'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
1月7日時点1571勝
いざ、ルージュバックと歩む桜の舞台 主戦の胸中や如何に
2015/4/5(日)
明け3歳初戦は成長を確認
-:さあ、桜花賞(G1)がいよいよ迫ってきました。ここでも既に取り上げてきているルージュバック(牝3、美浦・大竹厩舎)ですが、負かしたベルーフ、ミュゼエイリアンが後に重賞を制して、走らずして段々と評価が上がっている感じを受けます。この中間の状態や調整は、厩舎の方から伺っているのですか?
圭太:特には聞いていませんが、一週前追い切りは自分で映像を観ました。順調に来ている印象ですね。
-:追い切り映像は僕も観たのですが、以前、課題に挙げていたテンションや気配は悪いところが出ている雰囲気もないですし、良い状態で来ているのかな、という感じがしました。
圭太:そうですね。心配になるところはありませんでした。
-:百日草特別、きさらぎ賞と牡馬を退けての3戦無敗ですね。
圭太:ああいう前の位置取りで競馬が出来た点は、レースの幅が広がったのかなと思いますね。
-:その半面、 1、2戦目までの位置取りと違ったことで、意外に感じる人もいるかもしれません。きさらぎ賞で先行できた要因はありますか?
圭太:率直にいえば馬が勝手に出ていきました(笑)。というのも、新馬でも出ていったのですよ。しかし、新馬の時はあえて下げましたね。2戦目は少しぬかるんでいたところに脚を取られて、下がってあの位置取りになったので。それに、ゲートで少し出遅れもしましたね。
追わずしてベルーフを2馬身半突き放した百日草特別
-:百日草特別は若干遅れたこともありますが、東京コースといえばスタート地点のポケット部分の馬場は、道悪が残りやすいですね。
圭太:そうですね。そこで脚を取られて、ああいう形になりましたね。
-:新馬が終わった後に「ちょっとテンションが気になる」という話をされていたと思うのですが、精神面を考慮したよりは、発馬と馬場状態で行かなかったということですね。
圭太:そうですね。何もなければ先行していたかもしれません。馬のリズムを崩してまで、わざわざ下げる必要はないと思うので。
-:その馬場状態ということに関して言えば、阪神も使ったダメージが出ている印象を受けますが、ぬかるんだ馬場には少しノメるというか、ダッシュが利かない部分があると思います。傷んだ馬場に対する対応力はいかがですか?
圭太:正直、分からないですね。走ってみないと分からないでしょう。
「百日草特別の時と違って、前走は力を付けていました。“これなら(渋った馬場も)こなせるな”という感じはしましたよ。前走もそこまでパンパンの良ではなかったですから。シッカリしてきましたね」
-:しかし、当日の天気さえ良ければ、そんなに気にすることはないですか?
圭太:それは大丈夫だと思いますね。ただ、荒れた馬場はほとんどの馬が未知ではないですか。クイーンズリングやフィリーズレビュー組は重馬場で走っていますが、良(馬場で)しか走っていない馬たちは未知数ですよ。感覚でしか語れないですからね。
-:それでも2走前の2コーナーまでの走りの中では、雨になった時はどうかな、という走りだったわけですね。
圭太:ただ、あの時と違って、前走は力を付けていました。“これならこなせるな”という感じはしましたよ。前走もそこまでパンパンの良ではなかったですから。
-:馬体重の額面は変わっていませんが、着実に成長しているということですね。
圭太:そう、シッカリしてきましたね。
仕上がり、距離、不安材料を一蹴
-:これは以前にも伺いましたが、きさらぎ賞は先行したとはいえ、百日草特別と比べると、直線でもう一つの弾け方じゃないかなと思いました。
圭太:そこは久々の分と考えていますね。
-:久々の分ということで、なおかつ今回もちょっと間隔が空きますが、そこは心配しなくて良い部分ですか?
圭太:うん、そう思いますね。
-:考えてみれば百日草特別が終わってからは、阪神ジュベナイルフィリーズの出走も考えていた中で、ソエもあり順調さを欠いてのブランク。今回は桜花賞を見据えての2ヶ月間ですね。
圭太:そうですね。当時は今回よりゆっくりさせた期間は長かったと思いますよ。今回は同じ放牧でも、レースを使って、桜花賞を目標にしていると思うのでね。もちろん厩舎サイドの調整を逐一チェックしているわけではありませんが、そこの過程が違うと思います。
-:前回の休みとは意味合い、度合いが全然違うと。
圭太:全然違うと思いますね。
ルージュバック 桜花賞一週前追い切りの様子
-:そして、少頭数のレースばかりが続いていますが、モマれた時はどうなりそうですか?
圭太:それも未知数ですね。ただ、新馬の時もそれほどスムーズな競馬はしていないのでね。
-:マイル戦も初の条件ですね。
圭太:う~ん、1600と2000とどちらが良い?と聞かれたら、2000の方が良いという気持ちはありますね、正直。かといって、全然問題ないでしょう。
-:阪神のマイルや東京のマイルは根本的に長い距離をこなせる馬が来る訳です。それに阪神のコース改修後、桜花賞で成績を残した馬のオークスでの成績を見ると、順当に長距離をこなせて力のある馬がくる舞台かと。
圭太:そうですよ。距離といっても、コース形態によって求められるものが違いますからね。
-:引き続き不安材料を挙げますと、そこまで激流の流れを経験していないと思います。桜花賞では後にスプリント戦に出るような馬もいたりしますが、そこはどうでしょうか?
圭太:それは乗り方次第じゃないですか。別に速いからといって付いていく訳でもないです。それに前回の行きっぷりで、マイルの流れにも対応できるんじゃないかと思いましたからね。もとは長い距離の方が良いとも思っていましたが、その日のテンションにもよるのかもしれませんね。
「今回で(力は)わかるでしょうし……。わかるというか、良いんじゃないですか。自信があるといえば語弊はありますが、何一つ不安もないですし、気持ち良く乗れるな、という意識はあります。結果はその後に自ずと付いて来るのでね」
-:たくさんの懸念材料をほじくり出しましたが……(苦笑)、前々回負かした相手が、のちに重賞を勝っているという、何もせず評価が上がっている現状です。かなりのマークが予想されます。
圭太:今回で(力は)わかるでしょうし……。わかるというか、良いんじゃないですか。自信があるといえば語弊はありますが、何一つ不安もないですし、気持ち良く乗れるな、という意識はあります。結果はその後に自ずと付いて来るのでね。
-:重賞やG1で、たくさん良い馬に乗られてきましたが、これほど不安なく乗れるレースは最近ありましたか?
圭太:有馬記念のジェンティルドンナの時もそうでしたね。勝ち負けは抜きにしても、その馬の最大限の力を発揮出来れば良いなと思っていますし、それイコール乗りやすさ、不安がなければ、思い切って乗れるというか、自信を持って乗れると思います。力差はやってみないと分からないですし、他にも強い馬がおり、勝負事なのでどうなるか分かりませんが、自然体。僕としてはそういう感覚の桜花賞ですね。
インタビュー(後半)「全てをクリアし迎える第一冠」はコチラ⇒
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。