元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
4番川田
2023/3/16(木)
皆様、こんにちは!WBCが盛り上がっていますが、皆さんは観ていますか?なんといっても大谷選手のインパクトは凄まじく、グッズも物凄い数が売れているとニュースでやっていました。選手としての人間性、プレー、思考、全てに尊敬できるところがあり私の年齢でも、彼を見習おうと思えるほどの選手です。何かを得るために何かを捨てなくてはいけない人は沢山います。しかし、彼は全てを手に入れるために食事や生活全てを野球に懸けて生きている気がします。諦めずに努力をし続ける天才なのかもしれません。
勿論、最高の選手だからこそ、彼はこう言うと思います。「努力なんかしていません。当たり前のことをしているだけです」と。努力を努力と思わないように生きることが天才を作る一番の要因なのかもしれません。アメリカの地で最高のメダルを手にしてもらえるように応援していきたいと思います。
さて、先週行われた中から特に気になったレースは金鯱賞。制したのは地方重賞からJRA重賞と勝ちに勝ちまくっている川田君とコンビを組んだプログノーシスでした。以前から重賞級と言われながらも本番では負けてしまっていましたが、コンビ全勝の相棒を背に万全の状態で見事な勝利を挙げました。
レースは3番人気に選ばれたフェーングロッテンがハナをきるとヤマニンサルバム、アラタがつける展開となりました。プログノーシスは大外枠であったことからもゆったりとスタートを出し、リラックスさせた状態でレースに入っていきました。ここに川田君ならではの最近の良さが出ていました。枠を考え、馬の脚質を考え、更に馬場を考えた時に外から回しても勝てる計算ができていたのだと。勿論、ペースにより届かないケースもありますが、彼の中で一番勝率の高い選択だったのだと思います。
そこから前に馬を置き、更にリラックスさせながらも気を抜きすぎないようにコントロールすると4角でジワっと踏んでいき、想定していたコースで想定していた脚を使って必然の勝利だったと思います。地方重賞といい、今回のレースといい、川田君は騎手大賞を受賞し明らかに馬に対してのコンタクトやレースの組み立てに自信をもって乗っているのが分かります。そこに、結果が出ることで合っているという感覚が得られ、馬も動いてきます。
これもまた彼がやり続け、間違いがあれば修正してきた成果。他の騎手ならばここまで走らせることができたかな?と思わせるほど、今の川田君はレベルが抜けています。まさに日本の4番川田君は、硬さだけでなく柔らかさも手に入れた今、日本の競馬を牽引していくのは間違いありません。彼をおびやかす存在として坂井瑠君や岩田望君、横山武君などの中堅の活躍にも期待したいなと思わされたレースでした。
今週は阪神競馬場で行われる阪神大賞典が好メンバー。2年連続でこのレースを制しているだけに、注目はなんと言ってもディープボンドに集まると思います。コンビも和田君に戻り3年連続を期待していますが、3年連続で同一重賞を制するのは非常に難しいことでもあります。そこに現れた長距離界の新星ボルドグフーシュが相棒として川田君を迎えることもあり、こちらも人気を集めることでしょう。
前走は少し体調不安もあったかな?と感じましたが立て直して、再度期待したいのがブレークアップ。松山君とのコンビとなりこちらにも期待しています。毎週競馬を楽しみにしている私からするとレースはしてもらいたいなと思いますが、働いていた身としては今回のストライキにも納得できます。どうにか歩み寄った上でレースを実現し、今週も楽しませてほしいなと願っています。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。