元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
イェーイェーイェー
2019/12/12(木)
皆様、こんにちは!今週11日には東京丸の内で、感動をくれたラグビー日本代表がパレードを行いましたね。参道には沢山のファンの皆様が集まり、田中選手は終始涙目でパレードを終えました。少し前までは、何で日本代表なのに外国出身の選手が沢山いるんだろう?とかトライしたら何点入るの?と思っていた私もすっかり今回の試合を見たことでラグビーファンになってしまいました。何よりも屈強な男たちがしのぎ合い、ノーサイドの精神で戦う姿は潔さと本当の強さを見せてくれた気がします。この感動やブームを一時的なものにしてはいけません。日本が更に強くなるためには、ここからが大事な時期になると思います。
競馬界でもワールドカップのような香港国際競走が先週行われました。残念ながら最強牝馬アーモンドアイは熱発のため出馬が叶いませんでしたが、まずは香港ヴァーズに出馬したグローリーヴェイズでモレイラマジックが炸裂し、見事な勝利を挙げました。しかし、流石というか、上手すぎるというか、本当に凄すぎる手綱さばきでしたね。グローリーヴェイズにとっては初G1となりましたが、この馬は新馬の時から重賞を取る力があると思っていましたが、まさかG1馬まで上り詰めるとは驚きでした。鞍上の匠なコントロールや陣営の調整力もありましたが、何よりもコースがマッチした気がします。次走は未定でしょうが、この勝利で勢いをつけ、再度G1馬としての走りを見せてもらいたいと思います。
香港マイルではアドマイヤマーズがやってくれました。オーナーがNHKマイルC後から、このレースを目標にしてくれと頼んだマーズ。しかし、残念ながらレース前にオーナーが亡くなってしまいました。そのオーナーが、このレースのために仕上げたスーツをサイズ調整し、管理する友道先生が着て、そして勝ち取った。これは本当に感動的な勝利になりました。マイルでは無敵と思っていたマーズですが、本当に強かった。そして、何よりも鞍上したスミヨン騎手も素晴らしかった。前走、富士Sでは内にモタれる面を見せたり、スタートが少し遅くなっていた馬を全て修正し、尚且つ強みでもある負けん気を活かすよう、直線ではノームコアに併せにいき、手応えがないとみると更にもうひとつ外へ併せにいきました。まさに匠なレース運びで、世界のトップ騎手の技術を見せつけてくれたと思います。
香港カップではアーモンドアイがいなくても、香港が大好物のウインブライトが見事な勝利で春秋のG1を制しました。少ない頭数でも馬を信じ、乗り切った松岡君からは日本人としてのプライドが見えました。インタビューでは片言ながらも英語で堂々と受ける彼の姿勢からも日本人騎手も少しづつ世界へと目を向けてきているのだなと実感させられました。イェーイェーイェーが非常に耳に残っています(笑)。
阪神ジュベナイルFで2歳初のG1勝利を挙げたのはレシステンシアと北村友一君でした。北村君はG1初勝利から一気に今年3つ目のG1勝利を挙げましたね。今回はリアアメリアが抜けているだろうと思っていましたが、レース内容は圧巻の走りでした。これで、来年の桜花賞に向けて、大本命になったのではないでしょうか。しかし、私個人としては、まだリアアメリアも本気で走っていないように見えましたし、次で判断したいと思います。
2歳牝馬G1の次は混合2歳G1朝日杯フューチュリティSが行われます。注目は前走も圧巻の走りサリオスに集まると思います。しかし、コースや輸送などまだまだ不安なところがあるのも事実だと思います。デイリー杯2歳S、見事すぎる勝利を挙げたレッドベルジュールがいますし、絶好調・西村厩舎のタイセイビジョンで豊ちゃん悲願の勝利になる可能性も見えています。その他にも香港を制した勢いでウイングレイテストと松岡君のコンビ、ダートで圧巻の走りをしていたタガノビューティーの初芝でアジアエクスプレスのような結果も予想できます。まだまだ成長過程の2歳だけに、非常に難しいレースになると思います。馬券ゲットで皆様もイェーイェーイェーグッドデイになりますように!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。