元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
岩田家でジャック!
2023/8/10(木)
皆様、こんにちは!世間はまもなくお盆休みとなりますね。そんな中、九州の方では台風が猛威をふるっています。皆様が安全で過ごせますように願っています。そして、お盆といえば昔から水難事故が多くあると言われますね。それ以前からニュースで多くの事故が報告されていますし、気を付けすぎるくらいでちょうどいいという感覚で楽しんでもらえたらと思います。水辺だけでなく競馬場に来ていただくのも夏を楽しむ一手だと思いますので、是非来場を検討してみてくださいね!
先週は変則の2場開催となった札幌・新潟の両方でダート重賞が開催されました。特に気になったのは新潟で行われたレパードSでした。勝利したのは岩田望君とライオットガールのコンビでした。岩田望君にとっては新潟メインを土日ジャックになり、土曜に関していえば父の康誠君が札幌メインを勝っての親子ジャックという岩田家にとって素晴らしい週だったと思います。京都の重賞のみを勝っていた彼はとうとう京都の名称から解放されました。管理する中村厩舎は初の重賞制覇となるなど色々な記念になる勝利でした。
レースはルクスフロンティアが逃げを打つと、2番手にライオットガールがつけました。ここで岩田望君は少し前を自由に行かせつつ、自分の馬のペースを守る絶妙なポジションを取りました。ここで後ろからのプレッシャーがなく、馬としては単体で逃げているような形となったことでリラックスできたのだと思います。その前半のアドバンテージが最後の粘りに繋がった素晴らしい騎乗だったと思います。
岩田望君の技術は本当に素晴らしいものがありますし、今回のように勝つならこれしかないと勝負を打てるようになってきました。勿論、その勝負をかけることで想像以上に負けることもありますが、この勝負がかった乗り方を極めていくことで、お父さんのような勝負強さも身につけてきてくれると思います。
2着にはオメガギネスが入りました。こちらも4番手からで結果として前めにいた馬で決まった印象でしたが、素晴らしい走りをしましたね。休み明けでここまで走るのですから、今後も楽しみです。体も立派で戸崎君とも手が合っており、ダート界の頂点を目指してほしいと思います。1番人気に推奨されたミスティックロアは若さが出たこともありますが、外国産馬によくある気が難しく、突然凡走するムラが出たように感じました。ここから名門・矢作厩舎がどう持ち直してくるのかは楽しみで、注目したいと思います。
今週からは小倉も始まり、小倉・新潟・札幌の3場開催になります。新潟では関屋記念、小倉では小倉記念が行われます。特に楽しみにしているのは小倉記念です。新潟から小倉に移動する騎手は仕掛け所や乗り方が少し変わるため、早くに適応している騎手を土曜日の間に見つけておくことが非常に大事になると思います。その中でも注目を集めるのはククナになるでしょうね。斤量も魅力的で、岩田望君にとっては2週連続重賞制覇がかかっていますし、是非実現してほしいところです。
マリアエレーナ陣営も負けられないと考えていると思います。個人的に穴馬として軸に推したいのはゴールドエクリプスになります。斤量といい、前走も少し仕掛け所で下手を打っていただけに今回こそはというところではないしょうか。ペース次第ではテーオーシリウスの逃げ切りも考慮しながら見守りたいと思います。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。