'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月25日時点1561勝
さあ、オークス!ルージュバック、逆転の可能性に迫る!
2015/5/20(水)
兎にも角にも不可解な桜花賞
-:さて、いよいよオークス(G1)ですね。桜花賞では圧倒的な支持を集めながらも、残念な脚気に終わってしまいました。オークスで挽回したい思いも募らせていらっしゃると思いますが、まず、先に一つ確認したいことがあります。G1に出る馬としては、短期放牧からの帰厩(12日火曜日)が遅いこと。今回はそこをどうジャッジしたら良いのかな、という疑問があるのですが?
戸崎圭太騎手:関係者も色々試行錯誤してそういう形になったと思うので、僕からは良いのか悪いのかは特にないですね。もともとが追い切りや調教で乗ってきた馬でもなく、厩舎の方にお任せしていましたからね。
-:しかし、前回の敗戦の中で調整方法というか、過程が変わっているということは、陣営側からすると、状態面としては足りない面があったのかな、という推測をしてしまうのです。
圭太:う~ん、ただ、前回がもっときちんとしたレースが出来ていれば、色々と感じ取れる部分もあったのでしょうが、何せ競馬の組み立て、展開がああいう形になってしまいましたからね。状態は何とも判断し辛いですよね。言わば“走っていない”でしょうし……。
-:あれだけスローだとしても、後ろから来ている馬もいる訳ですからね。“走っていれば”もっと上の着順もあったかもしれません。
圭太:まあ、そうですね。
1週前は連日の重賞制覇!鞍上は勢いよくオークスに向かえそうだ
-:そういう意味では、ご本人は「乗り方が……」とおっしゃいますが(敗因は)?
圭太:正直、もう少し伸びてもらいたかった、上位には来て欲しかった、という気持ちはありますが、それがゴチャついた中で気分を害してしまったのか、状態面だったのか、その辺もはっきり分からないですよね。
-:レースは3戦していましたが、あれだけの頭数と競馬で走ることは初めてでしたね。
圭太:もちろん、モマれたという敗因もあるかもしれませんからね。
-:せめて勝ってはいないとしても、伸びていた方がある種、位置取りが悪かったんだ、という敗因は見つけやすいですからね。そういう意味でも不可解な結果でしたね。今まではそれだけ後方から運んでも、ちゃんとラストは伸びてきている訳ですから。
圭太:初めての1600だったり、多頭数でゴチャゴチャしたりと初物尽くしだったのでね。とにかく分からないですね……。
すべてを振りきって挑むオークス
-:当日の気配、精神面はレースが始まる前まではいかがでしたか?
圭太:落ち着いていて、変わりなく来ているな、とは感じていました。
-:前回の立ち写真だけ比較すればきさらぎ賞前よりも、桜花賞の立ち写真の時点でちょっと細く映った印象を受けました。乗っている分にはそんな変化はなかったですか?
圭太:そうですね。そういうマイナス要素はなかったですね。
-:その点、むしろ今回の方がちょっとフックラとしている気も受けます。そして、今回は距離が延びますし、2戦2勝の左回りです。そこに光明があると思って良いですか?
圭太:そうですね。1600より2400の方が良いのかなという思いはしていましたから。
-:オークスの方が走りやすいコースということですね。
圭太:そうですね。距離も2000mはこなしていますし、他よりもアドバンテージはあると思いますので。
-:新潟での競馬を見ると、瞬発力がすごくある馬なのかと勘違いしてしまう人がいるかもしれないですが、どちらかと言えば、もう少し長く脚を使うタイプということですね。
圭太:反応が悪いタイプではありませんが、ああいうフットワークをしていますし、長く脚を使うタイプですね。(距離も長くなって歓迎というくらいだったので。
「オークスに関しては、もう馬場だろうが、具合だろうが、展開、枠順、何にしても「勝ってこそ」だと思うので、今はとやかく気にしていないです」
-:これは以前にも伺っていましたが、クラシックが始まる前は、桜花賞よりもオークスに適性があって、他馬を見た上でも、レッツゴードンキにも乗っていましたし、乗っていない馬でもクイーンズリング等が勝って来ていましたが、それらの馬たちよりもオークスへの適性があると感じていたわけですからね。
圭太:そう思っていましたね。まあ、オークスに関しては、もう馬場だろうが、具合だろうが、展開、枠順、何にしても「勝ってこそ」だと思うので、今はとやかく気にしていないです。その条件がある中で勝たなくちゃいけないと思ってはいたので、改めてそういう思いです。
-:しかし、改めて聞くと天気が悪くなり過ぎると、良くないですね。
圭太:いや、大丈夫でしょう。前走だって馬場が悪いという他陣営のコメントはありましたし、現に緩いには緩い馬場でしたが、それを言い訳にするつもりもないです。
-:(条件は)関係ないということで良いですね。
圭太:桜花賞であれだけ人気になってくれた馬だから、それもこなしてくれるでしょう。理想をいえば真ん中の枠でどスローにならない形がベストです。ただ、それを言ったところでそう揃うわけでもありませんから。
-:今回の場合は、中間の調整も判断しづらいところがありますし、買う人はもうルージュバックと戸崎圭太を信じて買うしかない。重箱の隅を突きたい人は買わなきゃ良いし、というタイプの馬ですね。
圭太:ええ、そうですね。
-:地方競馬の大先輩である安藤(勝己)さんから言葉を預かっておりまして、「2週続けて持って来い。人気馬を勝たせてこそや」とエールをいただいております。
圭太:ありがたいお言葉です。何とかその言葉に応えたいです。
-:結論としては、前走の敗因はふっきって、四の五の言わず、ジョッキーが思い切って乗ってくれることを期待するしかないということですね。
圭太:ハイ、そこは大丈夫です。
-:楽しみにしています。
圭太: 頑張ります。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。