元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
☆ガツンと!☆
2022/5/25(水)
皆様、こんにちは!この間までこたつを出していたかと思えば急に熱くなり、少しバテ気味になってしまいました。大好きな相撲も千秋楽を迎え終わってしまい、まるでオリピアンの燃え尽き症候群のようになっています。そんな中、最近ハマっているのがガツンとみかん!です(笑)。さっぱりとしてみかんの甘さが程よく、昼間になるとこっそりと食べています。ガツンといちご!など色々な種類があるようなので、色々と試してみたいなと思います。
それではガツンと競馬!の話をしましょう。先週、東京競馬場で行われたのはオークスでした。1番人気にはサークルオブライフが選ばれ、1番人気が勝てていないジンクスを払拭できるかという一戦でした。久しぶりに入った多くのお客様の前、ましてや東京2400mはスタンド前からのスタートということで心配していましたが、ゲート裏でトラブルが起きていまいました。
ホウオウバニラが興奮して暴れ、落ち着いたとなった矢先にはラブパイローがサウンドビバーチェの顔を蹴り上げるハプニングが起きました。そのため、サウンドビバーチェは放馬となり、15分ほどゲート裏で他の馬は待たされる結果となりました。蹴り癖のあるラブパイローは尾にマークである赤い印もついていましたし、防げた事故だったのではないかと思います。これは人の責任です。一生に一度しかないレースに出馬できることだけで名誉にも関わらず、それを台無しにしてしまいました。
レースが終わるまで極限の集中をすることが馬への配慮ではないかと改めて思いました。大勢のお客様の前で待たされた馬達もかなりのストレスだったことでしょう。勿論、これも含めてレースです。ゲート裏でも集中し、レースに挑めるメンタルが無ければ勝つことはできません。だからこそ、これを言い訳にすることはできません。しかし、皆様にも分かってもらいたいのは、牝馬は特にメンタルが難しく、この大一番になって初めての大観衆の前で競馬だったことにより大きな影響を及ぼしたことは間違いありません。
そんなトラブルがあった中、勝利したのは43歳になり運気が変わったルメールと桜花賞馬スターズオンアースのコンビでした。大外枠が当たり、距離の不安もささやかれていた中、最高の競馬での勝利でした。特に1コーナーに入る際にスタートをしっかり決めポジションを当たり前のように取ったあたりは流石ルメールという場面でした。4コーナーではアートハウスと川田君が楽勝か!?と思いましたが、推進力が違いましたね。これで祖母スタセリタ、叔母ソウルスターリングに続き、ルメールは3頭目のスターでオークス日仏、併せて3勝をこの血統と共に挙げることとなりました。
2着にも「スタ」をもったスタニングローズが入り、キラキラ星馬券となりました。どちらのスターも光輝く走りで、発走遅延を吹き飛ばす素晴らしいレースだったと思います。残すは秋にある秋華賞。今年も牝馬3冠馬が誕生するのか非常に楽しみです。アートハウスが秋までにどう成長してくるのかも含め、この路線からまだまだ目が離せません。
今年もやってきます。全てのホースマンの夢、日本ダービーが東京競馬場で行われます。7000頭を超す馬の頂点に立つのはどの馬か。その中でも1番人気に推されるのはイクイノックスになるのではないでしょうか。前走の皐月賞では僚馬ジオグリフにやられてしまいましたが、その力は本物。ルメール効果と合わせて推奨されそうです。そこに今回は期待しかないダノンベルーガと川田君のコンビが虎視眈々と頂点を目指します。川田君にとってはお世話になっているダノンの馬でダービーをという思いも強いと思います。
さらにレジェンド豊ちゃんと松島オーナーの黄金コンビ、横山・岩田家が勢揃い、負けなしピースオブエイトも出馬と豪華すぎるメンバーとなりました。一体、どの陣営が制すのか。ダービーは運の強い馬が勝つと言われています。しかし、今年は義理人情がより厚いコンビに栄光が輝くのではと思っています。頂点を決める戦いは日曜日です!ガツンと当てましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。