元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
世代交代
2024/2/8(木)
皆さん、こんにちは!卓球の日本代表は伊藤選手が落選し、張本智和選手の妹 張本美和選手が15歳で選ばれました。伊藤選手もまだまだ超一流ですが、今後のことを考えれば若い世代に託したいという気持ちもあったと思います。いつの時代でも、時代を作った先人たちから世代交代が行われます。馬の世界ももちろんありますし、騎手も例外ではありません。最近は色々な騎手のコメントで若い騎手に背負っていってほしいという言葉が出ているのは時期がきたからかもしれません。
そんな中、川島信二君が2月一杯での騎手引退を発表しました。安藤先生に弟子入りし、喜びも苦しみもあった騎手人生だったと思います。もちろん届かなかったGI勝利が欲しかったでしょうが、彼の中でやりきったという感情になったのではないかと思います。本当にお疲れ様でした。
先週は次の世代を作るクラシックを目指して京都競馬場ではきさらぎ賞が行われ、ビザンチンドリームが驚きの末脚で勝利をもぎとりました。デビュー戦からも、まだまだ若さがあるように見えるも非凡な才能に、これは!と思っていましたが、今回も同じような印象で勝利し、初戦がフロックではないことを見せつけたレースでした。鞍上のピーヒュレク騎手は初の日本重賞勝利となりました。
ピーヒュレクと言えば、ミナリク騎手から日本競馬のことを聞いたり、彼の鞍を使って凱旋門賞を勝つなどした騎手。ミナリク騎手が亡くなってからも彼の鞍で一緒に戦っています。今回も共に勝ったレースだったのではないでしょうか。まだまだ子供っぽさがあるだけにどう転ぶかは分かりませんが、この荒い気性を残しつつ矯正ばかりを考えず、馬を尊重した作りをしていくことも大事なのかなと思いました。
2着には上手く内をすくったウォーターリヒト、3着には展開が向いたシヴァースが入りました。どちらも一線級と比べてしまうと苦しいかなという印象でしたが、今後の成長次第ではわかりません。世代交代を成し遂げるような馬になることを願っています。
今週も若い馬達が競い合う共同通信杯が東京競馬場で行われ、2歳マイル王ジャンタルマンタルが登場。アドマイヤマーズを彷彿させるだけにベストはマイルでしょうが、ある程度は距離をこなしてしまうんだろうなとも思っています。朝日杯FSでは僅か及ばなかったエコロヴァルツも出てきます。こちらはコースや距離も向いてくるはず。その他にもジャスティンミラノやミスタージーティー、楽に行ければのベラジオボンドらがいます。今年も出世レースになると思いますから皆様もご期待ください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。