元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
負け方を考える
2018/2/7(水)
皆様、こんにちは!雪悩まされる週が続く中、相撲会の理事選挙では貴乃花親方が落選とニュースでも暖かくなるどころか、心まで寒くなってくる話題ばかりです。その上に相撲会でいうと大砂嵐関のニュースで話題が尽きることはありませんね。これでも尚、改革を行う側よりも昔からのルールや縛りを隠しながら行う側が強いといった理不尽な結果に日本の国技としての心配すら出てきてしまいます。
それでは唯一暖かくなる競馬の話題にまいりましょう!先週の日曜日は京都競馬場できさらぎ賞が行われました。メンバーとしては、現3歳の中では中級くらいになったなと思っていましたが、いい競馬が見られました。勝ったのは古川騎手とサトノフェイバーでしたね。古川君はテイエムジンソクに続いての重賞勝利で、芝の重賞となるとラブイズブーシェまで遡らないとなかったようです。しかし、それでも諦めずにコツコツと積み重ねてきた努力は嘘をつきませんでした。今回の騎乗も非常に素晴らしいの一言でしたね。
スタート一番、他の馬がいないとみると、自然とスピードの違いからハナを奪う形となりました。そこでも焦らずに馬のハミがかりに気をつけながら、バランスを体で取りながらの騎乗をしました。少しバランスの悪いところがありそうな馬ですが、鞍上が支えながらの騎乗はテイエムジンソクの時とは違う懐の深さがあったように感じました。これを焦らずにできたのは、もちろん結果が出ていることもありますが、自分自身が努力をしてきた自信があるからの騎乗だったと思います。直線でも外から迫るグローリーヴェイズを確認してから、少し待ってからの追い出しと、まさに熟練の技が光った一戦でした。
2着に敗れてしまったグローリーヴェイズですが、鞍上のミルコもワールドクラスの技をたくさん見せてくれたレースだったと思います。しかし、返し馬からも走りが軽い馬だけに、今のボコボコとしたタフな馬場では最高の切れ味を出し切ることはできませんでしたね。見ごたえのあるレースで見ているこちらも熱くなるようなレースでした。まだまだ、この上にはダノンプレミアムやワグネリアンといった才能馬がいることを考えると、今年のクラシックもレベルの高い一戦になる気がします。あとはここからの成長が大事なポイントになりますね。
そして、1番人気に推奨されたダノンマジェスティですが、これは可哀想なレースとなりましたね。返し馬や前走からも、性格の悪さが際立っていました。そこに今回テン乗りの松若君ということで、予想はしていましたが案の定の結果となってしまいました。こちらは調教からまた頑張っていくしかありませんが、レースでしか教えられないこともたくさんあります。そう考えると今回のレースでは負け方としては勿体ないという評価をしたいです。馬の中に入れることや前に馬を置くこともできず、ただただ外を走り、逸走してしまいそうな走りは本当に勿体なかったと思います。期待の若武者だからこそ、この敗北から学んでほしいところがありました。
ここで、皆様に確認ですが、今週は土曜日が京都と小倉、日曜日が東京と京都、そして月曜日は東京と小倉の変則開催ですからお忘れなく!さて、レースは勝つことも必要ですが、負けることから学ぶことも必要。そんな前走、年上との初対戦で負けたものの、負け方が素晴らしかったレイデオロが日曜日の京都記念に出走してきます。登録が10頭と少ないレースになってしまいましたが、ギュッと旨味の詰まった馬ばかりが出走してきますので、非常に楽しみです。しかし、こちらはあくまでトライアル仕様のレースとなるだけに他馬からすれば、ここは付け入る隙が少しはあるといった感じではないでしょうか。
その代表として、私はクリンチャーに注目したいです。今の京都の馬場で藤岡佑君の好調さに期待したいですからね。その他にも松若君のリベンジに同厩舎のミッキーロケットや牝馬クロコスミア、さらにディアドラ、モズカッチャンもいます。そして、対抗の1番手にはやはりアルアインが来ると思います。それぞれの馬の始動戦だけに読みにくいレースになると思いますが、見事な的中を期待しています。負けから学ぶのは、皆様も一緒!と期待しております。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。