'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月18日時点1558勝
ルージュバック、アデイインザライフら注目お手馬も続々登場!
2014/12/13(土)
地方勢の活躍際立つ交流重賞
-:先日の兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)ですが、ウィッシュハピネス(牝2、栗東・沖厩舎)が門別で重賞を制し、引き続きのコンビでしたが、ちょうど残り1ハロンぐらいで失速してしまいました。
戸崎圭太騎手:少しペースもキツかったですね。けっこう番手の馬にプレッシャーをかけられた感はあったので、最後に踏ん張れなくなりましたね。
-:あの敗戦を見ると、適性距離としては1200までなのかと思う人もいると思います。
圭太:展開次第ですかね。1400ぐらいまで大丈夫だと思いますが。
-:そんな気はするのですが、1200まではハナでした。やっぱり展開的には、今回はマークされるというか、そういう形が強かったですね。
圭太:そうですね。馬場もああいう馬場になったので、良いのかと思ったのですが、周りにも逆に来られているというのもあるだけに、厳しい競馬にはなったかなと思いますね。
-:そういう意味では、浦和記念(Jpn2)のエーシンモアオバー(牡8、栗東・沖厩舎)もハナには行きつつも、不可解な敗戦でした。
圭太:あれは分からないですね。昔、浦和で乗せていただいて2着だったのですが、今回は少し出負けして脚は使ったとはいえ、2コーナーを回ってから全然手応えがなくなっちゃったので。う~ん……。
-:馬自身が、今日は止める日だという感じだったのかもしれませんね。
圭太:ねぇ。
-:その先週と今週と続けて南関勢、地方勢の活躍が凄いですね。
圭太:そうですね。まあ、負けている身からすれば、言って良いかどうか分からないのですが、地方馬が活躍することは盛り上がるし、良いことかなと思いますね。
-:しかも、自身からすれば地方の中でも一番ゆかりがある地域・南関東の馬が勝った訳ですからね。
圭太:頑張ってもらいたいですけどね。
走る馬には収縮が必要
-:東京スポーツ杯2歳S(G3)のクラージュシチー(牡2、栗東・高橋忠厩舎)は未勝利戦の勝ちっぷりからすれば、残念な結果でした。
圭太:レースは上手くいったかなと思ったんです。直線も道が空きましたし、直線は正直、伸びなかったですね。というのも、フットワークが変わらなかったんです。ずっと同じ位置に頭があって、手先だけで走っている感じで、まだちょっと体の使い方が上手く出来ていないとは思いましたね。
-:それは首だけですか?
圭太:いや、全身。だから、首が使えないということは、背中も上手く動いていないので、そこが変わってくるともっと良くなるかなと思います。
-:レース前は映像を視られたと思いますが、それまでと同じ走りではなかったのか、やっぱりこのクラスになってくると、その収縮をしないと無理なのか、どう感じましたか?
圭太:前走で強い勝ち方をしている時も、頭は高いイメージはありましたね。なおかつ、乗ってみても少し高い感じはしています。返し馬は高くても良いのですが、伸ばしてからがグッと入らないとね。
-:畳むのと伸ばすのがシッカリ出来るようにならないといけないということですね。
圭太:そうですね。あとは、走る馬というのは重心が低くなると言うじゃないですか。それがやっぱり高い馬のフットワークかな、という感じがしますね。あれだけ強い勝ち方をしているので、まだまだこれからの馬だと思いますけどね。
-:ハービンジャー産駒全体で何か長く脚を使うというか、スッと反応しない印象がありますね。
圭太:そうですね。そんなに乗っていないから何とも言えないですが、一緒のレースに出たスワーヴジョージも一瞬スッと上がっていたんで、そのまま押し切るというか、そこからジワジワ伸びていくのかと思ったんです。それでも、結局止まっているんで、脚の使いところは難しいのかなとは思いますね。ハービンジャーの子はそんなイメージはあります。
-:もしかしたら晩成タイプかもしれないという。けっこう活躍しているので目立っていますが、そういう懸念もあるのかな、という感じですね。
圭太:そうですね。まだ、初年度産駒が始まったばっかりですからね。どうなっていくのか。
-:話は戻りますが、走りの収縮というのは、調教で良くなってくるものですか?
圭太:ええ、馬にもよりますけどね。全然変わってくる馬もいますしね。それがやっぱり走ってくる馬じゃないですか。やっぱり成長してくるというのは。それも成長の一つですからね。走り方にしろ、気性にしろ。
-:今の走りで物足りないところに、例えばシッカリ筋肉なりが付いてちゃんとすれば、使いきれる形になった時に良くなるということもあれば、矯正して出来ることもあるということですか?
圭太:そうですね。
-:ピッチャーがオーバースローからサイドスローに変えることとは話は違いますか?
圭太:きっと違いますね。それは人間ですからね。走り方を変えるとか、それは人間がやるから出来ることであって、なかなか難しい。
-:クラージュシチー自身は望んでいないでしょうからね。
圭太:そうですね。好きにやらしてくれよ、という感じだと思いますからね。
-:馬自体は今の走り方が楽というか、そういう走り方だから、基本的にそのまんま走っているということですね。今のままでも、あれだけ勝っているんでね。またレース展開が違ったり、コースが違ったりすれば、また違う走りが出来ると思うんで、そこは何とも言えないです。だから、難しいですよ。
-:エリザベス女王杯(G1)のサングレアル(牝3、栗東・松田博厩舎)は、秋華賞で兆しが見えたものの、見せ場なく終わってしまいました。
圭太:ゲートが遅れましたもんね。それで位置取りが丸っきり後ろになったので、少し痛かったですね。
-:乗ってきての変化はありましたか?
圭太:その前が良かったので、維持出来て体重も増えていましたもんね。状態的には良かったなと思います。
-:現状の課題というか、もうちょっと良くなって欲しいというところはありますか?
圭太:体重がもう少しふっくらして成長することで精神的にも楽になってきたり、もっと集中出来たりというのが出てきたりするかもしれないので。そんなに課題があるとかはないんで。
-:成長待ちと。
圭太:そうですね。それに尽きますね。
-:気配とか状態面の変化はありましたか?
圭太:変わらず維持出来て、体重が増えていたのも良かったんでね。自信を持って挑んだのですが、展開がきつかったりしましたよね。
重賞以外にも注目お手馬が登場
-:重賞じゃないですが、アデイインザライフ(牡3、美浦・鈴木康厩舎)が連勝してきましたね。
圭太:この2戦は、随分と一時期よりも変わった走りをしていますね。メリハリの利いたレースも出来ていますし、なかなか素質通りに走ってくれてるかなという感じがしますね。
-:その要因となったのはどの辺ですか?
圭太:休んで少しリフレッシュ出来たのも良かったんじゃないですかね。それまではコンスタントに使っていたのでね。フットワークも変わってきて、少し伸び加減で走っちゃっていたので。
-:もともとはどこかボテッとしているイメージが強かった馬ですが、馬体の変わり身というか、変化はありましたか?
圭太:また、ふっくらしましたよね、乗った感じは。跨った瞬間に違いましたからね。ただ、ふっくらしているけど、歩き方というか、筋肉の使い方が良くなっているのでね。
-:残念ながらクラシックには乗れなかったですが、良くなってきている部分はあるということですね。
圭太:そうですね。楽しみです。
-:こちらも重賞を勝っていないですが、ルージュバック(牝2、美浦・大竹厩舎)はいかがでしたか?
圭太:2戦目であれだけ強い競馬が出来て、なかなか素質も感じますし、楽しみな1頭だと思いますよ。
-:レコード勝ちもしましたし、ここ2戦は非の打ちどころがないのかなという気がするのですが、現状の課題はありますか?
圭太:いや、このまま成長していってくれれば良いのかなと思います。
-:夏、秋と使ったら、ジュベナイルというのが、多分ファンの方から見たら当たり前に思っていたかもしれないです。休ませた要因を感じられる部分はありますか?
圭太:クラブの発表であったと思いますが、ソエが痛くなったのでね。でも、まだまだ緩さだったり、頼りない部分がまだまだありますから。だから、あれだけ走れていても間を空けるというのも、良い方向に向くと思いますし、来年は期待出来る1頭かなと思います。
-:元値として体はある方ですか?
圭太:いや、まだちょっと頼りなさがあるんで。それで、あれだけのフットワークというか、脚を使えるので。
-:ここで待ったことが、来年に繋がるかもしれないですね。
圭太:うん。繋がりますよ。
-:「これからはなかなか自信のコメントを発さない」と宣言されていただけに、それでいて自信が伝わってくるということは、なかなかの自信ということの表れで良いのですかね。
圭太:正直ですからねぇ。ワクワクしちゃうんでね。でも、無事に行ってくれれば。
-:来年は桜花賞、オークスとあります。そこら辺のイメージが湧いてくるものですか?
圭太:そうですね。
-:ニヤニヤしていますね。
圭太:ええ。
-:牝馬の戸崎で?
圭太:そうですね(笑)。
-:じゃあ、来年までタイトルは。
圭太:いや、そんなことはないようにしないと。でも、正直、早く1年が終わってもらいたいですよね。ただただ、まあ本当に毎週、毎週有力馬に乗せていただいて、結果がなかなか出ないのが歯痒いですが、一活懸命良いレースを見せたいなと思いますし、タイトルも一つくらいはね。内容を濃くしないといけないですから。リーディングを目指して頑張っています。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。