元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
レースをぶち壊した行為
2024/1/19(金)
皆様、こんにちは!この間、年明けをしたと思ったらもう半月が過ぎてしまいました。我が家ではお正月前になると美味しいミカンを箱買いするのですがそれも無くなってしまい、次はどんなフルーツが旬だったっけかな?と調べています。ご飯の後には必ずフルーツを食べてビタミンを取ることを心掛けているので、もしお薦めのフルーツがあれば教えてください。
先週の日経新春杯を勝利したのはブローザホーンと菅原明君のコンビでした。前回は心房細動のためにレースを途中で止めてしまいましたが、今回は外差しの馬場ともマッチし、見事な勝利を挙げました。この勝利の要因として、前に乗っていた岩田康君の教えが活きたレースでした。じっくりと大事に教えてきた彼のレースを馬が覚えていたことで今回にも繋がったと感じました。それを菅原明君が感じ取り、彼のスタイルで勝たせたというレースだったと思います。
2着にサヴォーナ、3着にサトノグランツと入りましたが、後者はまだ6割くらいかなという調教でこの走りをするんですから確実に力をつけていることを見せてくれました。このレースの中で残念なシーンもありました。田口君が騎乗したリビアングラスが向正面で何かガチャガチャしているなと思っていましたが、パトロールを見てビックリ!スタートからディアスティマとのハナ争いに負けたリビアングラスが2番手、3番手にシンリョクカがつける中、ポジションが決まり競馬の形になった矢先でシンリョクカが動くと、外からリビアングラスに何度もぶつけている姿を見ました。
ここで田口君が引いていれば落ちていたと思いますし、後ろにいた2.3着馬にとっても、前でこれをやられたリスクを考えると思い切ったレースができなくなってしまいます。はっきり言って、これは騎乗停止でしょう。これで田口君にとっての重賞挑戦が終わってしまいましたし、サヴォーナと謙一にとってはもう一息入れることができたはずで勝利さえあった事象です。JRAも落としたから騎乗停止や最後の直線だけでなく、こういったやりとりはしっかり判断すべきだと私は思います。
レースを故意に壊しているようにしか見えませんし、後ろにいた馬達にも影響を与えているのですから。レース中は田口君も重賞で行けという指示からポジションが定まっても抑えきれなかったのかなと思っていましたがパドロールを見て納得しました。全てが気持ち良いレースになることは少ないかもしれませんが、あの場面だけはいただけません。皆様もパトロールを見ることで、能力で負けただけではない馬を覚えておくと次のレースではオッズが下がって美味しい馬券になると思いますのでチェックしてみてください。
今週も3場での競馬が続きます。中でも面白いのは日曜京都で行われる東海S。G1の舞台に向けて負けられないオメガギネスに注目しています。コースは中京や東京が向いていると思いますが、京都でも結果を出すことで力の違いを見せたいところ。そこに対抗してくるのがブライアンセンスでしょう。力はありつつも勝ち切れなかった馬がモレイラの手腕で目覚めて勢いがありますし、京都で2連勝していることもプラスになると思っています。
前走初ダートで早速結果を出したヴィクティファルスやペプチドナイルもいます。鞍上が替わったキリンジがどんな脚を使うかも楽しみで、ウィリアムバローズと勢いある坂井君のコンビも見逃せません。この骨っぽいメンバーで勝ち上がるには力が必要になるので、勝利した馬はフェブラリーSでも最注目になると思います。是非、冬の京都へお越しください。ニュースで中山周辺は土日、雪が降るかもしれないと予報されていましたので足元にはお気をつけて!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。