
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
Don't think, Just Move
2025/2/27(木)
皆様、こんにちは!寒波が過ぎ去り、やっと春が顔出し始めました。旅立ちと門出が重なる季節となり、寂しさと楽しみが交互にやってくる複雑な感情です。今週の競馬が終われば調教師の引退があり、また新たな調教師がデビューを迎えます。今週からは新たに7人の新人騎手もデビューとなります。騎手になったことだけに満足せず、上を目指して切磋琢磨してほしいなと思っています。

先週の話題はなんと言ってもサウジカップになると思います。坂井瑠君とフォーエバーヤングが師匠と共に制しました。賞金は15億超となり、まさに勝負師矢作のチームで勝ち獲ったレースでした。坂井君も上手くなるためにを第一に積み重ねてきた結果だったと思いますし、何より彼はここを勝ったからと満足しない点が一流になる理由。師匠の教えに意識の高さ、全てがここに集約された勝利でした。素晴らしい走りで感動しました。

日本ではフェブラリーSが行われ、サウジアラビアからとんぼ返りして騎乗したR.キングとコスタノヴァが制しました。女性騎手初のJRA・GI制覇で話題になりましたが、G1では女性騎手だからといって減量なく、普段のレースでもキング騎手はありません。しかし、肉体的な部分を強化し、上手くなるためにを繰り返してきた彼女は性別など関係ないと見せつけてくれました。
日本では騎手になれば多くのお金が入り、いつしか上を目指すよりもそのお金で遊ぶことに満足する騎手が多くいますが彼女は違います。馬に乗って勝ち上がるために賞金が安くても努力を重ね、日本でも結果を出しました。スタートから後手を踏んだ後のリカバリーは素晴らしかったですし、1コーナーの入りをカバーしながらポジションを定めつつギアを上げていく騎乗は超一流のものでした。坂井君やキング騎手のように、常に上を目指して行動しているからこそ掴んだ勝利は心を揺さぶられるものでした。

今週は小倉、中山、シン・阪神競馬場の3場開催で非常に楽しみです。レースでは日曜の中山記念に注目しています。シックスペンスや最近の走りから1800mは合いそうなソウルラッシュ、1発があるアルナシームなど楽しみな馬が揃います。是非、最後になる調教師の勇姿を、希望に満ちた新人騎手を見に競馬場へ足を運んでください。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。