元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
盤石
2019/4/24(水)
みなさん、こんにちは!最近、ニュースでは高齢者ドライバーの事件がたくさん流れてきます。非常に悲しく、想像するだけで亡くなられた家族を思うと胸がはち切れそうになります。特に田舎では、車が無ければ生活も難しいのは理解できますが、何度も同じ過ちをおかさないよう新しいルールが必要になってくると思います。勿論、自動運転の更なる技術向上もひとつですが、高齢者やドライバーの定期的な能力テストも行うべきだと思います。働いている人は時間を取るのが難しいというならば、国として義務にするべきではないでしょうか。車社会が当たり前になり問題を起こす。それを無くすために前進する必要があります。騎手でも毎年、能力テストを行います。そこで、騎手としてライセンスを所持してもいいかを判断されますから。少しでも事故のない社会にしてほしいものです。
それでは競馬の話をしましょう。先週は3つの重賞が行われました。その中でも福島牝馬Sでは、現役最年長騎手・柴田善臣君の重賞勝利は勇気をもらいましたね。レースも、4コーナーから強気に動くと横綱相撲での押し切りで、世間のおじさんたちにも諦めなければ、結果は出せるということを証明してくれたようなレースでした。勝ったデンコウアンジュは、本当に息の長い走りで、重賞2勝目になりました。いつも、本当に頑張る本当の馬主孝行だなと思いました。そういえば、善臣君がまだ若いころ、朝が弱くよく起こしに行ったのを覚えています。普通、先輩を後輩が起こしにいくのならわかるのですが、彼は逆でしたからね(笑)。あの頃、違う後輩が私を起こしにきて、起きた私が善臣君を起こすという、変なルーティンがあったのも、今となれば良い思い出です。
東京競馬場で行われたオークストライアルフローラSではウィクトーリアが勝利しました。戦前からハナに行く競馬が予想されましたが、スタートでは出遅れ。騎乗した戸崎君が、腹をくくるレースにすぐに切り替えました。代わりに、ハナに立ったのがジョディーと若武者・武藤君でした。ペースを程よく落としたことで、1番人気のセラピアも苦しくなってしまいましたね。そのまま4コーナーを回る際にもペースが上がらないことから、直線でよーいドンの競走となりました。このペースで直線まで入ったことからも、ジョディーの逃げ切りか!?と思った矢先、内ラチぎりぎりから岩田君とシャドウディーヴァが物凄い脚で迫りました。
すると更に大外からウィクトーリアと戸崎君が一気に勝負をかけ、すさまじい末脚で全てを差し切り勝利を上げました。逃げ一辺かと思われていた馬が、今回勝ち切ったこともそうですが、控える競馬ができたことで、本番に向けて幅が広がる最高の勝利だったと思います。父ヴィクトワールピサから器用なレースセンスを引き継いでいたのではないかと思います。この2頭は本番でも非常に楽しみになりましたね。
さて、今週はゴールデンウィークに突入する週末です。
競馬は変則開催ですから、くれぐれもお間違えなく!
土曜日は新潟・東京
日曜日は京都・東京
月曜日は京都・新潟 の日程になりますから。
その中日の日曜日には京都競馬場で天皇賞(春)が行われます。残念ながらシャケトラは走ることができなくなり、混戦が予想されます。まずは、菊花賞を戦った2頭の対決に注目したいです。菊花賞馬フィエールマン対最強のシルバーコレクターエタリオウですね。フィエールマンは距離さえこなすことができれば今回も盤石ではないかと思っていますが、エタリオウからすればもう負けはいらないというところではないでしょうか。その他にも、調教の動きが素晴らしいグローリーヴェイズに目がいってしまいますし、友道厩舎のもう一本の矢ユーキャンスマイルにも注目です。そして、京都の下り坂を使わせたら豊ちゃんの次に上手い蛯名君も腕でどこまで対応してくるのかを楽しみにしています。是非、淀で熱いゴールデンウィークを!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。