元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ルメール・川田の年
2019/9/12(木)
皆様、こんにちは!先週の台風の影響により千葉では断水や停電が続いています。その中、SNSを通じて沢山の人が助け合っているニュースを見ると、日本とは何て素晴らしい国なんだと改めて思わされました。そして、千葉に本拠地を置いているZOZOがヤフーに売却されるニュースが流れました。前澤社長のことなので、この売却から次への計画ならびに資金を使用して、千葉へ更なるヘルプを出すのではないかと思っています。
そんな台風の前に行われた競馬の話をしましょう。たくさん行われたレースの中からセントウルSを振り返りたいと思います。スプリンターズSを狙う馬達にとっては非常に大事なトライアルになった中、勝利したのは札幌から中1週で挑んだタワーオブロンドンでした。
スタート後、イベリスがここでハナを主張すると思っていたのですが、マテラスカイとラブカンプーが前にいったことで引く形となりました。これは少しがっかりしてしまいました。ここで意地でも主張してくれていれば結果は変わったかもしれません。ただ、そこから他が引かなければ3着もなかっただけに、非常に難しい1コーナーとなりました。3番手にはスプリント2戦目で期待していたファンタジストがつける中、勝利したタワーオブロンドンは内をスルスルと自分のペースで走ることができました。ここを見た時、疲れがなければ勝つと思わされたほどでした。直線に入ると圧巻の走りで3馬身突き放す結果に、こちらもスプリント3戦目にして、仕上がったという走りだったと思います。
2着にはファンタジストが入りました。こちらはレース経験の少なさからも、まだまだ伸びしろがあると思います。この1・2着馬は本番でも非常に楽しみなレースになったと思います。3着にはイベリスが入りました。最後は狭い所をこじ開けてきたあたりは、これからも期待できる内容だったと思いますし、何よりレース前から体が増え、走りが非常に良くなっていたことからも、来年は更に楽しみな一頭だなと感じました。勝利したタワーオブロンドンは今回の経験を活かし、藤沢マジックで仕上がれば本番こそダノンスマッシュを逆転できるのではないかと思ってしまいます。しかし、鞍上がルメールから変更になってしまうあたりはどう考えてもマイナスになってしまいますし、そこだけは考えて本番に臨まないといけないでしょうね。
このレースが終わり、サマーシリーズが終了となりました。サマーシリーズでスプリント王にはタワーオブロンドンが選ばれましたが、その他は該当馬がなく、サマージョッキーには2019年を圧倒している川田君が選ばれました。全てが順当な結果だと思います。特に川田君は2019年初めから勝ち星を伸ばしていましたが、イギリスでシャーガーカップが終わってからというもの、技術だけでなくメンタルでも強くなったような気がします。個人的には更なる新しい階段を昇ったように思えます。秋になれば短期外国人がたくさん来日してきますが、日本代表として結果にこだわったレースを期待しています。
さて、今週は3日間開催になります。その中でもローズSからは目が離せません。頭数としては12頭立てになりましたが、ラヴズオンリーユーが回避となった今、ここのメンバーからは目が離せません。自在性が出てきたウィクトーリアや休ませて成長していれば楽しみなダノンファンタジー、ビーチサンバやシゲルピンクダイヤもいます。その他にもシャドウディーヴァやスイープセレリタスなどの成長面も楽しみです。今週から少し涼しくなりそうですし、馬にとっても能力を発揮しやすい環境になるだけに、是非その目で走りを確認してください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。