'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
11月11日時点1556勝
JDDに向かうタフネス牝馬ポムフィリアは「素晴らしい馬」
2015/7/3(金)
悔しさの残る安田記念
-:マイラーズCで3着からの巻き返しを狙った一戦、安田記念のフィエロ(牡6、栗東・藤原英厩舎)はいかがだったでしょうか?
圭太:馬の雰囲気も良かったですし、上手く流れにも乗れました。勝ち馬をマークするようなレース展開になったので、良い形かと思ったのですが、直線は手前を替え辛そうで、結局替えずに、伸びもジリジリになってしまいました。
-:「手前を替えなかった」というのは、レース後の敗因としてたまに聞くケースです。その理由になる場合、どういった原因があるものですか?
圭太:馬がそっちの手前の方が好きだったり、どこか苦しがっていたり……。何か理由があるとは思うのですが、騎手としても替えさせられなかったというのは、悔しいことです。
-:それは、もちろんジョッキーの促しで変化するものと。
圭太:いや、自然と替える馬もいますし、やっぱり替えない馬は、騎手が扶助してやらないといけない部分はあると思うので。普通はハミをちょっとイジったり、重心を替えたり、少しステッキで肩を押してあげたり、その馬によって合図は違いますけどね。
-:結果的に、右回りを多く使っていること、その影響はあったのですか?
圭太:あったのかなあ……。ちょっと替え辛かったですね。結果、替えられなかったので……。
-:もちろんそういう指示は送っていたわけですよね。先生(調教師)は特別何かおっしゃっていましたか?
圭太:まあ、特にはないですかね。
-:何かレース後に聞いていると「最高に乗ってくれたと思う」という話はされていました。先生もおっしゃっていましたが「状態が良い分だけ、東京でもこなせるかなと思っていた」と言っていたのですが、どうしても、もっと軽い馬場の方が良いのかなと。
圭太:それは僕にも言っていましたね。あとは「京都であったり、(下り)坂を利用して走らせるとか、それの方が良いのかな」とは言っていましたね。
-:先生は「もともと背腰が弱い」という話を強調されていましたが、今になって体質面の弱さを感じる部分はないわけですよね。
圭太:ええ、感じないですけどね。乗った感触は、重賞を勝っていないとおかしいかな、というぐらいの馬です。相手はモーリスとも見ていたので、余計に悔しい思いです。
タフネスさが売りのポムフィリア
-:目黒記念のファタモルガーナ(セ7、栗東・荒川厩舎)はいかがだったでしょうか?
圭太:距離が短いというのもおかしな話ですが、もう少し持っていたいな、という雰囲気ですね。モタモタするタイプの馬ですが、もう少し持っていられながら、早めに仕掛けられたら良いな、という結果でした。
-:欲を言えば、3000メートル以上のゆったりした感じで、もう少し時計が掛かる馬場だと良いということですね。
圭太:そうですね。
-:結果的に見たら、レコードに近いような時計でしたものね。休み明けだったので、そこがどうなのかなと思いましたが、いかがでしたか?
圭太:どうなんですかねぇ。そこは特には感じなかったですが、2着、2着の時は、行きっ振りはもう少しあった感じは受けます。それが距離なのか、休み明けなのか分からないです。
-:これは、ディープインパクト産駒の中でも少しタイプが違う方ですか?
圭太:違いますね。この産駒にしては馬格が良いですからね。
-:関東オークスのポムフィリア(牝3、美浦・高橋裕厩舎)は離されての2着でした。こちらはいかがでしたか?
圭太:1200から今回の2100まで本当に幅広く走ってくれていますね。
-:以前、記事には載せられなかった話題ですが、中山のレース前にフケが来ていたという馬ですよね。
圭太:そうでした?(考えて思い出したように)これだ、これだ!1200の時ね。
-:それで勝った馬ですね。
圭太:そうそう。頭が下がる思いというか、素晴らしい馬ですよね。ナイターも距離も初コースも気にせず、克服してくれているので。結果、勝ててはいないですが、素晴らしい馬だなと思いますよ。
-:ダートだから多少負担が軽いのかもしれないですが、これだけの短い期間、あちこち行っていることを考えれば、けっこうな負荷があるのかなと思います。それに牝馬ですよね。
圭太:ドッシリしているタイプだと思いますよ。体重も増えて、カイバもよく食べているみたいなので。ちょっと今後が楽しみですね。
-:どこかの記事で見たのですが、レース後のコメントで「どこかで重賞を勝てるぐらいの能力がある」と書いてあったのですが、それは本当ですか?
圭太:チャンスはあるんじゃないですか。色々と条件は重ならないといけないかもしれないですが。
-:その条件ですが本質的にはどれぐらいの距離が?
圭太:どれぐらいなんですかねぇ。難しいですね。
-:それだけ短期間で使っても、使い減りしないというか?
圭太:そうですね。強いですよね。ジャパンダートダービー(Jpn1)でも乗ることになったので、なんとか善戦したいですね。
-:今回は手短になりましたが、まだ触れていないレースや今後の展望など、次回は一気に伺いたいと思います。よろしくお願いします!
圭太:ハイ!よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。