元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
今年はやっぱり北だった
2017/12/27(水)
皆様、こんにちは!今年もとうとう最後のコラムとなりました。2017年もお付き合い頂き、誠にありがとうございました。今年の漢字も北に決まり、色々とありましたが、週末には競馬を観て、そして孫の顔を見られることが、改めて本当に幸せだと感じた一年でした。皆様にとってはどんな一年だったでしょうか?
今年は最後の競馬ではなく、最後から2番目の競馬でグランプリ有馬記念が行われました。圧倒的な1番人気にはこのレースで引退を発表していたキタサンブラックが選ばれ、続いて鞍上人気も含めスワーヴリチャード、シュヴァルグランと続きました。戦前より、枠の抽選会で今回のレースは決まったといっても過言ではないレースとなりましたね。スタート直後、キタサンブラックが抜け出すと、早々と隊列が決まりました。それを見て、これはもうキタサンブラックが勝ったなと思ってしまうような隊列でしたね。
迎えた向正面。他馬が全く動けない中、私個人としてはスタミナが豊富なシュヴァルグランが仕掛けた方がいい!と思ったのですが、全く動かず、それにしびれをきらしたスワーヴリチャードやサウンズオブアースが動いていきました。しかし、ゴールまでキタサンブラックはハナを譲ることなく、見事な勝利でG1・7勝目を獲得しましたね。今年の漢字を表す北さんブラック。レース後には元主戦の北むら君も参加してのセレモニーとなり、まさに北でした。
レース後には審議のランプが点されました。スワーヴリチャードがモタれたこととクイーンズリングが外側に斜行したことによりサクラアンプルールの進路が狭くなったためでした。これはミルコとルメールは騎乗停止になるなと思っていたのですが、箱を空けてみるとミルコが2日、そしてルメールは戒告になっていました。しかし、騎手目線で思うのは、パトロールを見る限り、直線に入った所からミルコは必死にもたれるのを我慢させている騎乗をしていたと言うこと。そして、半馬身も入らない間に、シュヴァルグランが大きな動きで内に斜行し、その際にルメールが出てきて再度、外に進路を変えてスワーヴリチャードにぶつかっていました。
そういうパトロールを見てからは、なぜボウマン騎手には何の制裁もないのか、非常に疑問を持ちました。普段ならば、ああいう展開の際は、壁になりながら走らせている騎手が内に斜行し、内でぶつかり、外にぶつかるというのは珍しいですし、全てに置いてオーバーリアクションと感じました。勿論、スワーヴリチャードがモタれていることが一番初めの要因になっていることは確かですが、少し納得のいかない内容だったように感じました。
さて、明日が最後の競馬!仕事納めの皆様も、年末の大掃除の前に最後の運試しといってほしい、中山では新設G1のホープフルSが行われます。こちらも有馬記念同様、豊ちゃん騎乗のジャンダルムが1番人気に推奨されて挑む一戦となりそうですね。その他にはクリスチャン騎乗のタイムフライヤーも人気を集めそうです。デビュー後から連対を外したことがない馬だけに、非常にこちらも楽しみな一頭です。それに調教で放馬してしまったルーカスやフラットレーが続いていくと思います。2017年最後のG1を制するのは、どの陣営か!?最後の一戦、お見逃しなく!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。