元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
特殊馬場と枠
2019/4/3(水)
皆様、こんにちは!新元号が令和に決定されました。万葉集からの引用で令月からとったとのことでした。言葉としても非常にスマートで言いやすく、すぐに慣れるのではないかと思っています。ローマ字ではREIWAとなるみたいですからR元年が始まる来月が本当に楽しみになりました。昭和から平成で世界が変わり、まるで別世界のように成長を遂げた日本が、新しい令和で、また新たな世界にどう変わるのか想像もできません。その変化に競馬界も更に前へと変化を遂げてもらいたいと思います。
さて、平成最後のG1は沢山ありますが、その中の大阪杯が行われました。昇格後3回目のレースになりましたが、すごく豪勢なメンバーが出走してきました。しかも、偶然なことに1枠にはダービー馬2頭、2枠には皐月賞馬2頭、そして7枠にはマイルCS馬が2頭入る形となり、枠で勝負という方もいたのではないでしょうか。その混戦を制したのは、北村友一君とアルアインでした。前日から降り続いた雨の影響に、特殊な馬場となった今回。多くのレースでは4コーナーで馬が滑りまくっている状態で、落馬した騎手もいただけに、今回の馬場は特殊中の特殊でした。その中で、内の馬場は非常によく、滑らないことからも、前回に続き内枠がチャンスかなと思っていましたが、まさにその様な結果となりましたね。
勝ったアルアインは逃げるエポカドーロの後ろ、内ラチ沿いをノーマークで進み、直線ではキセキと川田君が馬場のいい外を選んだことで、後ろの馬みんなが外へと膨らまされるようになりました。その結果、すっぽりと開いた内をスルスルと抜けてくると気難しいアルアインの特性を考えて乗った北村友一君に軍配があがりました。去年にはキャリアハイとなる90勝をあげていた関西のホープがとうとう一つ殻を破った形となりましたね。その前週では1番人気のダノンスマッシュで納得のいかない騎乗をしてしまった後だっただけに、ここで来たか!という感じだったと思います。このレースは本当に内枠天国のレースになっていましたからね。
1番人気に選ばれたブラストワンピースに関しては1コーナーでスタート後、ペルシアンナイトが外からかぶされる形になり内に入れ、そこで押し込められたこと、ペースが遅かったこと。これで万事休すという形になりましたね。本当についてないと言うしかないですが、有馬記念で見せたように乗り方に注文がつくだけに、今後も鞍上を悩ます期待馬になるのではないでしょうか。ここでの結果は力が全てではなかったですし、宝塚記念では馬場次第でまた着順が大きく変わることになると思います。
そのレースの前では、強豪集まるドバイでアーモンドアイがやってくれました。日本馬が得意としているドバイターフで見事な勝利。2着には引退レースだったヴィブロスが入り、ワンツーフィニッシュに日本は沸きましたね。しかし、今回はルメールも強気に乗りましたね。その分、最後は甘くなるとこはありましたが、それでも完勝と言ってもいいと思います。個人的には、もう1~3馬身ほどの引き離しが欲しかったですが、初めての海外レースでこれだけのレースができたのは本当に立派です。今後は凱旋門賞に向けて動いていくでしょうし、本当に楽しみで仕方ありません。
そして、今回のゴールデンシャヒーンでマテラスカイの2着は歴史的快挙だと思います。スピード重視のアメリカ馬を負かしての2着は日本競馬のスピード強化の結果でもありますし、これでヨーロッパのみならずアメリカに向けていい挑戦状になったと思いますから。
そんな興奮の後は、平成最後の桜花賞が行われます。阪神の桜は果たして咲き誇るのか心配ではありますが、ここでもまた日本人騎手の戦いが熱そうです。まず注目を集めるのは2歳女王ダノンファンタジーと雪辱を晴らしたいクロノジェネシスではないでしょうか。鞍上の北村友一君はG1を取ったことでひとつ上の階段を登っており、非常に楽しみなレースになりそうです。復権したいルメールとグランアレグリア、姉との続きは妹と種牡馬(ヴィクトワールピサ)とは世界を制したミルコとアクアミラビリスもいます。
その他にも前走で競馬を覚え状態がよくなりそうなのはエールヴォア。体調が整えばアウィルアウェイや穴注目シゲルピンクダイヤ、能力は間違いないビーチサンバなど、どの馬が勝ってもおかしくないレースだと思っています。今回も土曜日のレースから枠なりの走りを確認し、展開を予想することが非常に重要になってくると思います。果たして、どの馬が平成最後の桜のティアラを手にするのか。非常に楽しみです!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。