'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
11月25日時点1561勝
雌雄を決する中山ラスト開催!次週は待望の海外初騎乗!
2015/12/5(土)
惜敗続きも「勝つ力はある」ファタモルガーナ
-:それでは、早速ですが、今週のステイヤーズS(G2)のファタモルガーナ(セ7、栗東・荒川厩舎)についてコメントをいただきたいのですが、去年は2着だったレースですね。
戸崎圭太騎手:距離が長ければ長い方が良いので、前走の2500よりは良いでしょう。なかなか勝ち切れない部分があるタイプの馬ですが、その辺をどうやって乗ろうかなと。ただ、勝つ力はあると思いますよ。
-:重賞でここ3走、2着、2着、3着ですからね。なおかつ、この条件がベストと。
圭太:ええ、合っていると思いますね。
-:馬のタイプを見ていると、もともと1回使った方が良いのかなという気がしていたのですが、前走も間隔が開きながら好走しましたね。
圭太:確かに僕もそう思うのですが、大丈夫でしたよね。
-:目黒記念の時も、ちょっと距離が短かったでしょうが、そんなにハンデも背負っていないですし、状態がどうなのかなと思って観ていました。やっぱり上位に来ていましたもんね。レース運びはしやすい方ですか?
圭太:まあまあ、乗りやすいですよね。去年も勝ったのはデスペラードでしたか。今年もチャンスはあると思っています。
▲昨年のステイヤーズS インで粘るファタモルガーナ
-:続いて土曜日の葉牡丹賞は、メートルダール(牡2、美浦・戸田厩舎)には未勝利戦で乗られています。東京で長い直線を活かしての差し切り勝ちでしたが、いかがでしたか?
圭太:まだ、幼いところもありますし、走りもフラフラしていますが、力もあるし、フットワークは良い感触ですね。
-:能力を感じるといいますか、もっと良くなる余地がある馬なのかと感じました。これは、もうちょっと使いつつという感じですか?
圭太:使いつつ良くなってくるタイプではあるかな、という感じはしますね。
-:もう一点、札幌と東京で走っていますが、今度は中山に替わります。
圭太:僕は、中山の方が良いのかなという気がしますけ。
-:道中の雰囲気は少し促しつつの感じですか?
圭太:そうですね。少しモタモタするというか、自分からという感じではないです。
-:上がり勝負でスパッと脚を使うよりは、ある程度脚を長く使う競馬の方が良い感じですか?
圭太:そういうタイプだと思いますし、中山での走りが楽しみですね。
-:日曜日の(3歳上1000万下の)ディスキーダンス(牡4、美浦・手塚厩舎)は、何度も乗られているコンビですね。
圭太:芝2500mという条件も合っていますし、時計があまりにも速くならなければ十分に対応も出来ます。チャンスは感じていますよ。
-:ステイゴールド産駒が走るコースでもありますが、やっぱり中山のこの舞台が一番合っている感じですか?
圭太:福島とかも良いでしょうし、切れる感じはないので、東京などよりは良いのかなと。
-:陣営も、大体そこら辺を狙っているような感じですかね。
圭太:確かにそうじゃないですかね。
-:こちらも日曜日ですが、市川Sのマリオーロ (牡3、美浦・斎藤誠厩舎)はいかがですか?
圭太:前走が初めて随分と負けたのかな。クラスも上がってきていますしね。ただ、力はある馬なので、頑張りたいですね。前が有利になりそうな馬場はどうかと思いますが。
遂に海外での騎乗!水曜日は招待競走へ
-:そして、次週は月曜日から香港に行かれます。遂に初の海外での騎乗ですね!
圭太:そうですね~。楽しみです!
-:今のところ、月、火はどんなスケジュールなのですか?
圭太:月曜日は着いて、多分ゆったりしますね。火曜日はパーティーがあって、水曜はハッピーバレー競馬場で騎乗(「2015ロンジン・インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップ」)。水曜の後もパーティーがあるなんて話は聞きましたが、木曜の朝は攻め馬ですね。その夜に一度、帰国して、土曜日は中山で乗ります。日曜はまた香港ですね。
-:まず、水曜日に騎乗するハッピーバレー競馬場は事前にネットでチェックしたりして、下見はしているのですか?
圭太:いや、まだしていないですが、直前には必ずする予定ですよね。シャティンは見ていますが、ハッピーバレーは見ていないので。ただ、聞いたりはしています。
戸崎騎手マネージャー:しかし、1000mでアクロバティックなコースって、結構(大変)なコースなんじゃない?一応、気を付けるポイントは抑えとかなきゃさ。落っこちる人もいるくらいだからさ。
圭太:すごいらしいもんね。ただ、そこは世界の騎手として呼ばれるわけだよ(笑)。そんなことある?
マネ:いやいや、トップジョッキーが落っこちたんでしょ。
-:話題が弾んでいますが、1000mのコースが特殊といいますと、どんなコースなのですか?
マネ:アップダウンが激しくて小回り。それで1000mと聞きますからね。川崎の900mだって、やっぱり怖いもんね。馬って、そんなに器用に小回りは回れないし。
-:小回りの競馬場と。
圭太:そう小回り。ルメールが「ジェットコースター。ビューン、ビューン、ビューン!みたいな感じ」って例えていましたよ。
マネ:構えてというか、落ち着いて乗るタイプの人は好きじゃないかもしれないですね。香港の若手は乗れないというくらいの競馬場らしいですからね。何年かしないと乗っちゃいけないと。それくらいアクロバティックなコースらしいですよ。
圭太:「危ないから」と聞きましたね。
▲11月26日 ストレイトガールの追い切りに騎乗する戸崎騎手
-:それは初耳でした。シャティンの方のリサーチは済んでいるのですか?
圭太:そちらはビデオを観ているし、(藤原英昭)先生とも話をしていますね。
-:先生は香港の場数をかなり踏んでいると思うので、そこはお任せでも良いのかなと思います。香港スプリントに向かうストレイトガール(牝6、栗東・藤原英厩舎)は先日、追い切りに乗られたと思いますが、追い切りの雰囲気はどうでしたか?
圭太:絶好調ですね!
-:おお~。それは楽しみです。
圭太:状態は良いですね。スプリンターズの前の追い切りに乗っていませんが、絶好調です。前走と比べられないですが、すごく良い雰囲気です。
-:じゃあ、そのままの雰囲気で行ければ、この馬の力は出し切れる状態ですね。(昨年)3着という実績がありますが、馬場的には合いそうじゃないかと思っています。
圭太:もちろん僕も香港の芝を経験していませんが、大丈夫だと思いますね。一方、(香港カップの)ステファノス(牡4、栗東・藤原英厩舎)は追い切りに乗っていませんが、こちらも「調子は良い」と聞いています。
どこへ行っても馬のリズム重視の騎乗で
-:そして、初めての海外遠征にあたって、今の心境はいかがですか?
圭太:まあ、初めは色々と、どうなんだろうな、という不安もありましたが、結局は競馬ですからね。やることは一緒なので。
マネ:馬はどこで乗っても一緒ですね。
圭太:ただ、競馬場で特徴だったり癖だったりあると思うので、そういうのは事前にキチッと勉強はしなきゃいけないなと思っています。あとは、競馬は一緒なので。
-:競馬は初めて乗って勝つことも多々あるわけじゃないですか。例えば、外国人騎手が日本に来て、この前もボウマン騎手が勝っていましたが、そういうことは、競馬においては意外と出来るものなのですか?
圭太:出来るんじゃないですか。初めてだから勝てないというのはないじゃないですか。例えば、人間のマラソンだって大体が初めてかもしれませんし。
マネ:経験のある人は、ある程度、競馬の流れには乗れますから、そんなに、特別に競馬場によって、ここで仕掛けなきゃ勝てないとかいうのはないですから。そんなに戦略とかが大事かと言ったら、それよりも……。
圭太:(続けて)馬との呼吸の方が大事ですよね。
マネ:そうそう。それで、流れに乗って、あとは周りと同じような動きをしていけば、あとは馬が走ってくれたりすれば勝てますから。
-:そんなにメカニックなものではなく、語弊はありますが、ある程度は「アバウト」な騎乗で出来るということですね。
マネ:そうそう。
圭太:アバウトに乗れた方が良いですしね。「残り何メートル地点のここから仕掛けた方が良い」とか……そんなことではないと思います。
マネ:競馬新聞を読めない外人さんが、あれだけ勝てるというのはどういうことですか、という話じゃないですか。
「僕は1F何秒で行っているか、なんて分かりません。(逃げた時の成績が良いのは) 馬が気持ち良く走れるから。周りに影響なく走らせられるから。そうでしょうね」
-:安藤(勝己)さんもよく「あんまり考え過ぎちゃダメだ」としょっちゅう言っていますものね。
圭太:ええ。事前に考えることは大事でしょうが、乗ったら、ここでこうしてというよりは、とっさの問題ですね。
マネ:「今は1ハロンウン秒で行ってる」と考えて乗っている人がいるのだろうと、思われるかもしれないですが、そんな騎手は大体いませんからね。
-:11秒か12秒かの差は分かりますか?
圭太:(キッパリと)僕は分からない。
-:その割には、逃げた時の成績が良くないですか?
圭太:馬が気持ち良く走れるから。周りに影響なく走らせられるから。そうでしょうね。
-:ペース配分がどうこういうことでなく、感覚でできているわけですね。
圭太:そうそう。
マネ:だけど、今は遅くしている、平均ペースで行っている、といったそれくらいの感覚はありますよ。
圭太:しかし、13秒くらいのペースがキツい馬もいる訳だから、それは流してやらなくちゃいけないこともありますよね。それがリズムといいますか。
▲昨年のロンジン・インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップ
-:よく「リズム」という言葉を口にされていますが、そこを意識した上でレース展開を考えていっていると。若干、話題は戻りますが、香港のリサーチとして、レースの流れやコースのアドバイスは他にもらっていますか?
圭太:シャティン競馬場は外を回っていると厳しいところもあるみたいですが、「バンクも利いているので、差しは届くかな」というのも聞いています。
-:競輪みたいな、中京競馬場のような、そういうことですね。そして、海外は2度目ということですね。
圭太:子供の頃に親戚に連れられて、アメリカのアトランタには行っていますが、時差ボケが酷かったというのは覚えています。
-:ここまで訓練してきた英語が活かせる場面でもありますが、飛行機に乗るのは一人ということで不安ですね?
圭太:今は全然、不安ではないですけどね。まあまあ、色々と思い出ができると思うので、それは終わってからのお楽しみじゃないですか。
-:最後に、腹をこわしたりしないようにして下さい。
圭太:そうですね(笑)。水とかも気を付けないといけないですね。
-:本人は面倒臭がっていましたが、マネージャーさんが現地で撮った写真もお見せしてくれるということで、帰国後のレポートも楽しみにしています。
圭太:頑張ってきます。
※次回は12月18日(金)に更新予定です。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。