元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
日本シリーズ
2022/10/27(木)
皆様、こんにちは!間もなく始まるワールドカップの前に野球の日本一を決める日本シリーズが熱い戦いを繰り広げています。今年もヤクルトVSオリックスとなっていますが、本当に面白いですね。お互いの総力戦といった戦いで、シーズンを通してきて疲れが残る中でも全力でプレーしているトップの戦いはここまで面白いのかと思ってしまいます。ここまでヤクルトがリードとなっていますが、結果はどうなるのか。関西に住んでいる私としてはオリックスの差し切りに期待したいと思います。
そんな中、外国人騎手が来日を始めました。C.デムーロは言わずもがな、イギリスリーディングに夫婦で2位同士のT.マーカンドにH.ドイルも来日しました。特にH.ドイルは女性騎手として日本でいうダービー格である仏オークスを制しており、技術も斤量も魅力的だなと思っています。斤量差プラス別次元の技術を是非、日本の女性騎手にも教えてもらえたらいいなと思います。逆に日本の騎手も坂井君や小崎君・西村君のように海外にどんどん飛び出していってもらいたいと思います。その中でJRAでは当たり前でも海外では違うものや海外での当たり前を学び、馬に対しての考えや技術を吸収してもらいたいです。
先週は阪神競馬場で3冠最後のレース菊花賞が行われアスクビクターモアと田辺君が勝利しました。田辺君にとっては久しぶりのG1制覇となりました。もっとG1を勝っていい騎手なので3勝目というのは意外でしたが、今回は自信を持った彼らしいスタイルを貫き通しての勝利は見応えがありました。レースはスタート直後、幸君とセイウンハーデスが逃げを打つ展開に。ペースが速く、スタミナ勝負へと持ち込みました。
普段のレースでペースが速いと後ろからの馬が有利となりますが、菊花賞のような初めての長距離では適性次第では後ろから差し切れないことが多く、前をキープすることが勝つための近道となります。それを田辺君も感じていたのか、2番手でがっちり折り合いをつけると馬優先のリズムでレースを進めました。4角では早々と先頭に立つともう抜かさないと先頭を守りきりました。
2着のボルドグフーシュに関しては前走で吉田隼人君が脚を測れていたこと、スタミナに分があったことからも素晴らしい走りになったと思います。外枠から上手く乗ったのが3着に入ったジャスティンパレスの鮫島駿君。1角からポジションを取ると内へ入れ、最高のレースをさせたと思います。4角では少し前が詰まりましたが、その後の対応も素晴らしかったです。逆に1番人気に選ばれたガイアフォースは内枠が仇になりましたね。早めからスパートをかけたいタイプにも関わらず、4角でもなかなか動けず、思ったレースができないまま終了してしまいました。こちらは次走も再度、注目していきたいと思います。
今週は伝統の一戦、天皇賞(秋)が開催されます。素晴らしい馬が揃ったことで、非常に楽しみなレースとなりますね。まず人気を集めるのがイクイノックスになるのではないでしょうか。古馬初対戦になるだけにそんな簡単ではないと思っていますが、昨年も3歳馬エフフォーリアが制しているだけに注目が集まります。しかし、古馬たちも黙っていません。特にプリンスオブウェールズS後はここを目標に準備されてきたシャフリヤールは価値を更に高めるために確実に勝ちたいレースだと思っています。
そこにジャックドールがどのようなペースを刻むのか、ジオグリフも中距離ならば存在をアピールしたいはずで、ダノンベルーガやノースブリッジらも一気にG1馬へのステップを登りたいことでしょう。私はオリックスの差し切りに期待しているだけに、広い東京競馬場でも皆様の本命が差し切りで勝利しますように願っています!ヤクルトファンの方からすれば逃げ切りたいだけに逃げ馬から買うのも手かもしれません。競馬の日本シリーズ 天皇賞(秋)は今週日曜日です!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。