遅れる形となりました。しかし、すぐさま豊ちゃんは内へと進路をとりました。前のレースからも荒れた馬場を嫌い、内側を空けることが明白になっていましたからね。そして、秋のG1複勝圏内を外していないミルコとサトノクラウンを見つけると、すぐさま後ろのポジションをとりました。逃げなくても、気分良く走らせることができたらキタサンブラックは負けないという自信もあったからだと思います。
そして、4コーナーでは後ろで我慢していたグレーターロンドンが抑えきれなくなりながら内からサトノクラウンを突くような形となりました。そこが、まさに勝負の分かれ目。突かれたことにより宝塚記念で、自分がしたことを逆にグレーターロンドンにやられてしまいました。それを一番喜んだのは間違いなくキタサンブラックと豊ちゃんだったと思います。迎えた直線では、手応え抜群のキタサンブラックが先に抜け出すと、外へ外へと進路をとりました。それを必死に追いかけるサトノクラウンをしりぞけ、歴代2位となる賞金をキタサンブラックが獲得する結果となりました。
しかし、この秋のG1では豊ちゃんとミルコの騎乗は減点が全くないと言っても良いと思いますね。完璧な騎乗と完璧な騎乗での対決だけだっただけに、悔しさは残っても悔いはないレースだったでしょうね。歴代2位の最強馬キタサンブラックとサトノクラウンの対決は見られても残り2戦だけに、まだまだ熱いレースを見せて欲しいと期待しています。
さて、今週は変則開催!皆様くれぐれもお間違えなく!!
金曜日には京都と福島
土曜日には東京と福島
日曜日には東京と京都 となります。
重賞競走はなんと全ての開催日で行われますのでご注目ください!その上に金曜日には大井競馬場でもJBCが行われますので、こちらに騎乗予定の騎手は京都・福島では騎乗出来ませんので、そこにも注意してくださいね!
その中でも、私の注目はみやこSに出走してくるエピカリスです。前走は少し不運なレースとなり、負けてしまいましたが、今回は万全のレースをしてくるのではないかと思っていますし、本当にこの馬は怪物級の強さだと思っていますから、ここで負けるわけにはいかないのではないでしょうか。京王杯2歳Sではエントシャイデンとタワーオブロンドン、ファンタジーSではアーデルワイゼとアマルフィコーストと続々と若い世代の注目馬が出てくる週となります。新しい台風はもう出なくていいですが、若くて強い馬が出てくることは楽しみでしょうがありません。怪物若駒発生に今週は期待しています!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。