元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
いぶし銀 横山和生
2024/4/3(水)
皆様、こんにちは!桜が咲き始め、春の訪れを感じる日々ですが、雨が降れば一転して寒すぎる気候に驚いています。そんな中、仰天ニュースが流れました。佐賀競馬所属の山口勲騎手が飲酒運転のため逮捕されたとのこと。飲酒してから7時間睡眠を取ったから大丈夫だと思ったそうですが、飲むお酒や量によっては抜けきれないことがありますからね。責任のある立場で、あれだけの結果を出している一流騎手だからこそ、飲んだ後はアルコールチェッカーなどで確認してほしかったなと思いました。
事故等を起こしていないのは不幸中の幸いですが、お酒を飲む人はアルコールチェッカーを車につける等して確実なデータのもと運転できるようにする必要があるのではと思っています。騎手の一部はどこか世間知らずで、自分たちのルールで生きている風潮があります。しかし、飲酒や社会のルールは守らなくてはいけません。職業云々の前に日本で生きているのですから。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。今年のドバイワールドカップデーは残念ながら日本馬の勝利はフォーエバーヤングのみという結果になりました。いつからかドバイでも日本馬が圧倒していることから芝のレースでは勝てることが前提に感じていた気がします。しかし、そこまで世界は甘くないということを再認識できました。ともあれ、ダートで結果が出てきたのは嬉しいことだなと思いました。3冠が設立されてダート路線も日本では盛り上がってきていますし、こちらは明るい未来が待っていることでしょう。
サウジアラビアからドバイに転戦していた息子の全史もレース後に帰国しました。結果は残念でしたし、レースでは不利を受けたこともあり、悔いが残っていないと言えばウソになるのでしょうが、これも競馬かなと思っています。長い時間をかけて身内が挑んだレースだけに涙をこらえつつ、改めてリベンジしてくれることを願っています。
日本の阪神競馬場では大阪杯が行われ、ベラジオオペラが勝利しました。本当に素晴らしいレースをしましたね。前日から吸水率が高く、見た目以上に重くなっていた馬場から、今回は勝負するなら前につけるしかないなと思っていました。その中で、スタートから無理をしてでも勝つためのポジションを取ったのが横山和君とでした。逃げるスタニングローズと西村君の後ろにつけたところで勝負あったのではないでしょうか。
道中ではローシャムパークが少し噛んでしまったことでマクってきました。私は戸崎君のマクりは正解だったと思います。それは先にも書いたポジションの理由からです。やはり直線ではこの2頭が併せ馬の形になり、ベラジオオペラが勝利しました。この形になればよりしぶとい馬なので、横山和君の勝負懸かった騎乗にはしびれましたね。いつしか降ろされることが恐怖になり、思い切った騎乗ができにくい環境になりました。それでも一人で栗東へ修行に来たり、今回のように勝つためには何が最善かを考えて挑戦し、勝利を得たレースは素晴らしかったと思います。
今週はクラシック牝馬第一弾桜花賞が行われます。ドバイでルメール騎手が落馬負傷となり、更新時点にはチェルヴィニアの鞍上が未定になっていますが、ムルザバエフ騎手あたりが騎乗してくるのかなと予想しています。そうなると1番人気にはアスコリピチェーノが選ばれるのでしょうか。北村宏騎手にはクラシックのチャンスをもぎとってほしいですが、新桜花賞男・川田騎手が乗るクイーンズウォークも注目を集めています。
他にもスウィープフィートやステレンボッシュがいますし、今年は難しいレースになると思います。抽選除外対象になっているボンドガールの動向(武豊騎手でニュージーランドTにも登録)も気になりますね。改修工事前の阪神では最後のG1になりますので、競馬場でこの難しいレースを楽しみに変えて応援よろしくお願いします!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。