'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
11月18日時点1558勝
上半期を総括&話題のプロディガルサン その課題は
2015/7/11(土)
上半期を折り返し 反省点は2着数
-:前回のお話から少し時間が空いてしまいましたので、東京開催後半のレース回顧と、上半期までのデータをまとめたので、見ていただければと思います。数字の方は去年の上半期と今年の上半期の比較です。
戸崎圭太騎手:よろしくお願いします。(資料を見ながら)数は乗ってないんだよね。そして、今年は2着が多いよねぇ……。
-:2着が多い実感はあったのですか?
圭太:多いですね。2着って、一番嫌な着順なんですよね。2着より3着が良いという訳じゃないですが、2着だと“どこか上手く行っていれば……、ちょっとしたミスで……(勝てた)”というイメージが強いですね。だからと言って、着外が良いという訳じゃないですよ。ここ何年かは(2着は)少なかったので気になりますね。
-:先ほどおっしゃられましたが、確かに一日2ケタの騎乗が多かったのが、8鞍の日なども多少あったイメージでした。ただ、よく見ると騎乗数は20くらいの差ですね。
圭太:まあまあ、そうですね。
-:勝ち星に関してはいかがですか。昨年とほとんど差はないイメージです。
圭太:2着が多い分、取りこぼしている部分が多いのかなと思いますね。他の項目を見ても、そんなに差はありませんが、そこが一番ですね。
遂にサンビスタを破ったトロワボヌール
-:ここまでは成績を確認していただきましたが、続いてレース回顧もお願いします。ジャパンダートダービー(Jpn1)のポムフィリア(牝3、美浦・高橋裕厩舎)はいかがでしたか?
圭太:あの馬場でかわいそうでしたね。それは他の馬も同じ条件でしょうが、着順(6着)は芳しくないとはいえ、よく頑張ってくれたなと思います。
-:距離自体はもう少し短いぐらいの方が良いですか?
圭太:大井だったら短くて良いかもしれないですね。コース形態によって、ですかね。
-:小回りだったら、2000メートルでも大丈夫と。
圭太:長くても大丈夫ですね。展開にも左右されますし、自分から動くという馬ではないので。
-:春はコンスタントに使ってきましたが、体調面の変化はありましたか?
圭太:この馬なりの良い状態をずっと維持してくれていましたね。そういう意味でも良く頑張ってくれたと思います。
-:パドックの歩き方を観ていて、硬めに映ったのですが、あれはいつも通りでしょうか?
圭太:そうじゃないですかね。
-:この馬の一番のセールスポイントはどう感じていますか?
圭太:どんな環境においても、どんなレース展開においても、この馬はシッカリと力を出せるセンスの良いタイプの馬ですね。
-:ナイターで精神面が崩れたり、気にしてしまう馬もいると思うのですが、あれぐらいの雨というのは関係ないですか?
圭太:いや、この馬は大丈夫ですが、雨でも気になる馬はいますよね。
-:それは、レース結果に反映するぐらいの?
圭太:と思いますね。あれだけ降ったらだって人間も嫌でしょ?
-:コース沿いで観ていましたが、嫌でしたね(笑)。
圭太:それと同じですよ。
-:同じナイターといえばスパーキングレディーC(Jpn3)のトロワボヌール(牝5、美浦・畠山吉厩舎)はいかがでしたか?
圭太:サンビスタとずっと一緒に戦ってきて、強い競馬をされて手強い相手と思っていましたからね。初めて負かせたことが良かったですね。
-:負かしたどころか、3着だったのがちょっと意外でした。分からないと思いますが、一緒にレースを乗られていて、サンビスタ(牝6、栗東・角居厩舎)の敗因はわかりますか?
圭太:分からないです。生き物なんだなあ、と改めて思いました。それに船橋で同じ条件といいますか、斤量差もあって、馬場状態もあんな感じでやっていますからね。
-:レースの意識としては、やっぱりある程度サンビスタを意識というか、そういう形で運んでいた訳ですね。
圭太:そうですね。それが向こうの手応えがなくなっていたのでびっくりしました。
-:やっぱりこの馬は左回りだと崩れないですね。
圭太:この馬も、ポムフィリアじゃないですが、どんな環境においても克服してくれますよね。結局、そんなに前に行く馬とかではなく、自分から動くタイプでもありませんが、確実に、堅実に走ってくれるタイプの馬ですね。
-:逆に、今年のJBCは右回りの大井ですから、ちょっと分が悪いかもしれないですね。
圭太:そうですね。ただ、もともとは右回りでも大丈夫だったのでね。ずっと左回りを走っている分、少しその辺で影響が出ていると思います。
ドバイ帰りが響いた?ゴールデンバローズ
-:そして、ユニコーンS(G3)のゴールデンバローズ(牡3、美浦・堀厩舎)ですが、あれだけの人気を集めていただけにショッキングな負け方でした。
圭太:う~ん、負けてはいけないレースだったと思うんです……。スタートは多少出負けするようなところがあったので、そこは気を付けていました。厩舎側もすごく練習を重ねて、ドバイでは良いスタートを切っていたので、気を付けようと思っていましたね。
砂を被って、多少嫌がるというのも頭にはあったので、ああいう運びになりましたが、直線は道もありましたし、もう少し伸びてくれるかな、というイメージではありました。終わってからの印象ですが、多少なりとも海外遠征の疲れはあったのかなと感じましたね。返し馬でも、別にそういう雰囲気もなかったし、直線の伸びだけが少し足りないのかなと思ったので、そこで感じたものはありました。
-:今年のドバイに行っている馬たちは、ホッコータルマエのような馬もいますが、故障が発覚したり、成績的には崩れている傾向がありますね。特に3歳は、そういう影響が大きかったのかなという感じを受けます。
圭太:そうですね。
-:ジャパンダートダービーのディアドムス(牡3、美浦・高橋裕厩舎)も、パドックで見ている分にはそこまで感じませんでしたが、レースに行くとスタートであおったり、やっぱりそういう影響もあったのかなと。
圭太:そうですね。そこは周りが判断する所なんで、何ともいえませんが、僕自身は多少それは思いました。
-:パドックから観ていますと、けっこうイレ込んでいるのかなという感じは受けました。
圭太:そうですね。テンションは高かったですね。あのテンションが高い分、疲れを感じさせないというか、表に見せないというのはあったのかな、というのは言えますかね。前回よりはテンションが高いかな、という程度にしか思っていなかったのですが。
-:もともとちょっと煩いというか、少し難しい血統ではありますよね。
圭太:ですが、それにしても高いなという感じはしました。
初陣を飾ったプロディガルサン その課題は
-:新馬勝ちのプロディガルサン(牡2、美浦・国枝厩舎)ですが、関係者、ファンのみならず注目の一戦でした。
圭太:まだまだ子供っぽいところも見せながら、勝てたということは良かったかなと思います。色々と課題はありますが、楽しみな馬に成長してもらえば良いかなと思っています。
-:どれだけ成長してくれるか、という気がかりな面はありますが、前回のレース振りの中でも、ある程度詰められる部分というのはたくさんあった訳ですよね。
圭太:そうですね。あの感じだと、今後は全能力を出し切れない感じになる可能性があるので、やっぱりもう少し集中して走ってはもらいたいですよね。
-:と言いますと、現状で、肉体的なものなのか、精神面が課題なのか、どちらの方が強いですか?
圭太:精神面じゃないですか。
-:レースから引き上げてきた時に、厩務員さんなんかもおっしゃっていましたが「ゲート裏で走り出した」と。そういうこともあったのですか?
圭太:そうですね。まだまだ若さタップリですよ。突然走りだしましたからね。
-:パドックではそんなに煩かったり、そんなところはなかったですよね。
圭太:そうですね。攻め馬でも、そんな所は見せなかったのでビックリしましたが、そういう一面もあるんだなと思いましたね。新馬を勝てたことでゆっくり調整ができるでしょうし、今後の成長に期待ですね。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。