'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
12月23日時点1569勝
ゴールデンバローズ、プロディガルサン、期待と重責の一週間へ!
2015/6/19(金)
POGでも超話題の馬は馴染みの血統
-:まず、ユニコーンSの話題の前に伺いたいのが、POGでは話題のプロディガルサン(牡2、美浦・国枝厩舎)です。リアルスティールらの全弟ということでも注目を集めていますが、一週前追い切りにも乗られたということで、いかがでしたか?
戸崎圭太騎手:よろしくお願いします。追い切りは良い動きでしたよ。実はあの兄弟には全部乗せていただいているのです。
-:え、リアルスティールも、ですか?
圭太:ええ、追い切りには乗っているので。本来だったら実戦でも乗っていた可能性があったほどです。デビュー戦の一週前追い切りに乗ったのですが、当時、その当週か翌週の両睨みということで、少し状態が足りない段階で、確実に勝ちに行く判断で一週スライドしたのです。ただ、プロディガルサンに関してはお兄ちゃんより仕上がりは早い印象ですね。
プロディガルサンの一週前追い切りにまたがる戸崎騎手
-:プロディガルサンはPOGでファンの期待度がすごく高い一頭です。しかし、リアルスティールも12月デビューで、ラングレーは天皇賞当日と、あまりにこちらはデビューが早いので、初戦から良い走りができるのか、少し心配なところでした。
圭太:う~ん、まあ、追い切りもあれだけ動けていますし、乗り味も悪くないですからね。素質は感じていますので。気も良い方だと思いますよ。初戦向きといいますか。
-:全兄のラングレーは新馬戦でジャンプしたり、破天荒なところがあったと思います。精神面を比較すると、まだ落ち着きはある方ですか?
圭太:いや、こちらも幾らかテンションが高いかな。そう受けますね。
-:性格や気性面、体調面をまとめて、初戦からまずまず走れる水準にはなってきている状態ですか?
圭太:そうですね。
舌を巻くほどの末脚をみせたゴールデンバローズ
-:まずは東京のマイルでお目見えということで楽しみにしています。さて、ユニコーンS(G3)のゴールデンバローズ(牡3、美浦・堀厩舎)は2走振りの騎乗です。まずはヒヤシンスSを今一度、振り返ってもらえますか?
圭太:新馬や使い出しの頃はスタートもポンと出て、先行しながらレースをしていましたが、どこか出脚でモタつくようなところがありました。中団あたりから行って競馬を教えながら……と思ったので、砂を被って少しモタモタしましたが、それでも終いの脚は凄まじかったですね。凄い馬だな……と。
-:ダートでああいう(直線一気)勝ち方をするというのは……?
圭太:そうですね。なかなかないですよね。
-:その後にドバイに行くということは、ある程度把握されていたと思いますが、行って良い勝負になる感触を感じるほどでしたか?
圭太:まあ、海外は僕の経験がないので、わからない部分がありましたが(笑)、良いレースは出来るかなと思ったほどですね。
-:ダート競馬では今までたくさん良い馬に乗ってこられたのは、間違いないと思います。そういった中で、3歳という段階ですが、ゴールデンバローズの乗り味というのはどれぐらいのレベルのモノを感じましたか?
圭太:どうでしょう。一線級の走りでしたね。それは皆さんも観て、感じた通りほどの器だと思いますよ。
負けられない一戦を制すのが騎手
-:前回のドバイでは世界的なジョッキーのムーア騎手が騎乗しながらも、道中で少しコントロールに苦慮している印象がありましたね。
圭太:そうですね。もともとそういうところがあって、先生(堀宣行調教師)や厩舎スタッフもその辺に気を付けているのは、攻め馬でも感じていましたよ。
-:追い切りには乗ってきた馬ですか?
圭太:海外から帰ってきてからは乗っていませんが、昔は乗っていましたね。
-:その時の工夫とは、どういった指示があったのですか?
圭太:テンションを上げないで、我慢することを覚えさせるといいますか。それでもけっこうグイグイ行くようなタイプでしたね。
-:血統はTapitですね。アメリカの血統で。
▲ドバイでナイター調教中のゴールデンバローズ
圭太:ええ、タールタン、テスタマッタなどのTapit産駒にも乗せてもらっていますが、みんなそういう感じになりますね。けっこう口(口向き)がキツくて、一生懸命になって、操縦の方が大変で……。
-:血統的には潜在的なコントロールの難しいタイプと。
圭太:しかし、難しいですが、ずいぶん上手く我慢出来るようになっていると思いますね。僕が乗った時は、少し砂を被って嫌がって戸惑ったことで、ちょうど良い感じになりました。
-:それは、逆に今回のレースでもそういう形になった方が、もしかしたら良いのかもしれないですか?
圭太:どうですかね?僕が乗って勝った時の脚は素晴かったので、良いイメージですが。
-:このコースといえば芝スタートが時に課題とされる条件です。その走りはどうですか?
圭太:芝でも(新馬戦で)走っていますからね。そこは何も心配はしていないです。スピードにも乗れていましたし、芝の切れ目にも気にせず走れていましたからね。
「どんな状態にしろ、きっちり仕上げてくる厩舎だと思いますし、負けてられない一戦だと思います。しっかり結果を出したいなと思っていますけどね」
-:今回に向けての課題といいますか、気になるところはありますか?
圭太:どんな状態にしろ、きっちり仕上げてくる厩舎だと思いますし、負けてられない一戦だと思います。しっかり結果を出したいなと思っていますけどね。
-:ユニコーンSといえば、内枠でもまれたアジアエクスプレスのような例もありました。あんなことは考えられないですか?
圭太:いや、わからないです。ただ、そうなったとしても、しっかりと僕が教えながら、勝たせなくてはいけない馬かと思っています。
-:そういう意味では、以前の「1番人気論」ではありませんが、条件があったとしても克服しないといけないと。
圭太:(キッパリと)そうです。まあ、馬乗りに正解はありませんからね。勝負の世界だから勝たなきゃいけないです。理由が何かあろうがなかろうが、勝たなきゃいけない世界なので、難しいところもありますが、やっぱり“結果”ですよ。
-:来週は安心して観ていられるレースになるだろうと思っています。
圭太:まあ、馬は心配ないですが、心配は自分自身ですね。
-:ハハハ(笑)。好調な厩舎ですから、勢いにあやかって。
圭太:そうですね。応援してください。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。