
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
人が繋いだ、馬が繋いだ
2025/6/17(火)
皆様、こんにちは!暑いですね。我が家も恒例の青梅シロップとレモンシロップ作りが始まりました。夏はこれをソーダ水で割りながら飲む梅スカッシュやレモンスカッシュが最高で、必死に青梅のヘタを取って飲む権利をゲットしました(笑)。

父の日に行われた宝塚記念を振り返りましょう。例年よりも開催が2週間早まったことや前日の雨により馬場が読みにくくなりました。もっと降るイメージでしたが、当日は意外と晴れたことで難しいなと感じていました。重から稍重に変わりましたが見た目以上にタフな馬場だったと思います。そこに前残りが目立つ傾向に…。
そして迎えたレース。返し馬では豊ちゃんがメイショウタバルにラチを見せ、タイミングを測っている様子が映りました。これを見た時に勝つのは彼だなとターフコンディションを含めて感じました。難しい馬をあそこまで完璧に乗りこなし、長手綱で行くなら行ってもいい気持ちで折り合いをつけ、これぞ天才というペース配分で勝利。管理する石橋君にとっても初G1をメイショウさんの馬で、豊ちゃんと挙げたのは嬉しかったと思います。
豊ちゃんの父、邦彦さんが亡くなった時、メイショウの松本オーナーが「息子さんは任せてください」と誓った言葉がふと頭によぎり、豊ちゃんにとっては父に捧げる勝利をお世話になっている松本オーナーと石橋先輩とで父の日にできたことは感情を抑えきれず、気持ちが溢れる勝利になりました。豊ちゃんの「人が繋いだ縁で馬が繋いだ縁」というコメントに全て凝縮された、素晴らしいレースでした!


夏本番はここから!しかし、今週も阪神・東京・函館で開催替わりは来週からになりますからご注意を。そんな中、阪神では新設重賞しらさぎステークスが行われます。ここはなんといってもチェルヴィニアですね。成長を促してマイルに照準を合わせてきたのはプラスに働くか、非常に楽しみにしています。
マイル挑戦はレーベンスティールも同様です。こちらも意外に合う気がしていて注目しています。その他にもダイシンヤマトやシヴァース、鞍上が替わることで刺激がほしいニホンピロキーフなど勝ち負けだけでない楽しみが多い一戦になります。夏に向けてスカッとしたレースに期待しましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。