'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
12月23日時点1569勝
主戦も惚れ込む大物候補 ルージュバックがきさらぎ賞でベールを脱ぐ
2015/2/1(日)
その豪快なフットワークもさることながら、前走の百日草特別はスローの流れをぶっち切り、レコード勝ちの圧勝劇。如何にもモノの違いをみせつけたが、未知数な部分も大きいのが3歳戦。キャリア3戦目を迎えるにあたっての課題、そして、その能力を主戦に語ってもらった。
テン乗りが堪えた京成杯 そして、レースレベルは……
-:まず、先日の京成杯(G3)から振り返っていただきたいのですが、テン乗りのソールインパクト(牡3、美浦・戸田厩舎)は惜敗が続いていた馬ですが、今回ももう一歩という結果でした。
圭太:状態はすこぶる良く、気合も乗っていました。結論から言うと、凄く繊細な馬だなとは感じましたね。周りも気にしやすいですし、それによって力を発揮できない部分もあるのかなと。
-:現状で言えば、少頭数や広いコースの方が、力は出しやすいということですね。
圭太:良いと思います。ただし、う~ん、乗り方ももう少し工夫できていれば……。これはレースに行って感じたことなので、もう遅いのですが、道中でもう少しリラックスさせてあげれれば良かったなという印象です。
-:この馬に関しては、テン乗りよりも1回乗ってからの方が得られた部分もあるでしょうし、対応できる部分も出てくるということですね。
圭太:そうなんですよね。今では遅いですが……。
-:ちなみにこのレース、上位の馬が不利を受けたり、引っ掛かったりしながら上位に好走しました。それでも、ベルーフ(牡3、栗東・池江寿厩舎)も悪条件を跳ね返しての一戦。レースレベル、レースの印象はいかがでしたか?
圭太:ベルーフは強い競馬をした印象ですね。上手く流れに乗って、あれだけ外を回っていましたから。ブラックバゴの勝ちパターンかと思いきや、あそこから差し切るのですから、強さは際立っていたのかなと。
-:あの1戦に関しては、ベルーフの強さが目立っているかなという感じがしますね。
圭太:そうですね。3コーナーも少しゴチャついていたので、ああいう形になりながら差してこられたのはね。
-:なおかつ、2着のブラックバゴ(牡3、美浦・斎藤誠厩舎)は前回乗ってらっしゃって、癖なども分かっていると思います。
圭太:あの馬は精神的にも強いですよね。少し気持ちが入る部分はあるのですが、特に競馬に注文が付くところはないかなと。良いモノは持っていますね。
-:引っ掛かりながらでもちゃんと来るぐらいですからね。3着の馬も、それで1コーナーでちょっとゴチャついたというか、それで来ている訳ですからね。
あの名馬を彷彿とさせるルージュバック
-:なおかつ、その勝ち馬が前走で敗れたのが、きさらぎ賞(G3)に向かうルージュバック(牝3、美浦・大竹厩舎)でした。デビュー2連勝で、対戦比較からも走らずとも評判は高まるばかりです。いよいよ年明け緒戦がやってきますが、まずここまでの印象というか、2戦跨っての印象はいかがですか?
圭太:無難なレースと言えば、無難なレースなのかもしれないですが、パフォーマンスというか、強さはアピールできているのかな、という感じですね。
-:なんだかもう、その乗り味に惚れ込んでいるからか、笑い始めていますね。
圭太:いやいや(笑)、もう、新馬はどうであれ、2戦目でベルーフを負かしていますからね。ベルーフが勝ってから、2戦目の映像をもう1回見直しちゃいました。なかなか強い勝ち方というか、良いフットワークですよね。
-:敢えてそうして自分が乗って勝った馬のレースを見直すことはあるのですか?
圭太:いや、特にないですよね。でも気になったところは観ますね。ここはどうしたら良かったのかなとか。そういう意味ではこういうケースでレース映像を見直すことは、特にはないですからね。
「全身を使って走りますよね。ディープインパクトでユタカさんが『飛んでいる』と仰っていて、同じ感覚かどうかはわかりませんが、ああいう風な感じなのかな……と」
-:その走りの良さは具体的にはいかがですか?
圭太:全身を使って走りますよね。ディープインパクトでユタカさん(武豊騎手)が「飛んでいる」と仰っていて、同じ感覚かどうかはわかりませんが、ああいう風な感じなのかな……という感じですかね。全身で走るという感じです。
-:あれだけ体、フットワークに伸びがあって、フットワークの大きい馬は、今まで乗った中ではいましたか?
圭太:ただ、跳びが大きい馬はいますよね。それがルージュバックの場合は全身バネというか、収縮も良くて伸びも出来て、という走りですね。跳びが大きいだけの馬は、伸び切って走っているだけということになるので、それが収縮してボーンと伸びるという、走る馬の基本的なことですよね。調教でも、“詰めて、伸ばして”というのが基本だと思うので、それは可動域が大きいという感じですよね。
-:今までも他馬で収縮の話題はされてきましたが、それが出来ているということですね。今、調教の話が出ましたが、調教には乗られているのですか?
圭太:いや、乗っていないです。まあ、僕もそんなに調教ができる自信はないので、フフフ(笑)。昔から言っていますが。
1週前追い切りは美浦ウッドで6F80.4-65.1-50.6-37.0-12.4秒をマーク
併せた僚馬に大差先着してみせた
-:改めて伺うと、調教での収縮はどの厩舎というか、どの乗り手でもそこは意識してやるものですか?
圭太:そう思いますね。それは基本だと思うので、地方の頃からそうでした。
-:それは、競馬として当たり前というか、常識な部分ということですね。調教も一度ばかりですが、映像を観ることができました。やっぱり良い走りをしているという印象は受けますね。手前の替え方はどうですか?
圭太:もう軽いですよ。
-:レースでも手前変換を観ていると、フワッと見えますね。
圭太:フワッとしていますね。もう本当にフワッ、フワッ!なんですよね。だから、「飛んでいる」というね。ディープインパクトがどういう乗り味か分からないですが……。
-:では、強豪揃うきさらぎ賞でも千切るようなことがあれば、レース後の談話は「飛んだ」という表現になるかもしれないですね。
圭太:表現をしましょうかね。ハハハ(笑)。
インタビュー(後半)
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。