元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
我慢の技術
2023/8/16(水)
皆様、こんにちは!巨大台風が関西を襲いましたが、我が家では大きな災害もなく過ぎました。本当に良かったです。しかし、色々な方面では被害もでています。少しでも早く、皆様のいつもの日常が戻りますように願っています。そして、台風の影響で多くのお店が休業となりました。昔であれば意地でも開ける!という判断だったのを、働いている人の安全を第一にと休業にするお店が多かったです。いい風に時代も変わってきているなと思いました。
台風の影響が心配されましたが、15日(火)には盛岡でクラスターCが行われ、リメイクがドンフランキーにリベンジを果たしました。前回は1キロの斤量さもあったため逆転可と思っていましたが、距離も1200mになったことで圧巻の強さを披露してくれました。ドバイやサウジでもアメリカの、いや世界No.1のダート馬に食いついていった実力は本物でしたね。川田君にとっては今年10勝目の地方重賞となりました。当日は新幹線や飛行機も止まっていたので前日に移動しての騎乗だったのかは定かではありませんが、無事に騎乗して勝ち切ってくれたことは大きかったです。
2着のドンフランキーも素晴らしい競馬をしてくれました。地方のコースは合わないだろうと思っていましたが、想像以上の走りでした。ダート短距離界でしのぎを削ってほしいライバル関係にワクワクしています。是非、JRAの短距離ダート界にもG1レースができればいいのになと思います。
日曜の関屋記念ではアヴェラーレが見事な勝利を挙げましたね。この日の戸崎君は10・11・12レースを連勝と完璧で、我慢できる技術は冴えわたっていました。外からは簡単そうに見えますが、直線でいつもよりも一呼吸おいて仕掛けるのには度胸と技術が必要になります。それを平気な顔をしてやり遂げるんですから、流石の一言でした。何よりそこで一呼吸置くためのレースを彼自身が組み立てて逆算していたのはまさにエクセレント!でした。グルテンフリーを取り入れ、体を作っている彼だからこその判断力といったところでしょうか。
2着にはディヴィーナが入りました。前走で前残りをされた+新潟の馬場が前残りだったことが印象に強く残っており、それに加えての内枠ということでジョッキーは前目での競馬を選択しましたが、行った馬達が垂れてきたために早仕掛けになってしまいました。ここでもう一呼吸、戸崎君のように待つことができれば結果は逆だったかもしれません。こればかりはレース展開にもよりますが、あと一歩が足りないレースでした。
台風一過ということで、今週も競馬開催日は晴れを期待しています。新潟では北九州記念、札幌ではG1を目指す札幌記念が豪華メンバーで行われます。札幌記念の注目は、やはりジャックドールになるのではないでしょうか。天才・豊ちゃんとのコンビでどこまでの走りを見せてくれるのか興味が尽きません。
そこに待ったをかけたいのはダービー馬シャフリヤールでしょうね。鞍上にはエフフォーリアと共に彼に敗れた横山武君が選ばれました。この難しい馬をどう乗りこなしてくるのか非常に楽しみです。その他にもヒシイグアスや素質No.1と思っているダノンベルーガが出馬を予定しており、ソーヴァリアントやプログノーシスもどうギアを上げるのかと注目の一戦になります。レベルの高いレースを期待しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。