![松田幸春](/img/column/judge/tit_judge.jpg?=v1)
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
川田と川田
2023/10/12(木)
皆様、こんにちは!先週日曜は第13レースにジョッキーベイビーズが開催され、川田騎手のご子息川田純煌(ぎんじ)君が優勝を果たしました。父に似た勝負強さと圧巻のパフォーマンスは将来の姿を想像させてくれました。最後には右の鐙が脱げるといったことがありつつも冷静に乗りこなした姿は流石でした。全員が頑張り、無事にゴールした姿にも感動を覚えました。小さな子が競馬に夢を見て、努力を重ね、積み重ねてきた結果ですからね。将来ここから何人が騎手の道へと進むのか、非常に楽しみです。
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それでは大人の競馬も振り返りましょう。なんといっても注目を集めたのは毎日王冠だったのではないでしょうか。ソングライン、シュネルマイスターというスターホースが集まる中、勝利したのはエルトンバローズと西村淳騎手でした。内々のいいポジションを取ると枠を活かし直線を迎えると追撃をしのぎ、見事な勝利を挙げました。正直、今回は強さというよりもレースの上手さ、展開が向いたという印象。しかし、それを引き寄せたのは減点の少ない騎乗にあったと思います。
2着にはソングラインが入りましたが、こちらは4角といいコースが開かなかったことが不運でした。4角ではデュガがすでにコースに入っていましたし、その後はエエヤンが前で寄れるレースとなってしまいました。不運が重なる中でも素晴らしい脚で2着となり、力はやはり素晴らしいものがあることを証明してくれました。3着にはこちらも進路がなかなか難しかったシュネルマイスターが入りました。その末脚は驚くほどでしたね。マイルCSはこの馬だと確信したほどでした。
今回はここを目標にしてきた勝ち馬と次走を見据えていた2頭の差があったのかなと思います。しかし、重賞連勝はそんな簡単にはできません。だからこそ、この秋のG1でもエルトンバローズの活躍を期待しています。
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今週は牝馬3冠の最後・秋華賞が京都競馬場で行われます。注目は女王リバティアイランドになります。ここすら通過点と見ている人達も多いのではないでしょうか。圧巻のオークスからこの馬には逆らえないとも思ってしまいます。しかし、京都の内回りといったところで他馬にとっては少しプラスになるのかもしれません。もし内枠になった場合は多少のロスをしてでも川田君は彼女の末脚を活かすと思いますし、外でも強気の競馬になると思います。そこにどれだけ彼女の走りを出させないように、かつ自分たちのレースをできるかがポイントになります。
その対抗はマスクトディーヴァになると思っています。前走は圧巻の走りでしたし、今回も早めの抜け出しで押し切ることができるのではないかと思っています。モリアーナは前走が圧巻だっただけに、末脚勝負が楽しみでもあります。そこに距離的にはベストではないかと思っているハーパーが名門・友道厩舎の勝負仕上げで内から抜けてくることを想像しています。
力としては、まさに女王一択!と思っていますが、それでも他の馬達の成長によって競馬には絶対がないとなるのか。そんな次元の話ではないとお嬢様が女王ぶりを見せつけるのか。川田から川田へ!息子から繋がられた勝利のバトンを牝馬3冠達成でゴールするのか。新しくなった京都競馬場で是非、生観戦を!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。