元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
勝負の境目(坂井目)
2024/3/28(木)
皆さん、こんにちは!大相撲では110年ぶりに新入幕力士の尊富士関が優勝しました。競馬で例えれば、夏に3勝クラスを勝った馬がいきなりジャパンカップを勝ったような驚きではないでしょうか?先週も書かせていただいた下半身に重点を置いたトレーニングが実を結んだというところだと思いますし、まさに横綱 照ノ富士関のアドバイスが優勝への境目となりました。
先週は中京競馬場で高松宮記念が行われ、マッドクールと坂井君のコンビが勝利を挙げました。坂井君にとっては初G1制覇から立て続けにいい流れがきていますね。馬主のサンデーレーシングの全G1制覇となる記念すべきレースになりました。本来なら逃げたかったマッドクールが控える競馬し、4コーナーでは内ラチ1頭分残っている内への進路を選択しました。まさにここが勝負の坂井目!境目だったと思います。
例年通りならこの時期で雨となれば内が掘られているのですが、阪神競馬場の改修工事の影響でスケジュール変更が入ったことにより馬場の痛みが例年より軽かったのです。それにしても外の方が断然いいのは変わらないのですが、坂井くんは馬場適性を返し馬から感じていたのだと思います。それこそが今回の勝利に繋がったのでしょう。
2着にはナムラクレアが入りましたが、こちらも昨年の走りから馬場適性が分かっていたので内から走らせましたが、ラチ沿いにモタれたあの1完歩こそが敗因になりました。G1制覇への境目はまさに紙一重でしたね。期待していたソーダズリングはずっとノメって走っていましたし、改めて綺麗な馬場で見てみたいと思いました。
今週は大阪杯が行われます。なかなかのメンバーが揃う中、どの馬が王者になるのか楽しみです。私の注目はタスティエーラになります。速いところもやっていますし、名将 堀先生だけにここは最大のチャンスと思っています。ブリンカーを着ける可能性があるソールオリエンスも気になります。こちらも集中さえすれば2000mではかなり力がありますからね。改修工事前の大阪杯は是非、阪神競馬場のLIVE観戦で!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。