元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
デルモ
2018/11/14(水)
皆様、こんにちは!大好きな日本シリーズも終了し、日本代表の侍ジャパンが試合を行っています。バリバリのメジャーリーガー相手に対抗している侍を見ると、こちらまで胸が熱くなっています。野球といえば、日本の宝・大谷翔平選手がメジャーの新人王を取得しました。投手としてはケガもあり思った結果が出ませんでしたが、打者としては20本を超えるホームランを打ち、まさに投打の活躍だったと思います。日本を離れても環境が変わっても、ボールが変わっても変わらない活躍をする大谷選手は、本当に努力の人だと思わされましたね。簡単ではない、この変化に対応する適応能力もまた、現在のスポーツ選手にとっては必要な能力なのだと思います。
異国で適応能力を見せつけ、大きな活躍をするのは競馬界も同じです。先週行われた京都競馬では土曜日の11Rから日曜日の11Rまで全て外国人騎手が勝利しました。これも簡単に馬が良かったでは片づけられない話だと思います。元をただせば、言語も文化も食も違う中で日本の環境に馴染むことから始め、それを見事にこなしているデルモことデムーロ兄弟にルメール、モレイラの快進撃が止まらないのも納得してしまいました。
そんなデルモの活躍が著しかった京都競馬場では、牝馬最強の馬を決めるエリザベス女王杯が行われ、デルモの一人モレイラ騎乗のリスグラシューがとうとうシルバーコレクターを返還する勝利をあげました。レースは岩田君騎乗のクロコスミアが単騎逃げに打ってでました。これは遅くなるかもしれないと、カンタービレ騎乗のクリスチャンやミルコ、外にはルメールがポジションを取りました。その一枚後ろには、いつも以上にスタートを出たリスグラシューがつける中、迎えた3~4コーナーでもスピードは上がりませんでした。これは2番手の馬も3番手の馬も手綱を引いていたことからも納得。このことにより、レースはスローのヨーイドンになってしまいましたね。
それでも、ハナを切っていた岩田君としてはギリギリまで引き延ばしたヨーイドンなら負けないと思っていたと思います。それを差し切ったのですから、リスグラシューが強かったということだと思います。今回、完璧なレースをしたのがクロコスミア、そしてモズカッチャン。それ以上に展開も向き、完璧以上に乗ったのがリスグラシューだったのではないでしょうか。前哨戦の府中牝馬Sの結果を見ると、あの時もリスグラシューは完璧以上のレースで負けたということは、ディアドラは一体どれだけ強いんだと思わされてしまいましたね。今回はリスグラシューに女王の冠が渡りましたが、ディアドラとの再戦でどちらが本物なのか、もう一度確認したいとファンの皆様同様に思っています。
今週はマイルCSが京都競馬場で行われます。非常に豪華なメンバーとなりました。まずは春秋マイルを狙いたい、厩舎としても勢いのある矢作厩舎からモズアスコットが1番人気に推奨されそうです。前回は叩き仕様でロードクエストとミルコマジックにやられてしまいましたが、力はこんなもんじゃないと思っています。そして、モレイラからムーアに代わり、どのような化学反応がおきるのかアエロリットにも注目が集まっています。こちらはハナでの競馬になるかもしれませんが、先週の京都の馬場が続くようであれば非常にマッチするのではと思っています。
前回チャンピオンのペルシアンナイトも叩いて状態は上向きになっていると思います。前走では59キロを背負ってのレースで不利ある内容でしたので、今回はスムーズさが鍵になってくるでしょうね。ただ、馬を見ているとベストは1800に変わってきたかなという印象も受けています。そこは騎乗するミルコも合わせることができる自信があると思います。その他にもロジクライ、マイルに久しぶりに挑戦アルアインもいます。どの馬が勝っても盛り上がりそうなだけに、本当に楽しみなレースです。一体、どの馬が勝ち上るのか!?その目で、京都競馬場に行って確認してください!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。