
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
動かない者に成長はない!
2025/12/3(水)
皆様、こんにちは。先日じゃがいもをいただいたので早速電子レンジで蒸し芋にし、塩辛をのせて食べました。じゃがいもに塩辛を合わせるのは北海道出身の私にとっては欠かせない食べ方で、その他にも納豆に砂糖を入れるなど、北海道独特の食べ方が未だに染み付いています。小さな頃から体が覚えていることは「味覚も含めて忘れないものだな」とふと思いました。

先週日曜は東京競馬場でジャパンカップが行われ、フランスからの刺客カランダガンとバルザローナ騎手が勝利しました。ジャパンカップといえば世界の壁に何度も敗れ、悔しさを糧に日本馬がレベルアップしてきたレース。いつからか日本馬が勝つという意識に変わってきていましたが、今回は世界ランキングNo.1のカランダガンがワールドレベルをまざまざと見せつける結果となりました。
バルザローナ騎手も昔は日本で騎乗していましたが、久しぶりに見た彼は恐ろしいほどにレベルアップしていました。最後の4コーナーからマスカレードボールのルメール騎手との併せ馬は「これぞ世界レベル」という激しい叩き合いで、胸が熱くなるほどでした。結果はレコードタイムを叩き出す素晴らしいレースとなり本当に感動的でした。
日本にいれば騎手はある程度の収入が得られる現状があります。若手でも稼げれば生活が乱れたり、現状に満足してしまう者もいるでしょう。しかし、世界レベルの競馬を観て何かを感じて自ら動き出さなければ、この二人の域には辿りつけないと思います。すごいなという感想は誰にだって言えるのですから。周りに流されるのではなく、視野を広げた努力と挑戦をし、行動しなければいけないと思います。来年は日本人が対等に渡り合っていく姿を見せてほしいものです。
最後に、敗れはしましたがクロワデュノールも苦しい調整状況やレース展開の中で、あの走りは「負けて強し」の結果だったと思います。


今週からは中山、阪神、中京と開催場が替わります。中京ではG1チャンピオンズカップが行われます。まず注目は田中博厩舎のナルカミになると思います。田中師はカランダガンの調教を見に行くなど常に新しい要素を吸収し、課題を持ちながらトライ&エラーを繰り返して結果を出しているだけに、最高の答え合わせの場になるのではないかと期待しています。
ここにダブルハートボンドやウィルソンテソーロ、ダート2戦目のシックスペンスなど強者が揃うレースで非常に楽しみです。チャンピオンを決める戦いを楽しみに待ちましょう!
プロフィール

松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。






