'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
12月23日時点1569勝
一つずつ課題をクリアしてきたルージュバック
2015/2/27(金)
パワーを秘めるレゲンテ
-:フェブラリーS(G1)はベストウォーリア(牡5、栗東・石坂厩舎)に騎乗し、同じ石坂厩舎で言えば、新馬戦をレゲンデ(牡3、栗東・石坂厩舎)で勝たれましたね。
圭太:凄くパワーがある印象でしたね。お姉さんのジェンティルドンナよりもパワーがあるといいますか。
-:その上のお姉さんのドナウブルーだと、もう少し軽いというか、切れ味が売りの馬だったと思います。血統は同じでも、それとは違ったタイプという見方で良いですか?
圭太:ただ、体もまだまだですし、これからどうなっていくのかな、というところはありますね。
-:この後の出走予定は聞いていますか?
圭太:いや、少し空けるんじゃないですかね。多分、放牧に出るかなと。もともと弱いところがあって、ここまで延びたようですからね。じっくり行かれるのではないでしょうか。
-:性格の部分はどうでしたか?
圭太:返し馬では跳ねたり、ちょっと我が強いところを見せていました。そういうところは、ジェンティルに似ているのかな、と。レースに行ってからの渋太さもありましたしね。
-:長い目で見てあげれば、というところですね。
圭太:そうですね。ファンの期待は大きい一頭だとは思いますが。長い目で見てあげてほしいです。
▲有馬Vも記憶に新しいジェンティル全弟のレゲンテ
先行策が功を奏したラブリーデイ
-:その日は京都記念(G2)のラブリーデイ(牡5、栗東・池江寿厩舎)で勝たれましたね。「2強」と言われたキズナ、ハープスターがいて、特殊なメンバー構成の一戦でしたね。
圭太: G1馬もいますし、盛り上がるだろうとは思っていました。去年の札幌記念なんかもそんなメンバーでしたよね。
-:ラブリーデイ自体は中山金杯でも一緒に乗られていますし、実際のレースに乗ってのイメージの違いはありましたか?
圭太:いつもずっと一緒のレースで人気をしていて、けっこう印象深い存在でしたね。注目している上でのイメージでは、前にも行けるし、乗りやすそうな馬だと思っていましたね。
-:ここに来ての馬体の充実振りを見ると、ようやく完成しつつあるというか、良い状態に向いてきているのかな、という感じを受けます。
圭太:初めて乗せていただいたので、比較はつきませんが、良い時に乗せていただいたかなという感じですかね。
▲2番手から立ち回りライバルたちを封じ込んだラブリーデイ
-:ある程度良いポジションを取れたというのも、今回の勝因にはなりますね。
圭太:前に行く馬もいなかったので、先生(池江泰寿調教師)とも話をして、スズカ(デヴィアス)が行くくらいかな、という話だったので「出方次第で行ってみても良いんじゃないか」ということは、先生は言ってました。
-:上手くハマりましたね。
圭太:結果、勝てましたからね。
-:このあとは長い距離に行くような話ですが、その適性はどうでしょうか?
圭太:特に問題はないかなと思いますね。2000m前後で活躍しそうですね。
確かなステップアップをみせたルージュバック
-:きさらぎ賞(G3)のルージュバック(牝3、美浦・大竹厩舎)は、断然の人気に推されるも、3連勝となりました。
圭太:返し馬の雰囲気も、堂々としている感じでした。今後を見据える上でも、そういうところは大事だと思っているので、ルージュバックの様子を窺いながら行ったのですが、素晴らしい雰囲気で行けましたね。
-:戦前は「(成長の)変化も欲しい」ということでしたが、その辺はどうでしたか?
圭太:しっかりしていましたね。返し馬のキャンターに行ってから、それは感じましたね。
-:それは、数字には見えない部分で変わってきたところがあったということですね。
圭太:そうですね。芯がしっかりしてきたというか。
▲馬場入りの際にも笑顔をみせる戸崎騎手 自身の現れ?
-:返し馬の時点で手応えというか、自信は深まった訳ですね。
圭太:自信ですか?自信は元々あったので、成長したのは良かったなと思いましたし、何か一つ一つクリアしていってくれているなという感じはしますね。
-:慎重な言葉選びとは裏腹に、あれだけ笑っていったというのは、余程の自信だったということですね。
圭太:ん?(笑っていたのは)いつのことですか?
-:結構、話を聞く度にニヤニヤしていたんで。
圭太:ああ~、そうですね。ハハハ。
-:そんなことなかなかないじゃないですか?
圭太:そうですか?自分では分からないですよ。
-:分からない間にニヤけていたのかもしれないですね。そして、レースでは思ったよりもスタートをして良い位置に行っていたので、不安がよぎりました。
圭太:うん、特に問題なかったですね。レース前から、どういうレースをしようかと思っていたのですが、あんまり考えるよりは、出たなりでいこうと思っていましたね。
-:あの勝ちっ振りは文句のつけようがないですね。
圭太:そうですね。あの位置で競馬が出来たというのも良かったですし、最後の最後もまた伸びていますからね。休み明けの分、ちょっと反応は鈍いかなという感じもしたのですが。
「本当に一つ一つクリアしていってくれているので、順調に行ってますよ」
-:その手応えの鈍さは、多少はあった訳ですね。僕も直線を見て、前回見た方が凄いと思いましたからね。もうひとつハジけている感じには見受けられなかったのでね。道中の位置の差もありますし、勝っているだけに、欲を言い過ぎかもしれませんが。
圭太:(反応の鈍さは)ありましたね。最後の最後はまた伸びているんで。
-:ここから、また少し間隔が空きますが、次も似たような状態になるかもしれません。それでも、期待を持って挑めるということでよろしいですね。
圭太:そうですね。期待しかありません!
-:輸送の部分もこなしましたし、右回りもなんてことありませんでした。
圭太:ええ。だから、本当に一つ一つクリアしていってくれているので、順調に行ってますよ。
-:現状では軽い芝の方が良いですか?
圭太:この間もちょっと(馬場が)緩かったのは緩かったですね。そんなにパンパンではなかったので。
▲ここ2戦とは一転 先行策から抜け出したルージュバック
-:とはいえ、京都の緩さだと他場よりはマシですよね。
圭太:う~ん、そうですね。重馬場や不良になるとどうなのかな、という感じはするので。でも、体がしっかりしてきたとは感じ取れたので、ある程度の馬場ならやれるのかなと。
-:それも、どこまでしっかりしてくるのか分からないですし、今の完成の過程が、どの程度なのか分からないですが、もっとしっかりしてくればこなせる可能性も大いにあるということですね。
圭太:そうですね。でも、どれだけしっかりしても、ダメな馬はダメですからね。
-:桜花賞当日に大雨が降り出したら、「昔、道悪は危ない」とおっしゃっていたのを拡散しておいた方が良いですね。
圭太:ハハハ。
-:予防線としてね。ジャスタウェイも東スポ杯の時などは、大雨で4着には来ているとはいえ、勝ち馬には突き放されていました。そんな馬が安田記念ではあれだけの馬場をこなしている訳で、変わってくることもあるということですね。
圭太:ええ、そういうケースもあると思います。
歯科矯正 その意図は!?
-:そして、今後の騎乗スケジュールは決まっていますか?
圭太:大きいので言えば、日経賞(G2)のフェノーメノ(牡6、美浦・戸田厩舎)ですかね。
-:他に来週以降というのは、まだ予定としては入っていない感じですか?
圭太:うん。(3歳)牡馬もちょっといないですしね。いないというか、どうなるか分からないですね……。
-:では、競馬以外でのその他の話題はありましたか?
圭太:いや、特にはないですね。あっ、矯正をしたというぐらいですか。
-:話を聞いている身からすれば、見た目でもわかるポイントですが、ファンの人からは「今になって何をしているんだ」という声も聞こえてきそうですね。やはり噛み合わせを考慮されたのですか?
圭太:「海外のために矯正しているのか?」なんて言われましたよ。
マネージャー:英語の発音のためでしょ、ハハハ。
圭太:(理由は)何にしようかな……。インタビューで噛まないように。
▲矯正スマイルの戸崎騎手
-:矯正は全然関係なさそうな感じがします。
圭太:歯は大事ということで。でも、体のバランスは良くなると言いますよね。
-:力学的なことを考えると、やっておいた方が良いと言いますもんね。それを何カ月間やるんですか?
圭太:1年間。歯並びは凄く綺麗になりますよ。やっぱり見た目が良いですね。歯が綺麗なのは。大井の和田譲治もやっているんですが、スゲエ綺麗でした。
-:彼はもともと顔が良いという話で……。
圭太:顔はどうでも良いんですよ(笑)。歯がやっぱり良いね。あれに感激しちゃって。
-:あとは最近はファッションですか?
圭太:ファッション?
-:「インタビューでは服装をしっかりしなくちゃいけない」と仰っていました。
圭太:ああ~、それは気にはしています。誰が見ているか分からないですからね。
-:見た目にこだわる2015年ということですね。引き続き次回もよろしくお願い致します。
圭太:魅せるのは競馬ありきですけどね。そうなるよう頑張ります。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。