元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
謹賀新年2023
2023/1/12(木)
皆様、明けましておめでとうございます。2023年もよろしくお願いいたします!というわけでお正月が明け、我が家にはすっかりと日常が戻ってきました。こたつでミカンを食べながら駅伝を見たり、高校サッカーを見たりと楽しいお正月でした。特に高校サッカーでは京都の東山高校が決勝に進出し応援していましたが、残念ながら敗れて2位でした。悔しい結果となってしまいましたが、それでも決勝まで粘り強く戦った彼らは感動を生む試合をしてくれたと思います。
それではお正月の金杯からお話しを競馬に移しましょう!特に注目していたのは中京競馬場で行われた京都金杯でしたが、勝利したのはイルーシヴパンサーと岩田望君のコンビでした。このコンビといえば夏に結成される予定でしたが、望来君が前日にケガをして乗り替わりとなってしまいました。そこからイルーシヴパンサーとしても本来の走りができずに放牧でリフレッシュしてきての一戦でした。
馬の調子としてはまだまだここからも、緒戦で勝ち切ることができれば安田記念でも再度注目を集めるなと思っていましたが、見事な手綱さばきで勝利を挙げました。いつもよりは速いスタートとなりましたが、開幕週の馬場ということでポジションは一列後ろになりました。しかし、望来君が想定していた展開だったと思います。また内の馬場が良くなっていたことも頭に入っていたのでしょう。
だからこそ4コーナーでは焦らずにじっくりと待ち、内を狙いました。そして見事な勝利は、昨年のJpn1に続いて今年は中央G1を制すべく見事な手綱捌きだったと思います。またイルーシヴパンサーにとっても今回の状態でここまでの走りができたというのは陣営の自信に繋がったと思います。まだまだここから上がってくるでしょうし、本番でも非常に楽しみな存在です。
先週の3日間競馬では名馬への登竜門シンザン記念が行われました。勝利したのはライトクオンタムと豊ちゃんのコンビでした。天才はまだまだ現役!とアピールするのに素晴らしい走りだったと思います。管理するのは実弟の幸四郎調教師だっただけに更に盛り上がりましたね。また、同馬はディープインパクト最後の産駒世代になり、その偉大さを改めて思い返されました。スタートで遅れるも、終いは父を彷彿させる末脚で4コーナーあれほどまでに迷わず豊ちゃんが外をチョイスしたのはそれだけ手応えがあったのだと思います。リバティアイランドという女王がいる中で、どこまで通用するのか桜花賞が楽しみになったレースでした。
2023年も素晴らしい競馬の始まりとなりましたね。今週からは3場開催となります。中山、中京、そして冬の小倉の開始となります。重賞も楽しみですし、小倉で若手が活躍し、本場にアピールしてくるのはどの騎手かも非常に楽しみです。私の注目レースは愛知杯になります。ハンデ戦ということもあり荒れるレースとしても有名ですが、今年は固い決着になるかもしれません。人気はアートハウスが集めると思います。斤量としても55キロは想定内でしょうし、馬の力を考えるとここで止まっていられないと思います。
そこに待ったをかけたいのがルージュエヴァイユではないでしょうか。ハンデは54キロと恵まれましたし、外差しの馬場になってきていることからも期待したいです。その他に斤量は重くなりますがマリアエレーナやエリカヴィータなどが人気を集めるのではないかなと思っています。正月太りした私とは違う、ビッチリと仕上げられてきた牝馬の戦い。今週も競馬を楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。