元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
A.RA.SHI
2019/11/14(木)
皆様、こんにちは!世間のニュースは嵐の二宮君の結婚の話題で持ち切りになっていますね。嵐を知らなかった私ですら、映画を見た際に素晴らしい俳優さんがいるなと思い、息子に「この俳優さんはだれ?」と聞いたのを未だに覚えています。そこから二宮君をテレビで見ない日はないというくらいまで有名になりましたね。その他にも、我が家では木曜日には必ずVS嵐を見ています。亡くなった祖母が関口宏の東京フレンドパークを毎週見ていたのですが、今となっては嵐が定番となっています。だからこそ、結婚と聞いた時にすごく嬉しくなりました。色々と芸能人で大変なこともあると思いますが、幸せになってもらいたいなと思います。
それでは競馬の話をしましょう。こちらは絶賛の嵐、スミヨンとラッキーライラックが見事にエリザベス女王杯を制しました。前日の豊ちゃんのコース取りを見ていたと思いますが、それにしても素晴らしすぎるレースだったと思います。少し伸び悩んでいたラッキーライラックをここで復活させるあたりもスミヨン騎手の腕だったのではないかと思います。その前の週には、強引なコース取りで罰金などを受けていましたが、世界のスタンダードにあった戦う競馬ではないかなと思っています。
レースはスタートから、少し馬が行く気がないと思うとスっと内ラチへと付けました。前にはクロノジェネシスがいたことも、スミヨン騎手としてはこのポジションでいいのかと安心した材料になったと思います。そして、最後の直線では内の進路を選ぶやいなや、素晴らしい脚で伸び勝利しました。勝利騎手インタビューでは、「あのオルフェーヴルの子供だっただけに思い入れがあった」というのにはすごく嬉しかったですね。あの時、交わされた悔しさを彼の中で持ち続けてくれていたのだと思います。今回は彼の娘で、彼のように遊ばないようラチを添わせる形で走ったことも完全勝利に導いた一因だったと思います。
2着にはケガの戸崎君に変わり藤岡佑君が騎乗したクロコスミアが3年連続2着という結果となってしまいました。しかし、コースといいレース展開といい、全てがこの馬に当てはまったレースだったと思います。3着には1番人気に推奨されていたラヴズオンリーユーが入りました。脚元の不安から秋華賞をスキップしてこちらに回ってきましたが、非常に残念なレースになってしまったと思います。特に1週前の調教がすごく気になりました。騎手が騎乗しての調教で、いつも以上に長く強く調教を行っていました。あの時点で、少し太いと感じたのだと思います。しかし、牝馬の性格上、厩舎サイドはもう少し遅めでもと思っていたのではないでしょうか……。
その結果、当週にはノーリアクション調教となり、迎えた当日。数字上ではプラス16キロとなっていましたが、春から伸びた背を考慮すれば、もう少し体重があっても良いような馬体に写りました。そのため、パドックを見た時に勝ちはないなと確信しました。レースはスタートが決まったこともあり安全策の騎乗になっていましたが、非常に面白みもなく尚且つ本来の調子でないのであれば、モタれたり伸びないのは分かっていました。結果として3着に入れたのは能力の違い、何とか持ち直そうとしたスタッフのおかげだったように思えます。次走は香港になるということで、他の馬よりも気を使う必要がある一頭だなと感じています。調子さえ整えば、圧勝もありえる馬だとも思っています。
今週はマイルCSが京都競馬場で行われます。この古い京都競馬場では最後となるだけに、楽しみにしています。その中でも注目を集めるのがダノンの2頭、ダノンプレミアムとダノンキングリーだと思います。私の注目もダノンキングリーになります。しかし、今回はずっと相棒を務めていた戸崎君がケガのため離脱。代打に典ちゃんが騎乗することになりましたが、天才といえど、この騎乗変更はプラスに働くかは不安しかありません。しかし、そこでも力を見せ、さすが典ちゃんという騎乗をしてくれることに期待しています。
ダノンプレミアムとしてもここは負けられない一戦になってくると思います。スタートも良く、ポジションを怖がらずにとることができれば川田君の今年初G1も見えてくると思っています。その他にも福永君の騎乗停止から池添君に変わるインディチャンプやムーアで参戦のアルアイン、マーフィーでどう変わるのか楽しみなペルシアンナイト、G1初騎乗の岩田望君もいます。まさに最強マイラー決定戦に相応しいメンバーに騎手。万馬券の嵐を生むのは今回かもしれません!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。