'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月23日時点1569勝
さあ、有馬記念!3歳牝馬ルージュバックと健闘誓う
2015/12/20(日)
香港国際競走で海外G1初騎乗!
-:初の海外遠征となった香港ですが、まずは日曜日の方から振り返っていただきたいです。香港カップ(G1)ではステファノス(牡4、栗東・藤原英厩舎)に騎乗されました。
圭太:追い切りも乗せていただいて、順調に来ていると感じていましたね。しかし、レース当日は随分テンションも高いし、汗もかいているなと。僕が乗せていただいてからは、そういうことがなかったので、ちょっと気にはなったのは事実です。
-:そうだったのですね。確かにこの馬はそういうテンションの高いイメージはないですものね。やっぱりそこは、レースに影響をした可能性が大きい訳ですね。
圭太:いや、何とも言えないですが、今までの感じとは違いましたね。
-:スタートをして、割と出して行く素振りが見られました。ある程度、位置を取りたい意識はあったのですか?
圭太:そうですね。先生とも話をして「良いポジションは取って」と。まあ内目を穫れるか否かは外枠だったので、流れや運もあるかなと。しかし、スタートは普通に出てくれているのに、行き脚が全然つかなかったですね。今までとは違うレース振りというか、もっとスムーズにスピードに乗っていけると思ったのですが、むしろ置かれる感じだったのでね。あんなに促さなくても良いタイプのはずなのですが……。
-:先生のコメントを見ても「敗因を分析したい」みたいなコメントでした。その裏にはそういうこともあったということですかね。
圭太:それは分からないですが、僕はそう感じています。
-:ストレイトガール(牝6、栗東・藤原英厩舎)はいかがでしたか?
圭太:モタモタしながら位置を取りにいったので、外を回されるし、何か自分の競馬が出来なかったかなと。
-:香港は、結構外枠が厳しいとより感じました。
圭太:厳しい競馬場ですね。
-:直線のカメラを見ていても、内しか撮らないというか、外は関係ないのだなと。
圭太:それは、やってみて本当に感じましたね。外枠でも良いんですよね。良いのですが、やっぱりテンのスピードが速いか、力がズバ抜けているか、そういう要素があれば外枠でもやれるのかなと。
-:エイシンヒカリも外から先行しましたからね。馬場状態はいかがでしたか?
圭太:馬場はもともと力がいる馬場でしょうね。僕は水曜日に行っていたのでより分かるのですが、水曜日が土砂降りで、それが残ったみたいで。雨自体は攻め馬が終わった頃から降りだしたのですが、ずいぶん降っていました。日曜の朝もシャティン競馬場に着いてから朝、歩いたのですが、けっこう緩いというか、重いといいますか……それは感じましたね。
▲木曜の調教でストレイトガールに騎乗 場所はシャティン競馬場
-:芝の質自体はいかがですか?
圭太:(丈は)やっぱり長めで、地盤も少しボコボコしている感じはありますね。
-:やはり日本って馬場がすごく手入れされていて綺麗で、ヨーロッパはもっとボコボコしているみたいな話も聞きますものね。他に日本との違いを感じる部分はありましたか?
圭太:そうでもなかったのですが、返し馬が早かったり、検量のやり方が違ったり。パドックも跨ってからの発走時間も早いですしね。あとはゲートボーイが付いているとか。
-:そして、海外の一流ジョッキーが集まっているレースならではといいますか、馬群の密集度はいかがですか?
圭太:いや、大して変わらないです。それにシャティンの方では、馬群に入っていないですからね。だから、どうなのかな……。でも、競馬自体が東京みたいにドスローとか、そういう感じではないので。やっぱり先に行って残っているみたいなのもありますから。
-:レースの雰囲気はいかがでしたか?
圭太:海外ということもあって、パドックからお客さんが近かったり、そこは良かったですよ。スタンド自体は東京競馬場よりは小さいでしょうが、それでも大きかったですし、高さがありましたね。
戸崎圭太騎手マネージャー:ハッピーバレーは相当入っていましたよ。
圭太:そうですね。ハッピーバレーの方が小さいのですが、沢山入っていましたね。
-:そのファンからもけっこう声は掛けられましたか?
圭太:掛けられましたね。日本の方もいましたし、海外の人からも。
-:お~海外の圭太ファンもいたとは。
圭太:名前で呼ばれましたが、俺のファンなのか、馬を応援しているのか分からないですよ(笑)。特にハッピーバレーは日本の方よりも海外の人の方が声を掛けてくれていたので。
-:国際騎手競走なので、ジョッキーをちゃんと観に来た人も多いのかもしれませんね。
マネ:そうじゃないですかね。
▲ハッピーバレー競馬場では大雨の中での騎乗となった
見事に海外初勝利!シリーズ3位に輝く
-:しかし、ハッピーバレー競馬場は話題にも出たように、雨がすごく降っていましたね。
圭太:いや~降っていましたよ。
マネ:レースになると降り出すんだよね。それで、終わって合間になったら小降りになって、パドックあたりからまたブワッと降り出して。
-:あれだけの一流どころが集まったジョッキールームの雰囲気はいかがでしたか?
圭太:でも、日本に乗りに来ている騎手も多かったので。
-:たしかにシリーズ出場騎手は、半分くらいが日本で名前を見た人でしたね。
圭太:そうですね。僕も片言ですが話掛けたり楽しかったですよ。トミー・ベリーもいたし、ライアン(ムーア)もそうですし、何か面白かったな。シャティンはウイリアムズもいたね。
-:どんな話をされましたか?
圭太:「返し馬はどっち行くの?」とか。返し馬って言葉がわからないから、ウォーミングアップって言いましたけど、通じたから(笑)。
「香港は調教師さんがシッカリと指示を出しますね。それで「その通りに乗ってこないとすごく怒られる」と聞いていたので、ここは忠実に行こうかと思っていました(笑)。スタートから、位置取り、直線はどこ通るという細かい指示でしたよ」
-:しかし、英会話をやっていなかったら、そういう言葉も出ないかもしれませんからね。コミュニケーションをとろうと思わないかもしれませんし。
圭太:ええ、面白かったですよ。片言ながらむしろ楽しめました。
-:そして、シリーズ2戦目では海外初勝利。おめでとうございます!シリーズ全体でも(総合)3位でしたが、初勝利のレースは負けたとしか思えなかったように映りましたね。
圭太:僕も負けたと思っていましたよ。
-:レース後のコメントを見ていると、ああいう招待レースでも、調教師さんから結構、細かな指示があるのですね。
圭太:そうですね。香港はだいぶ多いといいますか、調教師さんがシッカリと指示を出しますね。それで「その通りに乗ってこないとすごく怒られる」と聞いていたので、ここは忠実に行こうかと思っていました(笑)。スタートから、位置取り、直線はどこ通るという細かい指示でしたよ。
-:4レース乗られて、もちろん4レースとも違う厩舎な訳ですよね。それで、全部そんな感じでしたか?
圭太:そんな感じでしたね。それが香港では当たり前なのでしょうね。でも、僕は、逆に出していただいた方がやりやすい部分はありますよ。どのレースでも。それで、最後レースの先生は中でも怖い方だったようなのですが(笑)、「直線は真ん中を通って来い」と言うのに、一番内に行っちゃったのです。レースから上がっていく時に「これはマズイな~」と思って。しかし、すごく喜んでくれていたので、「あっ、大丈夫だった!」と思って。
▲ライアン・ムーア騎手と同着で海外初勝利の戸崎騎手(内)
-:その馬のそれまでの戦績が悪かったからじゃないですか?
圭太:そうです。最低人気くらいで5着に来たから、喜んでいたのかもしれないです。
-:昔は勝っていたのに、最近は勝っていない馬でしたね。じゃあ、その馬にとっては一定のメドは立つ競馬だった訳ですね。
圭太:そうですね。でも、やっぱり外枠だと、先生に「下げて行け」と言われますね。本当に外はダメなのでしょうね。
-:とにかく内を回らないといけない。
圭太:そうですね。
-:「コースのアップダウンが激しい」という話だったと思いますが、そこはいかがでしたか?
圭太:1レース目はやっぱり感じましたね。向こう正面の高低差はけっこうありますよ。(日本の競馬場には)あれほどないんじゃないですか。コーナーも途中で直線になるところがあって、戸惑いましたが、2戦目からは慣れて大丈夫でしたよ。
-:レースを観ていても、乗っている人の視点は分からないですからね。やはり独特でしたか?
圭太:いや、乗るとまた違いますよね。全然別モノだと思いますよ。ただ、地方競馬の経験が活きたかなとは感じましたね。小回りですし、コーナーもキツかったりというのは、すぐに対応出来たんでね。
-:確かに小回りでしたね。一周でマイルもないほどでしたよね。
圭太:だから、必ず直線では内が空きます。4コーナーでみな外に振られて行くので。勝った時も内をすくったのでね。
-:じゃあ、あそこの競馬場は攻略しましたね。
圭太:いやいや、面白いなという感じです。また行きたいなと。ライアンとルメールに聞いたら「あまり好きじゃない」と言っていましたが、むしろ僕は強みに感じられるかもしれません。
-:それは、やっぱり小回りのキャリアの差が出ましたね。
圭太:まあ、出ているのなら優勝しろという感じですけどね。まあまあ、それでも楽しめましたよ。
▲ロンジン・インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップで見事3位に
-:来年以降、チャンスがあれば、今年の経験がもっと活きそうですね。
マネ:何年かは続けて行きたいですよね。
-:久々の海外でも、あまり感動はなかったですか?
圭太:う~ん、こういったら失礼かもしれませんが、そういうのはないです。でも、競馬に関してはすごく楽しかったです。香港国際競走で結果が出なかったのは申し訳ないのですが、競馬そのものは充実しました。
-:プライベートな部分はいかがでしたか?
圭太:中華料理が美味しかったですね。「美味しい」とは聞くものの、ホントにどうなの?と思いましたが、本物は繊細といいますか。イメージつかないでしょ?僕もビックリしましたよ。
-:東京の中華屋とは違いますか?(笑)
圭太:何か中華料理って、王道の味じゃないですか。そんなにどこに行っても変わらないみたいな。そういうイメージで行ったのですが、違いましたね。
-:有馬の話題から香港に至るまで、タップリと聞かせていただきありがとうございます。年内ラストスパートも期待しています!
圭太:ありがとうございます。頑張ります!
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※次回は新年1月4日(月)に更新予定です。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。