元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
1,2ペア
2019/9/4(水)
皆様、こんにちは!早いもので9月を迎えました。2019年も残り3ヶ月となり、いよいよラストスパートという感じがします。10月になれば消費税の増税もやってきます。この増税で国が良くなるのかと不安に思うことばかりですが、過ごしやすい日本になってくれることを願うばかりです。
それではレースの話をしましょう。まずは土曜日に行われた札幌2歳Sでは、初年度になるゴールドシップ産駒の2頭が圧巻の走りで勝利を上げましたね。個人的にはゴルコンダが自分の形でレースをすることを予想していたのですが、コスモインペリウムがハナを奪うと、アールクインダムが続く形となりました。再注目していたダーリントンホールは、そのため内ラチ沿いを進む形になりました。
これは嫌な予感がするなとレースを見ていると、札幌らしく4コーナーでは外から勢いよくスパイラルカーブを活かした馬たちが一気に上がってきました。その上、逃げた馬が垂れてくる形になり、更にスペースを見つけることが難しくなり池添君は踏み遅れてしまいました。それを見ながら、外からはゴルコンダとレザネフォール、そしてブラックホールが一気にマクりにいきました。すると落鉄に近い状態になってしまっていたゴルコンダが止まる中、ブラックホールが一気に他馬を突き放し、強い内容で勝利をあげました。
2着には後方から一気に末脚を活かしたサトノゴールドが入り、ゴールドシップ産駒らしからぬ瞬発力を活かした2頭の結果となりましたね。3着にはダーリントンホールが入る結果で終わりました。実力で負けたわけではないだけに次のレースに注目したいですね。まだまだこのレースから強い馬がいたか?と聞かれれば不確かなではありましたが、それでも2頭のゴールドシップ産駒の成長力には期待せざるを得ませんね。種牡馬としては、あまり期待できないかなと思っていたのですが、この結果からも大当たりか外れかが激しい血統になるかもしれません。
新潟ではサマー2000シリーズ最後の戦い新潟記念が行われ、岩田君とユーキャンスマイルが勝利しました。戦前では距離は短くないのかな?と思っていましたが、そこは流石、友道厩舎に岩田君というレースでした。ブラックスピネルがハナを奪う形になり、ペース次第では以前の重賞制覇したようなレースになるのかと見ていましたが、少しラップが早くなりすぎました。迎えた4コーナー。レイエンダにプレッシャーを浴びたジナンボーは、もう少し構えたい所で動くしかなくなりました。それでも手応えは十分なように見えましたが、最終週で内が空くのを知っていた岩田君は内ラチを沿って走らせ、直線では一気に馬場のいい外へと出しました。まさに岩田!と言わんばかりの好騎乗で、距離不安がある中でも勝ち切らせることができたと思います。
2着には同じ勝負服のジナンボーが入りました。以前から爪が弱い馬だけに、前走から緩くなった馬場であれば本領発揮できる走りを見ていたため、こちらも勝てるチャンスがあると思っていました。しかし、勝敗を分けたのは岩田君の度胸と4コーナーで予想外に手応えが良いために絡まれてしまったという違いだったと思います。土曜日にはゴールドシップ産駒の1,2、日曜日は金子オーナーの1,2という結果になりました。ユーキャンスマイルに関しては、この勝利で秋が非常に楽しみになりましたし、ジナンボーに関しては高速の固い馬場でどんな走りができるのかを見たいと思います。
今週からは中山、阪神開催に変わります。2場開催になるだけに、騎手にとってはレースが減る中、勝利を掴みたい開催になると思います。ここからは注目の新馬も出てくるでしょうし、非常に楽しみです。土曜日の中山では秋華賞に向けて紫苑Sが行われ、日曜日には中山で京成杯AH、阪神ではセントウルSが行われます。
その中でもセントウルSには、春のスプリント王ミスターメロディーが出てきます。今回は58キロを背負ってのレースですし、本番までの叩きという要素をどう捉えるかが大切なレースになりますね。アメリカに渡るため、叩きレースがなく久しぶりの芝を走るマテラスカイも楽しみですね。スケジュールがタフですが、タワーオブロンドンも力としては十分かなと思っています。その他にも前回、初のスプリントに戸惑っていたファンタジストも2回目でどう変わるか楽しみにしています。どの馬が秋につなげる競馬をできるのか。本番前のために必ずチェックしてください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。