元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
スプリント王
2018/10/3(水)
皆様、こんにちは!またまた台風がやってきましたね。もうお腹いっぱいなのですがそうも言っておられず、また我が家の水漏れ対策をする日々となりました。その台風の影響で阪神競馬では2日間の延長期間があり、火曜日に競馬を施行することとなりました。今までの経験上なかなか聞いたことがありませんでしたので戸惑いましたが、何とか無事に終わってよかったと思っています。しかし、働いている方々は非常に大変です。休みもなくなってしまいましたし、火曜日に競馬で水曜日には追い切りも行われますからね。馬の心配もですが騎手や厩舎スタッフなど競馬に関わる全ての人にとって大変な台風となりました。皆様、本当にお疲れ様でした。
その台風の影響がなかったとは言えませんが、2018秋のG1開幕戦スプリンターズSを振り返りましょう。1番人気には春のスプリント王ファインニードルが選ばれました。前回のレースを見る限り、これに勝てる馬はいないだろうと思っていましたが案の定、結果は完勝でした。着差はきわどかったとはいえ、展開から考えても、まず馬の力が違かったというころだったと思います。鞍上の川田君も返し馬では「あれ、まだ硬いな」と感じたと思います。そして、3~4コーナーでスピードが上がった時にも反応がイマイチだったと思います。しかし、そこからは別次元の強さ。これで春秋のスプリントG1を制し、名実共にスプリント王に上り詰めたファインニードルの今後が非常に楽しみです。
2着には厩舎初のG1挑戦をしたラブカンプーが入りました。前回のレースでは苦しい展開になりながらも力を見せてくれていましたからね。夏も使い通しできた3歳牝馬には、すごいという言葉しかありません。これで一旦放牧のようですが、将来の楽しみと言うよりは、こちらは逆に緩めた後が心配になります。どれだけの反動が出るかよく見ていてほしいです。そして、無事に帰り来年のスプリント界で再度、力があるところを見せてほしいと思います。3連覇に挑んだレッドファルクスは、残念ながら衰えと共に不運も重なり見せ場なく終わってしまいましたね。しかし、連覇したという事実が変わることはありません。父のスウェプトオーバーボードの後継者として、ぜひスタリオンになってほしいと個人的には思います。
しかし、今年というか近年のスプリンターのメンバーが少し見劣りすることが気になっています。今年のメンバーも、来年に何頭が残っているか?と聞かれると分かりません。来年はロードカナロアの意志を継ぐ馬たちもスプリント界に現れるでしょうし、一気にまた勢力図が変わる可能性もあります。いや、変わらなくてはなりませんね。
今週は火曜日まで競馬がありましたが、さらに土日月の3日間開催になりますよ。今週からは京都・東京開催に替わりますからお間違えないように!土曜には東京でサウジアラビアRC、日曜にも東京で毎日王冠、月曜には京都で京都大賞典、その他にも盛岡で南部杯が行われます。その中での私の注目はサウジアラビアRCに出走してくるグランアレグリアです。新馬戦では脅威の走りで爆走タイムを出しましたし、改めて東京となれば敵う相手がいるのかなと疑問に思ってしまうほどです。しかし、競馬はそこまで甘くないのも事実。2戦目で目に見えないほころびがでるか、そこが難しいところだと思います。
そして、南部杯は豪華なメンバーが揃いそうですね。中でもダート王ゴールドドリームVS新勢力ルヴァンスレーヴの戦いは非常に興味深いです。どちらもここが本番ではなく叩き台だと思いますが、それでも力を計る上では負けられない一戦です。競馬盛沢山の週となりますが、皆様、応援よろしくお願いいたします。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。