元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
最高の景色
2023/10/19(木)
皆様、こんにちは!一気に秋の気候になった最近、私はというと息子が金沢旅行に行き、沢山の魚介をお土産に買ってきてくれたため、ついつい食べすぎ飲みすぎの日々を過ごしています。しかし、金沢の白エビは絶品ですね。とろーりとした触感と甘さがあり、もう食べるのを止めようと思っても、もう一口だけ!が数回続いてしまいます(笑)。金沢には競馬場もありますし、私も元気なうちに是非行ってみたいなと思わされるお土産でした。
先週は牝馬3冠の最後秋華賞が京都競馬場で行われ、見事リバティアイランドが相棒の川田君を背に3冠を達成しました。まさに圧巻の勝利で「騎手人生の中で神様の贈り物です」というコメントにもうなずける強さでした。自分だけが乗り、厩舎と密にコンタクトを取りながら勝利をしたのは格別だと思います。管理する中内田先生にとっても、歳は違えど幼馴染と獲った3冠は格別のものだったと思います。
特にレースのポイントとしては、スタート後のポジションでした。この馬を倒せると思っていたマスクトディーヴァがスタンド前発走ということからもスタートで後手を踏み、それよりも前の位置を取りました。そんな形のまま4角で内にいるハーパーとルメールを早めに閉めたいという心境と、川田君としても早めに進路を確保すればリバティアイランドの力ならば負けないという2つの心理が働いたと思います。その結果、4角ではいつもよりも早めの仕掛けとなりましたが、見事進路を確保して押し切りました。珍しく最後は馬も苦しくなっていたように見えましたが、それでも圧巻といっていい内容だったと思います。
2着にはマスクトディーヴァが入りました。最後はものすごい脚を使っただけに、進路が空いていればといったところ。今回はスタート後の並びや枠順とついていない結果となってしまいました。しかし、あの走りを見ると今後の中距離牝馬路線では間違いなくG1級として勝負できるはずで、その背中には岩田望君が乗って勝利をするシーンを見たいと思いました。
今週も京都競馬場でG1菊花賞が行われます。全馬共に初めての距離になるだけに、予想が難しいレースになっています。人気としてはダービー馬タスティエーラが本命になるのではないでしょうか。今週から騎乗するモレイラマジックが早速炸裂するか、非常に楽しみです。そこにトライアルでも素晴らしい走りを見せたサトノグランツや皐月賞馬ソールオリエンスがどんなレースをするのかが見物。ソールオリエンスに関しては距離的な要素で少し心配していますが、武史君には思い切ってほしいです。
もう一頭、思い切ってレースをしてほしい馬としてマイネルラウレアにも注目しています。岩田望君が鞍上に選ばれましたが、長い脚を使える馬だけに下り坂を活かし、一気に突き放してみるという戦法はどうでしょうか。G1を獲るためには完璧なレースもですが、ギャンブルをして勝ちを狙うことも大事になりますから。その他にノッキングポイントやナイトインロンドン、ドゥレッツァなどにもチャンスはあると思っています。秋の気候になった京都で最高の勝利の景色を見るのはどの馬か。どーぞ、みなさん京都へおいでやす!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。