元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
チーム サンガの躍進
2020/7/27(月)
皆様、こんにちは!コロナ禍は収まることがなく、第2波と見られる波に襲われています。重症者の発表が少なく、無症状の方が多く出ていることからも国民の危機感が薄くなってきている現状があります。しかし、経済を回すために国は注意を促すレベルでしか動けなくなり、1人1人の責任へと変わってきています。その中で、どう行動するかを常に考える必要があると思います。読者の皆様も、お気をつけくださいね。
そんなコロナの影響で再開していたJリーグの名古屋対広島の一戦が延期となりました。スタッフや選手に新型コロナが発見されたためです。いくら気をつけていても感染してしまうコロナに非常に怖さを感じました。しかし、その他の試合は決行されました。その中で、京都出身のサンガからレッズ、ケガを乗り越え札幌でプレーしている駒井善成選手がJ1初ゴールをマークしました。
このゴールに影響されたのは、駒井選手と幼少期にサンガの下部組織で一緒にボールを追いかけた菱田騎手でした。新潟開幕週に行われたアイビスサマーダッシュでは、菱田君騎乗のジョーカナチャンが1番人気のライオンボスを抑えて勝利。積極的に上手く乗ったなという印象を受けました。菱田君と言えば、技術には定評があるも、どこかマイペースというのか波に乗り切れない印象がありました。しかし、今回のレースでは馬を信じ、このレースで結果を出すんだという強い思いが垣間見えた騎乗だったと思います。
スタート後、少しバランスを崩しながらも焦ることなくしっかりとバランスを立て直すと、ダッシュ力を活かし、すぐさま外ラチへと寄せていきました。この時、外にいた1番人気ライオンボスと鮫島駿君を見ながら前へとポジションを取ることができました。相手を抑えながらも自分の競馬をできたことが今回の勝因だったと思います。菱田君にとっては重賞3勝目となりましたが、サンガのチームメイトとのW勝利と得点は彼の中でも思い出になったのではないでしょうか。
その後ろに入れ込まれたライオンボスは2番手でも良いという判断で下げたところ、1枠のラブカンプーが寄せてくる内容となりました。先週書かせて頂いたとおり、前年程の勢いや鋭さが見えなくなってきたことからも、コーナーに耐えられるのであれば1200mなど距離を少し伸ばした方が良いように見えました。しかし、夏の名物重賞で盛り上がりはG1のような緊張感があるだけに、将来的には千直のG1を見てみたいなと思わせてくれる面白いレースでした。期待していたダート短距離馬達の躍進は見られず残念でしたが、非常に楽しめました。
新潟・札幌の変則2場開催が続きます。先週の新潟では60人を超える騎手が集まっており、トップ騎手の立ち回りに注目したいところですが、今週は札幌でクイーンSが行われます。注目は重賞3連勝に期待のかかるフェアリーポルカになるのではないでしょうか。レース選択といい、若い時から比べても実が入ってきた彼女に秋のG1戦線での未来を夢見るレースになりそうです。
その他ではビーチサンバがここから始動します。そろそろ結果にこだわるレースが見たい1頭で、注目したいと思います。馬場傾向を見ると前目での決着が多いことからも、先週日曜日にハットトリックを決めたルメールとコントラチェックも一考したいところ。スカーレットカラーも善戦から脱したいタイミングでしょうし、秋に向けて牝馬たちの熱い戦いに期待したいと思います。サンガから今週はビーチでサンバ!となれば面白いですが果たして!?
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。