元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
闘将蛯名の夢はつづく
2021/3/4(木)
皆様、こんにちは!オリンピックの聖火リレー出場予定者の多くが辞退を申し入れ、ひとつの騒ぎになってきていますね。それもこれもコロナの影響で振り回された結果だと思っていますが、日本の悪いところが出てきているなと感じます。足の引っ張り合いの国会に決断できない総理というスタイルから森元代表の女性差別発言。これにより、オリンピックの価値がみるみると下がっていってしまっているように感じます。
日本という国の古さばかりが出ていてはアピールできません。日本の新しい魅力と歴史の融合こそが、素晴らしさを築くのです。だからこそ、オリンピックを含め政界やJOCもそのことに臨んでくれれば、聖火ランナーをやりたいという人はもっと増えてくると思います。
競馬界では古き良きを残しながらも、新人騎手のデビューと引退が行われました。特に今回話題になったのは関東を支えてきた蛯名正義君の引退でしたね。この環境のため、競馬場でが観られませんでしたが、彼の作ってきた記録と秩序は素晴らしいものがあったのではないでしょうか?誰よりも安全に施行するために大きく声をあげ、人が言いたくないことまでしっかり代表として声をあげてきましたからね。
天才武豊の同期ということもありますが、蛯名君もまた天才だったと私は思います。そうでなくては、ここまで成績は出せないですからね。最終週での2勝は本当に素晴らしかったです。今後は調教師として、どのような馬を作ってくるのか非常に楽しみです!
そんな蛯名君の最終レースとなった中山記念を振り返りましょう。レースは予想通りバビットが逃げる形となりました。中山の前残りの馬場を見ても脚質を考えても、正しい判断だったと思います。2番手にはウインイクシードがつける中、ペースは少し早くなってしまいましたが、今までのバビットの走りであればこれでも保つと見ていましたが、早々と脱落してしまいました。有馬記念からあまり間隔を空けずに出てきたことや使い詰めで結果を出してきた後の休暇は馬がガタガタときやすいこともありますから、そういったところも影響していたのかな?と思う下がり方でした。
それを横目に見事交わし切り耐えさせた松山君とヒシイグアスのコンビが見事4連勝で重賞連勝を挙げました。内から迫ったライバルを凌ぎ切ったあたりは松山君の成長分ではないでしょうか。2着にはケイデンスコールでしたが、こちらは天晴!岩田康誠という騎乗でしたね。2歳から注目されていた同馬ですが、岩田康君の指導で輝きを戻してきましたね。今回のレースも完璧の一言。中山でも1800mは少し長かったという印象でしたね。しかし、マイルではまだまだ面白い存在になりそうです。個人的には東京1600mでは少し難しい気もしますが、岩田康君がどう感じどう乗るのか楽しみなコースだとも思います。
4着には蛯名君のゴーフォザサミットが入り、素晴らしい最後の騎乗だったと思います。逆にトーセンスーリヤは絶好調の横山和生君でしたが、勝ちに動いた分が仇となった形でしたね。小倉であの競馬で結果を出していたことも影響したのかも知れません。それでも勝ちに行くのが騎手ですからね。今回は仕方なかったです。
今週も中山、阪神、小倉の3場開催になります。土曜日に中山でオーシャンS、阪神ではチューリップ賞、日曜には報知杯弥生賞ディープインパクト記念が行われます。しかし、言いにくいレース名ですね(笑)。その言いくいディープ記念では、注目のダノンザキッドが始動します。無敗でホープフルSを制し、順調に成長していれば負けはないと思いますが、他の馬達も黙っていないところです。
そんな筆頭はシュネルマイスターになるのではないでしょうか。父キングマン産駒で走り方がとにかくかっこいい馬です。その他にもタイムトゥヘヴンは面白い一頭ですね。まだまだ上積みがありそうですし、三浦君にはここで結果を見せてほしいと思っています。侮れないタイトルホルダーや出てくれば面白いレインフロムヘヴンもいます。父父に1頭もディープインパクト産駒がいないのは残念ですが、新しい日本競馬の素晴らしさを見せてもらいましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。