いよいよリーディングトップに躍り出たようにトータルの成績ではエンジンがかかってきた感のある戸崎騎手。また、地方交流重賞が多いシーズンということもあり、今回は上半期の総括とレースの回顧をしてもらった。

上半期を折り返し 反省点は2着数

-:前回のお話から少し時間が空いてしまいましたので、東京開催後半のレース回顧と、上半期までのデータをまとめたので、見ていただければと思います。数字の方は去年の上半期と今年の上半期の比較です。

戸崎圭太騎手:よろしくお願いします。(資料を見ながら)数は乗ってないんだよね。そして、今年は2着が多いよねぇ……。

-:2着が多い実感はあったのですか?

圭太:多いですね。2着って、一番嫌な着順なんですよね。2着より3着が良いという訳じゃないですが、2着だと“どこか上手く行っていれば……、ちょっとしたミスで……(勝てた)”というイメージが強いですね。だからと言って、着外が良いという訳じゃないですよ。ここ何年かは(2着は)少なかったので気になりますね。

-:先ほどおっしゃられましたが、確かに一日2ケタの騎乗が多かったのが、8鞍の日なども多少あったイメージでした。ただ、よく見ると騎乗数は20くらいの差ですね。

圭太:まあまあ、そうですね。

-:勝ち星に関してはいかがですか。昨年とほとんど差はないイメージです。

圭太:2着が多い分、取りこぼしている部分が多いのかなと思いますね。他の項目を見ても、そんなに差はありませんが、そこが一番ですね。

戸崎圭太

遂にサンビスタを破ったトロワボヌール

-:ここまでは成績を確認していただきましたが、続いてレース回顧もお願いします。ジャパンダートダービー(Jpn1)ポムフィリア(牝3、美浦・高橋裕厩舎)はいかがでしたか?

圭太:あの馬場でかわいそうでしたね。それは他の馬も同じ条件でしょうが、着順(6着)は芳しくないとはいえ、よく頑張ってくれたなと思います。

-:距離自体はもう少し短いぐらいの方が良いですか?

圭太:大井だったら短くて良いかもしれないですね。コース形態によって、ですかね。

-:小回りだったら、2000メートルでも大丈夫と。

圭太:長くても大丈夫ですね。展開にも左右されますし、自分から動くという馬ではないので。

-:春はコンスタントに使ってきましたが、体調面の変化はありましたか?

圭太:この馬なりの良い状態をずっと維持してくれていましたね。そういう意味でも良く頑張ってくれたと思います。

戸崎圭太

-:パドックの歩き方を観ていて、硬めに映ったのですが、あれはいつも通りでしょうか?

圭太:そうじゃないですかね。

-:この馬の一番のセールスポイントはどう感じていますか?

圭太:どんな環境においても、どんなレース展開においても、この馬はシッカリと力を出せるセンスの良いタイプの馬ですね。

-:ナイターで精神面が崩れたり、気にしてしまう馬もいると思うのですが、あれぐらいの雨というのは関係ないですか?

圭太:いや、この馬は大丈夫ですが、雨でも気になる馬はいますよね。

-:それは、レース結果に反映するぐらいの?

圭太:と思いますね。あれだけ降ったらだって人間も嫌でしょ?

-:コース沿いで観ていましたが、嫌でしたね(笑)。

圭太:それと同じですよ。

-:同じナイターといえばスパーキングレディーC(Jpn3)トロワボヌール(牝5、美浦・畠山吉厩舎)はいかがでしたか?

圭太:サンビスタとずっと一緒に戦ってきて、強い競馬をされて手強い相手と思っていましたからね。初めて負かせたことが良かったですね。

-:負かしたどころか、3着だったのがちょっと意外でした。分からないと思いますが、一緒にレースを乗られていて、サンビスタ(牝6、栗東・角居厩舎)の敗因はわかりますか?

圭太:分からないです。生き物なんだなあ、と改めて思いました。それに船橋で同じ条件といいますか、斤量差もあって、馬場状態もあんな感じでやっていますからね。

戸崎圭太

-:レースの意識としては、やっぱりある程度サンビスタを意識というか、そういう形で運んでいた訳ですね。

圭太:そうですね。それが向こうの手応えがなくなっていたのでびっくりしました。

-:やっぱりこの馬は左回りだと崩れないですね。

圭太:この馬も、ポムフィリアじゃないですが、どんな環境においても克服してくれますよね。結局、そんなに前に行く馬とかではなく、自分から動くタイプでもありませんが、確実に、堅実に走ってくれるタイプの馬ですね。

-:逆に、今年のJBCは右回りの大井ですから、ちょっと分が悪いかもしれないですね。

圭太:そうですね。ただ、もともとは右回りでも大丈夫だったのでね。ずっと左回りを走っている分、少しその辺で影響が出ていると思います。

ドバイ帰りが響いた?ゴールデンバローズ

-:そして、ユニコーンS(G3)ゴールデンバローズ(牡3、美浦・堀厩舎)ですが、あれだけの人気を集めていただけにショッキングな負け方でした。

圭太:う~ん、負けてはいけないレースだったと思うんです……。スタートは多少出負けするようなところがあったので、そこは気を付けていました。厩舎側もすごく練習を重ねて、ドバイでは良いスタートを切っていたので、気を付けようと思っていましたね。

砂を被って、多少嫌がるというのも頭にはあったので、ああいう運びになりましたが、直線は道もありましたし、もう少し伸びてくれるかな、というイメージではありました。終わってからの印象ですが、多少なりとも海外遠征の疲れはあったのかなと感じましたね。返し馬でも、別にそういう雰囲気もなかったし、直線の伸びだけが少し足りないのかなと思ったので、そこで感じたものはありました。


-:今年のドバイに行っている馬たちは、ホッコータルマエのような馬もいますが、故障が発覚したり、成績的には崩れている傾向がありますね。特に3歳は、そういう影響が大きかったのかなという感じを受けます。

圭太:そうですね。

戸崎圭太

-:ジャパンダートダービーのディアドムス(牡3、美浦・高橋裕厩舎)も、パドックで見ている分にはそこまで感じませんでしたが、レースに行くとスタートであおったり、やっぱりそういう影響もあったのかなと。

圭太:そうですね。そこは周りが判断する所なんで、何ともいえませんが、僕自身は多少それは思いました。

-:パドックから観ていますと、けっこうイレ込んでいるのかなという感じは受けました。

圭太:そうですね。テンションは高かったですね。あのテンションが高い分、疲れを感じさせないというか、表に見せないというのはあったのかな、というのは言えますかね。前回よりはテンションが高いかな、という程度にしか思っていなかったのですが。

-:もともとちょっと煩いというか、少し難しい血統ではありますよね。

圭太:ですが、それにしても高いなという感じはしました。

初陣を飾ったプロディガルサン その課題は

-:新馬勝ちのプロディガルサン(牡2、美浦・国枝厩舎)ですが、関係者、ファンのみならず注目の一戦でした。

圭太:まだまだ子供っぽいところも見せながら、勝てたということは良かったかなと思います。色々と課題はありますが、楽しみな馬に成長してもらえば良いかなと思っています。

-:どれだけ成長してくれるか、という気がかりな面はありますが、前回のレース振りの中でも、ある程度詰められる部分というのはたくさんあった訳ですよね。

圭太:そうですね。あの感じだと、今後は全能力を出し切れない感じになる可能性があるので、やっぱりもう少し集中して走ってはもらいたいですよね。

戸崎圭太

-:と言いますと、現状で、肉体的なものなのか、精神面が課題なのか、どちらの方が強いですか?

圭太:精神面じゃないですか。

-:レースから引き上げてきた時に、厩務員さんなんかもおっしゃっていましたが「ゲート裏で走り出した」と。そういうこともあったのですか?

圭太:そうですね。まだまだ若さタップリですよ。突然走りだしましたからね。

-:パドックではそんなに煩かったり、そんなところはなかったですよね。

圭太:そうですね。攻め馬でも、そんな所は見せなかったのでビックリしましたが、そういう一面もあるんだなと思いましたね。新馬を勝てたことでゆっくり調整ができるでしょうし、今後の成長に期待ですね。