元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ホ ー プ
2023/7/20(木)
皆様、こんにちは!梅雨明けが発表され本格的な夏の到来となりました。大好きな大相撲も終盤を迎え、もう終わってしまうのかと悲しくなっています。しかし、今場所は落合から名前を替えた伯桜鵬関が勝ち越しを決め話題になっています。まだ19歳で高校を卒業したばかりにも関わらず、相撲の内容も体も素晴らしいため、見ていて惚れ惚れするような力士だなと感じています。新しい若者が出てくるのは楽しみになりますし、これから歴史を作ってほしいなと思っています。
競馬界でも新しい世代が力をつけてきています。その中でも注目を集めているのが佐々木大輔君ではないでしょうか。19歳で函館リーディングに立ち、これからが非常に楽しみな一人です。何よりも彼の良さとして感じるのは競馬に対して真摯に取り組み、常に成長をするために研究して向き合っていることだと思います。騎手になることが目標だった人間と騎手になりトップへ上り詰めると取り組んでいる人間では成長スピードも異なります。その中で彼は満足することなく、トップへの道をひたすら追いかけているのが分かります。まだまだ壁にぶち当たることもあるかもしれません。それでも、彼は成長するために挑戦をするのではないかと思います。競馬界も相撲界も新しいホープたちの成長を見守りましょう。
そんな函館最終週に函館記念が行われました。制したのはルメールとローシャムパークのコンビでした。想像以上の力差があったかなと思わされる内容のレースでしたね。4角に入る前にルメール特有の一息を入れると、一気にコーナーを使いながら大外を回し全てを交わし切っての勝利となりました。父ハービンジャーの血と洋芝の相性も良かったなという印象でした。サマーシリーズで最注目が必要な一頭だなと感じました。
2着にはルビーカサブランカが入りました。重賞ウィナーということもあってよく走ったなという印象です。しかし、この馬は馬主孝行ですね。タイトルには少し遠いかもしれませんが、それでも結果を出し続けてくれているのは凄いなと感じます。3着にはブローザホーン。こちらは最後の直線のチョイスがついていなかったですね。岩田康君らしい勝負懸かった乗り方でしたし、最後いつもの彼らしく内を突いていればと思わされる結果でしたが、重賞を勝つためにリスクを背負ってでも勝負してくれる姿は本当に心強いと感じました。まだまだ夏を楽しませてくれそうなコンビです。
今週からは札幌競馬が始まります。札幌、福島、中京の3場開催となりますので、お間違えなく。重賞は中京で中京記念が行われ、注目を集めるのはダノンスコーピオンになりそうですが、梅雨明け中京の馬場を考えると59キロの斤量がどうなんだろうと思ってしまいます。私の注目はウイングレイテストになります。栗東まで松岡君も乗りに来ていましたし、ここで結果をというところではないでしょうか。そこに続くのがルージュスティリア。今回の斤量に中京ということもプラスになると思います。
しかし、最近の川田君が少し結果から遠のいている点は気になっています。盛岡で重賞を勝ったりもしていますし、これで負けたら仕方ないという乗り方をする彼ですが、去年のような気持ちの余裕が見えません。ともあれ日本No.1の騎手なので、上手く切り替えてくれていることを期待しています。その他ではヴァリアメンテやディヴィーナなども面白そうです。今週も新時代のホープたちに注目して競馬を楽しみましょう!私は渋い乗り方と若さが混じる田口君に期待しています。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。