元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
逃げラブ
2020/7/8(水)
皆様、こんにちは!今週は台風のような大雨や風で大きな被害が出ました。コロナが少しずつ収まってきた頃に今度は大雨と、本当に厳しい時が続きます。しかし、こういう時だからこそ、強く思いを思って生きなければと思います。そんな中、24時間テレビのメインパーソナリティーが発表されましたね。今年はコロナの影響で例年と違う内容での放送になりそうですが、夏のひとつの楽しみだけに、どういったことをしてもらえるのか非常に楽しみです。毎日のように変化する当たり前の生き方。しかし、その中でも楽しみを見つけ対応していくことが大切なんだと思い、頑張っていきましょう!
先週の競馬を振り返りましょう。福島では落馬事故が続き、団野君が骨折報道も、精密検査の結果、打撲で済んで良かったなと安堵と共に津村君に関しては鎖骨骨折と発表されました。津村君はケガから復活してすぐだっただけに、非常に残念でなりません。いつも見栄えの良いきれいな乗り方をする騎手だけに、レースにいないのは残念です。ただ、この続くケガの中で、彼がどうメンタル面を成長させてくるのかは楽しみです。
そんな怪我をしてしまった団野君が騎乗予定だったバビットが代打内田君を背にラジオNIKKEI賞を制しました。団野君にとって残念ではありましたが、素晴らしい走りだったと思います。毎年、福島の重賞を勝つ馬は、私の中では力以前に適応能力が大切と思っています。一見、右回りの小回りコースという印象だけですが、なぜか走る馬を選ぶんです。だからこそ、ここを勝って菊花賞へ!というイメージはなかなか持てませんが、それでも圧巻の走りは、今後も楽しみになったのは間違いありません。
内田君も勝利騎手インタビューで団野君が乗る予定だった馬に依頼をもらえたことに対し、精いっぱい応えることが騎手の仕事だし、今回は勝ててよかった。団野騎手がこれをバネに更に成長してほしいという言葉は素晴らしかったと思います。下手をすれば息子くらいの青年に向けて父からのエールって感じがしましたからね。
阪神競馬場では団野君の同期、斎藤新君がやってくれました!11番人気だったラブカンプーを勝利に導き、CBC賞で見事な重賞初制覇となりました。51キロと軽量ハンデを活かしながら、素晴らしいペースで逃げでした。何よりも感じたのは重賞で好走していた同馬ですが、ダメージが大きく最近は思った走りをできなくなっていました。しかし、それを粘り強く、彼女の復活を色々な施策とトレーニングをしてきた陣営や牧場の結果だとも思わされたレースでした。
夏は若手の重賞制覇の季節とも呼べますが、陣営の努力と斎藤君の思い切りの良さが生んだ勝利だったと思います。ゴールでの大きなガッツポーズも非常に気持ちがこもっており気持ちの良い勝利でした。先週は福島、阪神、函館のメインに英ダービー、エクリプスSと全て逃げ馬が勝つ現象が起きましたね。なかなか珍しいことではありますが、こんな偶然も面白いなと思わされました。
今週も逃げ馬が躍動するのか、それとも英オークス馬ラヴやラブカンプーに続くラヴラブ旋風が起きるかが非常に楽しみな週になりそうです。福島では七夕賞、阪神ではプロキオンSが行われます。年に1度の織姫と彦星が出会う七夕に、だんだんと強くなる愛という意味のクレッシェンドラヴが人気を集めそうです。その他にはジナンボーやヒンドゥタイムズも注目されそうですね。
そんな様相の中、私の期待の一頭はブラヴァスになります。母はあのヴィルシーナで父はキングカメハメハという良血ですが、本格化を迎えてくる気がしています。ただ、先に書いた通り、福島コースの走りは初めてですので、そこが対応できるかが問題かなと思います。今週のトレンドは逃げなのか、ラヴなのか、若手勝利なのか流れを見逃さないように土曜日から熱烈チェックしましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。