元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
3ルール
2019/3/13(水)
皆様、こんにちは!週中から荒れた天気に外出する気にもなれず、家でぼーっとした週になってしまいました。そんな中、孫が家にご飯を食べにきてくれたのですが、あっという間に大きくなり、とうとう、あと少しで小学生になるということに気付きました(笑)。毎年のように来ると「じぃじ!こっち!」となついてくれていたのに、今では「じぃじ、こうしなきゃダメ!」と怒られたり指示されたりするようになりました。そんな孫が早小学生と、嬉しいような寂しいような感情になりました。
そんな成長を感じたのは競馬でも同じ。これは相当な器だなと思っていたダノンプレミアムが復帰レースで、その非凡な才能をまざまざと見せつけた金鯱賞を振り返りましょう。朝日杯フューチュリティSを制し、皐月賞を挫跖で出ることができずぶっつけで向かったダービーでは調子を整えることができず敗れましたが、思い切って9ヶ月の休暇を挟んだことで馬自身の体が復活し、更に気持ちも作られたことが圧勝に繋がったと思います。
レースはG1馬5頭が出馬する中、川田君、中内田厩舎、そしてダノンの3ルールがまたもや見せてくれました。朝から降っていた雨により馬場は大荒れの中、スタートすると久しぶりのレースで少し行きたがる面を見せながらも川田君がなだめてレースを進めました。道中、誰も動けなくなったことで、かなり遅めのレースとなりました。それも許容範囲とばかりに内ラチ沿いを進めると、迎えた4コーナーでは早々と外へ持ち出しました。その持ち出す手応えを見て、これは確勝だなと悟りました。直線もレベルが違う走りを見せつけ、ゴール前では早々と手綱を緩めたところからも、まだまだ奥があるのを見せつけてくれました。事前の調教から物凄い動きをしていましたが、まさにそのまま力を発揮してくれました。
2着にはリスグラシューが入りました。今回も素晴らしい走りをしてくれた当馬ですが、次走は香港ということも踏まえてのレースだったと思います。その中で、いつも通り安定した走りを見せてくれたところからも、今年の牝馬戦線はこの馬ではないかと思っています。3着には連勝中だったエアウィンザーが入りました。こちらも、このメンバーでこの走りというのは騎乗した豊ちゃんも、G1でやっていける手応えを感じたと思います。次走は大阪杯ということでドバイ遠征によりコンビを組めないのが非常に痛いところでしょう。
4着に入ったペルシアンナイトも素晴らしいトライアルになったと思います。2000mにシフトしてきましたが、今回のレースは次に対して上積みのあるレースになりましたし、騎乗したミルコにとってはこの距離でも手応えを得たと思います。この4頭に関しては次が未定の馬を含め、大阪杯で対決が見られる組み合わせもあるだけに、中距離路線は本当に層が厚いなと思わされましたね。とりわけダノンプレミアムに関しては海外でも勝てる才能を見せつけてくれましたので、日本国内に限らず、世界の扉を叩いてほしいと思いました。
今週も重賞は続きます。土曜日には中京ではファルコンS、中山ではフラワーC、日曜日には中山でスプリングS、そして阪神で阪神大賞典となります。そんな中、予想が面白いのは阪神大賞典になります。前回Vの石橋君から戸崎君に変わってどうなるか楽しみなシャケトラに、長距離路線では負けられないリッジマン、その他にも長距離・アドマイヤ・岩田騎手の3ルールにも注目したいですし、斤量が軽いコルコバードもここで新しい味が出てくれたら楽しみだなと思っています。
スプリングSでは1800mに挑むファンタジスタと豊ちゃん、才能は抜群のヒシイグアスにも注目しています。シークレットランと内田君もここで勝ち切ることができれば、皐月賞が更に楽しみとなるだけに馬体重を含めてチェックしたいと思います。馬券・予想・買うという皆さんの3ルールで、的中馬券を手にしてください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。