元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
大事件
2019/6/19(水)
皆様、こんにちは!先日、大阪吹田市では大変な事件がありました。警察官を刺し、そして銃を奪って逃走。最後は山の近くのベンチで寝ているところを逮捕されました。しかし、メディアには、逮捕後なぜそのようなことをしたかなどの原因や犯人の状況が何も上がってきていません。今は刺された警察官が復活することを第一に思うと同時に、今回の事件の原因や計画的だったのかなどを、いち早く調べてもらいたいと思います。
事件といえば、競馬界でも大変な事件が起こりました。JRAファシリティーズが販売する馬用サプリが検査前に売り出され、古いロットの物は検査済で問題がなかったのに対し、新しく作ったものでは異常を検知。しかし、前は大丈夫だったからと販売後に検査結果を出すというあまりのやり方で、150頭を超える馬が急遽出走取消となる始末。本来、調教師が禁止薬物を出した時は罰金など厳しい対応を取っているJRAも、今回ばかりは自分たちの子会社で取消した馬の優先出走権だけでは済まないと思っているのではないでしょうか。
具体的な罰則は上がっていないにしても、調教師を初め、乗鞍をもらい騎乗手当を期待している若手騎手だって沢山います。来週以降でとなった場合、違う騎手に替えられるパターンだってありますから。そう考えると、馬主様、調教師、騎手へと何らかの謝礼金ならびに罰則がJRAにもいるのではないでしょうか。公正競馬を目標にしている以上、今回のことは非常に大きなことだと思っています。ここでの立ち振る舞いで自分たちに罰則のないものであれば、有利なことに対してのみ動かないのであれば、レースの採決内容も結局そういうことなのかとなってしまします。だからこそ、ハッキリとした形での解決をいち競馬ファンとしても見てみたいです。
そんな中、6頭が取消しとなり函館スプリントSが行われました。予定していた1番人気ダノンスマッシュも運悪く除外となり、1番人気にはタワーオブロンドンが選ばれました。レースは7頭立てということもあり海外競馬なみのスローペースとなりました。そんなレースを引っ張ったのが逃げの江田君とカイザーメランジェでした。その後ろには、本来後ろからの競馬がしたかったであろうアスターペガサスも勝つために仕掛けてきました。これは手綱が戻った小崎君の好判断だったのではと思っています。
そのまま迎えた4コーナーでは、楽に逃げていたカイザーメランジェが更に後続を引き離し、見事江田君の8年ぶりの重賞制覇となりました。2着にはアスターペガサスが入り、3着には58キロを背負ったタワーオブロンドンとなりました。アスターは違う競馬でも展開に合わせにいった分の甘さが出たと思いますが、こればかりは目に見えて展開が合わないだけに仕方ないところはありましたね。初めてのスプリント戦を走りきったタワーオブロンドンは大きな収穫だったと思います。これで次のスプリント戦は更に面白い存在になってくると思います。
このザワザワとしている競馬界ですが、今週末には夏競馬開始の合図であり、春競馬の終わりでもある宝塚記念が阪神競馬場で行われます。今のところ予想される天気は雷雨。何か、衝撃的なレースになりそうな予感がしています。そんな中、1番人気に推されるのはキセキではないでしょうか。菊花賞後は勝利のない馬ですが、常に挙げてきた善戦の結果が、この予想される馬場と展開でチャンスを迎えるのではないでしょうか。
その他にも、適性距離に戻ってきたことで力を発揮できると思うエタリオウにも注目しています。今までは長距離でもと思ってきた馬ですが、真面目さが出たことでベストは2000~2200mになっていると思います。だからこそ、かなり期待しています。その他にもスティッフェリオなど穴候補にも注目しています。一体、どんなショーが待っているのでしょうか!?
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。