元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
覇王色 川田
2024/5/6(月)
皆様、こんにちは!ゴールデンウィークも来てしまえば、あっという間。楽しい時間は本当に早いですからね。私のゴールデンウィークは普段と変わらない日々でほとんど終わってしまいました(笑)。あっという間というと、ケンタッキーダービーも終了しました。スポーツの中で最も偉大な2分間は白熱した非常に興奮するレースでした。
出ることが夢物語だった頃から、今では毎年のようにアメリカへ日本馬が挑戦し、まさに今年は勝利まであと少しでした。坂井君とフォーエバーヤングはササった馬にぶつけられながらも、これぞ競馬という激しい戦いを見せてくれましたが惜しい3着。偉大な将来への礎になったと思います。テーオーパスワードも5着と検討し、改めて成長を見せてくれました。日本馬が真っ赤なローズをまとって祝福を受ける日も近づいています。
日本ではNHKマイルCが行われ、ジャンタルマンタルが勝利しました。戦前からこの馬はアドマイヤマーズのようと言っていたとおり、マイルでは抜けた存在と証明してくれました。このレースは川田君の俯瞰した目が生きたレースでした。返し馬から前走の感覚、輸送での疲労を考えながら馬へアプローチすると、恐らく彼が最も考えたのは1コーナーへの入り。ここでテンションのコントロールと行きっぷりを確認し、2コーナーで勝利を信じられたと思います。
迎えた直線ではアスコリピチェーノに蓋をしつつ、追い出しを待つことでマスクオールウィンともども内へと走らせたのは川田君のテクニックがあったからこそ。自身の馬だけでなく、他馬すらコントロールした、まさに覇王色を感じたレースでした。勿論、それにはジャンタルマンタルの強さがあるからこそですけどね。世代のみならず、日本のマイル王に向けて楽しみになる勝利でした。
今週はヴィクトリアマイルが行われます。注目を集めるのはナミュールと初コンビ豊ちゃんとマスクトディーヴァの戦いになると思います。そこに、馬場を考えるとコンクシェルと悔しい交代をされた岩田望君に意地をみせてほしいところ。馬場傾向が変化し、差しが決まるならばモリアーナも狙い目だと思っています。まだまだ続くGIを楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。