元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
カミナリ
2022/8/18(木)
皆様、こんにちは!先日、栗東では雷が鳴り響く天候に驚かされました。物凄い音と共に、家が揺れるほどの衝撃に怖くなるほどでした。1時間ほど続いた雷は後になって分かったのですが、知り合いの家の近くに落ちていたらしく、そのことを聞いて更に怖くなってしまいました。昔は雷が鳴るとテレビを消してプラグを抜くようにと言われていましたが、これも雷が落ちてしまった時に電化製品が壊れないようにする技と最近理解しました。洪水や雷と天災が続く日本ですが、どうにか無事に過ごせるように願うばかりです。
それでは競馬の話をしましょう。先週注目していたのは関屋記念になります。レース前日にはイルーシヴパンサーに騎乗予定の岩田望君が負傷により木幡巧君に乗り替わりの発生がおきました。福島での活躍を見ても、木幡巧君が空いていたのはラッキーだったなと思いましたが、結果は完敗となってしまいました。レースはシュリと津村君が逃げの手に出ると非常に遅いペースとなりました。このクラスでこのペースでは前で決まるなと思ってみていると2番手で楽にレースを作っていたウインカーネリアンと三浦君のコンビが逃げるシュリを捕らえ、後ろから来たダノンザキッドを凌いで勝利しました。
三浦君にとっては所属する鹿戸厩舎の馬で、期待しながらもケガや色々なことを共に乗り越え、本当に嬉しい勝利になったのではないでしょうか。鹿戸先生にとっては管理したスクリーンヒーローの子供ということで喜びも倍になったと思います。後に聞いた話では、当日はスクリーンヒーローのタテガミをお守りにして持っていたと聞きました。まさに父が力を貸してくれたような完勝だったと思います。
2着には抜群の逃げを繰り広げたシュリが入りました。目立つというよりは地味に着に来ているイメージがありましたが、ここでもまたあれ2着シュリだ!と馬券を買う人の狙い目になってきたなと印象を受けました。3着には少しずつ立て直してきたダノンザキッドが入りました。こちらは展開が向かない中で着実な走りを見せてくれましたし、去年より少しズブさが出てきているように見えたため、距離を延ばすか馬具で矯正するのかの選択をする時期にきているなと感じました。
しかし、休み明け緒戦ということで次走は変わってきそうですし、何より線で馬のことを考える川田君がどう感じ、陣営にどう伝えたのかが今後のポイントになってくると思います。そして、乗り替わりになったイルーシヴパンサーは11着に敗れました。展開が向かなかったとはいえ、いつもの末脚を出すこともなく、少し心配になる負け方に見えました。脚の使い方にコツがいる馬なのかもしれませんね。となると再度、田辺君とのコンビでどんな走りをするのかを見てみたいなと思いました。
今週はG1昇格かと噂されているほど豪華なメンバーが集まる札幌記念が行われます。何と言っても人気はソダシに集まるのではないでしょうか。去年は52キロの斤量ながら古馬を倒して洋芝適性を見せただけに今年も楽しみになる一頭です。立て直してきたジャックドールは秋に向けて弾みをつけたいでしょうし、グローリーヴェイズやユーバーレーベンもここで再度強さを証明したいはず。ドバイで勝った強さは本物パンサラッサもおり、個人的にはウインマリリンに注目しています。シュリのように忘れた頃に来るタイプですからね(笑)。必殺馬券で万馬券を当てて、雷ならぬ「神(に)なり」を目指しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。